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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第9章 若宮朋佳
231/258

29 気持ちがわかる

どうぞよろしくお願いします。

 私は都さんと一緒の部屋で、都さんにまるで着せ替え人形のように、服を着替えさせられ、メイクや髪型をいじられ……。

 こういうのもお色直しというのでしょうか?

 もう3回はしたよ。

「楽しいわー!」って都さんは喜んでるけどさ……。

 まあ、おしゃれできて楽しいっちゃ楽しいけどさ。

 都さんが私をなかなか離さないので川上先生の機嫌が悪く、部屋に籠ってしまったみたい。

 紗栄先生と加藤さんは一緒の部屋なんだよ。

 で、都さんと私が一緒。

 川上先生はひとり。

 なんか、川上先生に当たりというか、ちょっと意地悪してるのかな?

 加藤さんにこそっと聞いたら、困った顔してた。


「あー、少しはあるかもな。

 川上って動じないっていうか、何があっても慌てないっていうか、余裕でやり過ごす、素を見せないって感じで。

 都はそれが面白くないんだろうな。友達だけど、ちょっといけ好かないっていうか、昔から……。

 あ、都が川上を好きはないよ。それはない。

 どっちかというと篠原のことだな。

 もっとちゃんと川上がつかまえておけば……とは思ってそうだ」


 私は想像してみる。高校生の川上くん。

 自分は彼女で……。

 なかなか素を見せてくれなくて。

 本当に好きだと思ってくれているのか不安になる。


 だー、だめだ!

 全然わかんない。

 私の前では素というか、前世出しまくりだもんな。

 


 夜、都さんがすっごいきれいなシルクのネグリジェを着せてくれた。

 なんや、これ。ドレスみたい!?

 色は白で、でも生成りに近い柔らかい色。なんか真珠の色って感じだな。

 しかし……、これ着て寝たら、寝起き絶対スカート捲り上がってる気がする!!

 寝相、そんなに悪いほうじゃないけど、家族で温泉旅館に泊まった時、浴衣を着て寝てみたら朝すごいことになってるから、たぶんこれも同じだろう。


 月がとてもきれいで、出窓の所がベンチみたいになってて、そこに座り、都さんと月を見ていた。

 ドアがノックされる音。

 少しドアが開いて、そこにいたのは川上先生だった。


「どうぞどうぞ」


 都さんが立ち上がり、部屋の中に招き入れる。


「何? 話って?」


 そう言いながら、川上先生の視線は私を捉えている。


「ふふっ、さすがの川上もトモちゃんには勝てないかー」


 都さんはにんまりしている。


「ああ、そうだよ。なんだよ。この、目の前にいるのに、触れないし、ふたりっきりになれないし……。何の修行だよ」


「ふふふ、本当に川上はトモちゃんが好きなんだねー」


 そして、小さい声で言った。


「篠原にもそれぐらいの態度取ってたら……、人生違ったと思うよ」


 川上先生は視線を都さんに移した。


「悪い。

 あの時は……、まだよくわかっていなかった。

 篠原が他の女の子よりは……、それぐらいの気持ちで付き合おうって言って……、悪かったと思っている。

 篠原、不安だったんだよな。

 でもその不安を見せないようにしてて、そこを天堂に付け込まれた」


「よくわかってんじゃん。

 そう、篠原だけのせいじゃない。

 川上も悪かったと私は思うよ。

 まあ、篠原のやったことの方が言葉にしたらひどいけどね。

 でも……、そんな川上も年貢の納め時だね。

 好きで好きでたまらない存在ができたら、篠原や他の女の子があんたのことをどう見ていたのか、どう焦がれていたのか、少しはわかったんじゃない?」

読んで下さり、ありがとうございます。

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