Leads on away
この騒ぎは、すぐに警察にばれた。
紫髪の少年、郷上邦平は、少年院に送られた。
私たち6人は警察に事情聴取されるだけでなんとか済んだ・・・
一番心配なのは、龍翔だ。
薬の副作用がとてつもなく強力で、体のあちこちが壊されていた。
すぐに病院に運ばれたことが幸いして、完全に壊れる前に対処してもらえたからよかったものの、そのダメージは大きく、あれから2週間たった今も目を覚ましていない。
呼吸も自分で出来ない状態にまで、追い込まれていた。
医者に言われたのは、生存確率は1%もない、生きてたとしてもどこかに障害をきたしているだろうといわれた。
その日家族みんなどれだけ泣き叫んだだろうか。
お母さんもお父さんも人が変わってたかのように泣いていた。
私は、それをたまたま見てしまった・・・
それを見ていて私も思わず泣いてしまった。
でも私は、信じてる。
絶対龍翔は、私を見捨てない。
絶対またあのときみたいに、私のピンチを助けてくれる。
お父さんとの時、あの時どれだけ龍翔が兄でよかったと思ったか・・
自分の兄だという事を私はどれだけ感謝したか・・・
龍翔は、私なんかよりすごい人間なんだ・・・
そんな龍翔を知らないくせに馬鹿にするやつが許せない・・・
*************
お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・
ん?
これはしおりの声か・・・
いや、これは昔の記憶か・・・
お兄ちゃんは、どうしてしおりにいじわるするの?
それはな、お前がいつも泣いてばかりでムカつくから
じゃあ泣かなかったら意地悪しない?
う~ん、そのときは、そのときだな
ああ・・・懐かしい。
今とは真逆だなこの時は・・・
なんだろうな・・・
今すごい心地がいい。
ここがどこなのかは知らないけど、すげえ落ち着く。
そんな中いろんな記憶が再生される。
優輝がしおりに挑んで、ボロ負けしたこと
俺がしおりをそれから尊敬して話しかけたことで、クラスメイトに絡まれたこと。
それをしおりが助けてくれて、大喧嘩になったこと。
そして俺のあこがれていた存在が実は俺の妹で、もう一度家族一緒に過ごすためにこの高校に入学してきたこと。
これらが俺の人生を大きく変えた。
もし優輝が挑まなかったら、俺はしおりの事をきっとよく知らないでいたんじゃないだろうか・・・
もし俺がしおりに声をかけなかったら、しおりはケンカ騒ぎを起こさずに済んだのではないだろうか
俺が、しおりを肯定しなければ、しおりが妹だという事を知ることはできなかったのではないか・・・
いろんな想いがこだまする。
しおり・・・しおり・・・
俺は無意識のうちにその名前を連呼していた。
俺は、しおりに会いたい。
その気持ちは、奇跡を呼んだ・・・
「ん?・・・」
俺が目を覚ますと・・・
「龍翔・・・」
しおりがびっくりしたようにつぶやくと、思い切り抱きついてきた。
「おっおい・・・」
俺が動揺してると・・・
しおりは昔のように、弱々しく泣きながら、俺を怒鳴りつけた。
「ドンだけ心配したと思ったの?私、この2週間全然眠れなくて、学校にも行けるような精神状態じゃなくて、自殺しそうなぐらいつらかったんだから」
俺は、しおりの頭を撫でた。
俺は自分のおろかさに気づいた。
俺には心配してくれる家族がいるんだ・・・
ただ力があるだけじゃダメなんだ・・・
「ごめんな。馬鹿な真似して・・・」
しおりは、くしゃくしゃな顔をこちらに向けると、
「私と比べられえて馬鹿にされて悔しかったのは、わかる。でも龍翔を知らないから馬鹿にするだけ。龍翔はたまたま私より目に見える力がないだけで、私よりすごいんだから」
しおりの想いがすごい伝わってきた。
俺は自分の過ちを悔いた。
それも今までの何倍も自分の過ちを後悔した。
「しおり、俺なんかのためにそんなに泣きやがって、美人な顔が台無しじゃねえかよ」
しおりの涙を拭った。
しおりは、俺の頭を自分の胸のほうに引き寄せて、耳元で優しい声で俺に言い聞かせるように言った。
「もし、龍翔を馬鹿にするやつがいたら、私が殺す。私の大切な家族を傷つける奴はただでは生かさない」
物騒な言葉遣いだが、俺の心を強く振るわせた。
「こんなに大切にされてるのに、俺は・・・・」
俺は・・・
自分の不甲斐なさに、泣いてしまった。
しおりは、そんな俺を責めずに、こういった。
「どんなに遠く離れていても、どちらか一方でも強く願えば、必ず繋がれる。
今の私たちもそう。互いの心が遠く離れてしまった。でもこれからその心の距離を近づけるために頑張ればいい」
「そうだな。今日からまた0からのスタートだな」
俺は、大きな失敗を犯した。
でも俺を支えてくれる家族と、頼もしい仲間と一緒に俺は、もう一度立ち上がることを決意した。
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