彩夏の想い
「勝ったら、体が薬の力に耐えかねなくなるだろうが、薬の反発力はその力と同等なくらい強烈だから、そのときは生きてるという保障はない」
「そんな・・・」
勝ってもメリットないじゃない・・・
山田は、呆れたように言った。
「だから薬の効果が切れるまで、放置してくしかないんだよ」
「じゃあいつまで待つのよ?」
「1年とか・・・」
「ふざけないで!!」
あまりにも無責任なことを言う山田にどなった。
「そんなに待てる状況だと思ってるの?」
「そういう理屈じゃないだろ?現実は、人の感情なんて反映されないんだよ」
「おいおい、お前らこの俺を忘れてないか?」
私たちの口論に入ってきたのは、黒田だった。
無駄にナルシストの彼は、私にとって関わりたくない相手だが・・・
ここできたのは運が良いかも・・・
「優輝、ここはお前の立ち入るような話じゃない」
山田は真剣な表情でそういった。
でも優輝は聞かない。
「俺にかかれば、どんなことでも完璧さ」
「あなたは何でも失敗の一言しかないじゃない」
「おいおい、そんなことないだろ」
山田は、「とにかく」っと会話を遮って、一旦場を落ち着ける。
「そんなに待てないのなら、龍翔の事を一番必要としていて、尚且つあの龍翔を止
められるほどの人材以外は、言ったところで何の意味もないよ」
その言葉で私は決意する。
「じゃあしおりをどうにかしてでもぶつけるわ」
すると、黒田は呆れたように言った。
「無理無理、あいつは龍翔にちょっと暴言はかれるだけで傷ついちゃうような奴なんだよ」
「黒田!あなたはー」
「優輝のいう事も一理ある。」
「何言ってー」
「現に、しおりは龍翔の事をだれよりも特別に大切な存在だと思っている。しかも
離れ離れになったことがその想いを何より強くしているんだ。俺たちの誰よりも龍翔への想いは強い。その分、傷はかなり大きいって考えるのが妥当だ」
「そういうことだよ」
黒田は山田のいう事に便乗した。
確かに、山田の言ってることは、正しい。
でもこのままじゃ、私たちはバラバラにされる。
皆、何もかもを楽しめなくなる。
私たちだけでなくて、龍翔自身も・・・
今まで、逃げてばかりしてきた。
だから毎日本の世界観に逃げて、嫌な現実に立ち向かえなかった。
でも私は、修助のおかげで変われた。
いつも私の傍にいてくれて、私なんかのために気を使ってくれて、そんな修助を傷つけた相手を許せない。
私は、この賭けに勝ってみせる。
「いいわよ。私が不可能を可能にしてみせる。」
「彩夏まだそんー」
山田の言葉を遮っていった。
「あなたは先輩の悪事を許せるの?人体実験して、他者を平気で傷つけるようなクズを許せるわけ?」
私の問いに山田は、歯軋りする
「そんなの・・・許せるわけないだろ!!」
「じゃあ私と一緒に来て!」
「無理だ。現実は本の世界みたいに最終的には上手くいくように出来てないんだよ」
全く、普段はただの痛い奴なのに、こういうときだけは、変に頭が働くわね。
「いいから私について来い!さもなければ殺すわよ」
あんまりにもゴチャゴチャうるさいので、ドカンと言ってやった。
山田は、呆れたようにため息をついた後、
「もうどうなっても知らないからな」
「ありがとう」
私の差し出した手を山田は握った。
黒田は、それをつまらなそうな顔して、吐き捨てた。
「なんだよ、仲直りかよ」
「あなたの天才的な力にも期待してるわ」
心にもないことをいってみた。
黒田は、そうとも知らず・・・
「ふん、やっと俺の力がわかったようだな。しかと見とけ愚民共が」
調子に乗りまくっていた。
行ける。
勢いは完全に向いてきてる。
龍翔、あなたを必ず救う。




