36 文化祭 日曜日①
どうぞよろしくお願いします。
日曜日、私は午前中巫女さん格好での接客担当だった。
そう伝えていたから、開始の9時半過ぎにすぐ、母とはるみ伯母さんが来てくれたんだけど、なんか謝られた。
「ごめんねー、チケット紛失してしまってて……」
まだ空いていたので話を聞くと、カレンダーの所にチケットを張り付けておいたのだそう、クリップで。
で、今日、行く時に『あれ? ない?』となったんだって。
「下に落ちたのかとも思ったけど、見つからなくて……」
今回は父が仕事になってしまい、父の分のチケットがあったから無事に入れたそうだ。
父には申し訳ないけど、よかったー。
そこへ雅さんと匠海くんが来た。文化祭に合わせて東京の篠原家に帰省してて、ここで待ち合わせしてただよ。
久しぶりの匠海くん、なんだかすごく男の子感が強くなったような!?
「ともかちゃん、かわいいっ!」
匠海くんが恥ずかしそうに、でも、ちゃんと言ってくれて、うれしいな!
「ふふ、ありがとう」
クラスの子達も出てきて匠海くんもてもて。
そこへ川上先生と紗栄先生が顔を出した。
「おっ!」
雅さんと川上先生が顔を見合わせ、一瞬、ふっという間があったけど、お互い微笑んだ。
私は川上先生と紗栄先生を匠海くんのそばの席に案内すると食券を受け取る。
うどん2つとちらし寿司にお稲荷さん。緑茶2本。割り箸2膳。
それを用意して、お盆に乗せて戻る。
「似合うな」と川上先生が笑った。
髪の毛もだいぶ伸びたしね。
でも、まだ私のイメージ巫女さんまでは長くない!?
「都と加藤はお昼前に顔出すそうだよ。
その時はもう巫女じゃないんだろ?」
川上先生がスマホを出して私の写真を撮ろうとすると飯塚さんが怖い顔で飛んで来た。
「写真撮影はご遠慮下さい!
先生でもダメ!!
トモちゃんも断らなきゃ、だめでしょ!!」
「はい……。写真撮影はお断り致しております」
「ともかちゃん、写真だめなの?」
匠海くんの悲しそうな声……。
私は飯塚さんを見る。
「う……、トモちゃんのスマホで撮ればいいんじゃない!?」
「わ、ありがとう!!」
「こっそりとね!」
そう言って去って行く飯塚さん。本当にいい人だ。好き。
私は匠海くんとこっそり写真を撮った。
スマホをしまおうとすると川上先生が悲しそうに見ている。
えっ?
紗栄先生が「スマホ貸して、撮ってあげる」といい、素早く私と川上先生が並んだ写真を撮ってくれた。
みんなを送り出して席を片付け、次から次へと来るお客さんに対応しながら11時ちょい過ぎくらいだろうか。
スマホが震えた。
見ると都さんからのlineだった。
『そろそろ着きます。天堂、帝慶クビになったそう。なんか連絡がつかないとかで。
そこチケットないと入れないんだよね? 念のため、雅と匠海くん気をつけてあげて!』
私はあわてて、天堂先生から匠海くんを助け出した時に作っていたグループlineに打った。
『天堂さん、帝慶をやめて、行方がわからないらしい。雅さん、匠海くん、周辺気をつけて!
川上先生、紗栄先生、ふたりをどこかでかくまえない?』
返信があった。
『文化祭に潜り込むのは厳しいだろ?』
川上先生だ。確かにそうなんだけど。チケットないとね。
………はるみ伯母さんのチケットは?
縁を切ったとはいえ、実家の鍵を天堂さんがまだ持ってたら?
読んで下さり、ありがとうございます。
後2話でこの章は終わります。
まだ完結ではありません。
もう少しお付き合い、どうぞよろしくお願いします。




