第二十七話
第27話
巨大な足跡
洞窟の奥。
五人は慎重に進んでいた。
足音が岩壁に響く。
コツ……コツ……
エリシアの光球が周囲を照らす。
薄暗い通路。
横穴がいくつもある。
リュカは少し緊張していた。
「ダンジョンってこんな感じなんだ」
アルベルトが小さく笑う。
「まだ入口だ」
ガルヴァンが前を歩いている。
耳が常に動いていた。
その時。
バルドックが急に言った。
「止まれ」
全員が足を止める。
アルベルトが聞く。
「どうした?」
バルドックが天井を指さした。
岩が不自然に積まれている。
リュカが小さく言う。
「……落石?」
バルドックが頷く。
「トラップだ」
アルベルトが石を拾う。
通路の先へ投げた。
カラン……
次の瞬間。
ゴゴゴゴ!!
天井の岩が崩れた。
ドォン!!
大量の岩が落ちてくる。
通路が半分埋まった。
リュカが驚く。
「すごい……」
バルドックが鼻を鳴らす。
「ダンジョンはこういうもんだ」
アルベルトが笑う。
「助かった」
もしそのまま進んでいたら危なかった。
ガルヴァンが言う。
「進める」
岩の隙間を通って奥へ進む。
少し進むと。
広い空間に出た。
地下広間。
天井が高い。
エリシアの光球が広がる。
その時。
リュカが足を止めた。
「……何これ」
地面に跡がある。
大きい。
とても大きい。
アルベルトがしゃがんで見る。
「足跡……?」
だが普通じゃない。
人の足の形。
でも。
大きさは――
人の三倍。
ガルヴァンが低く言った。
「トロール」
リュカが息を呑む。
トロール。
Cランク魔物。
巨大な怪物。
アルベルトが真剣な顔になる。
「ボスだな」
エリシアが少し不安そうに言う。
「再生能力を持つ魔物ですよね」
ガルヴァンが頷く。
「ああ」
普通の武器では倒しにくい。
バルドックが戦鎚を肩に乗せた。
「面白ぇ」
リュカは短剣を握る。
少し怖い。
でも。
逃げるつもりはない。
アルベルトが言う。
「奥だ」
足跡は洞窟のさらに奥へ続いている。
重たい足跡。
ズシン……ズシン……
その先に――
巨大な影がいる。
五人はゆっくり歩き出した。
ダンジョンの最深部へ。




