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第五十七話

第57話

異常な山


北部山岳地帯。

岩の道を七人は進んでいた。

空気は冷たい。

風も強い。

山の奥へ進むほど

静かになっていく。

リュカが小さく言った。

「なんか……変」

エリシアが聞く。

「どうしたの?」

リュカは少し考える。

「魔物の気配」

「多い」

ガルヴァンが頷いた。

「同じこと思った」

アルベルトが聞く。

「どのくらいだ」

ガルヴァンは周囲を見た。

耳を動かす。

鼻で空気を嗅ぐ。

そして言う。

「多すぎる」

バルドックが眉をひそめる。

「山ってそんなもんじゃないのか?」

ガルヴァンが首を振った。

「違う」

「縄張りがある」

魔物は普通

縄張りを作る。

だから

一か所に集まりすぎることは少ない。

セレスティアが小さく言った。

「つまり……」

ガルヴァンが続ける。

「何かから逃げてる」

その言葉で

空気が変わる。

エリシアがリュカの肩に手を置く。

「リュカ」

「少し下がって」

リュカは頷く。

その時。

遠くから

低い咆哮が聞こえた。

「グオオオ……」

山の奥から。

地面が少し震える。

セラフィーナが呟く。

「……龍種」

アルベルトが目を細めた。

「間違いないな」

バルドックが腕を組む。

「ワイバーンじゃないのか?」

ガルヴァンが首を振る。

「違う」

「もっと大きい」

リュカが山の上を見る。

雲の向こう。

さっき見た影。

もし本当に龍種なら――

Bランクどころではない。

アルベルトが言った。

「慎重に進む」

「目的は調査だ」

無理に戦う必要はない。

だが。

その時。

岩の上から石が落ちた。

ガラッ

全員が上を見る。

次の瞬間。

巨大な影が

山の崖から飛び降りた。

ドォン!!

地面が揺れる。

灰色の鱗。

巨大な翼。

鋭い牙。

リュカが息を呑む。

「……大きい」

ガルヴァンが低く言う。

「飛竜」

ワイバーン。

だが

王都で戦った個体より

明らかに大きい。

赤い目が光る。

「ギャアア!!」

アルベルトが剣を抜いた。

「戦闘準備!」

山岳地帯の戦いが

始まろうとしていた。

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