29 気持ちがわかる
どうぞよろしくお願いします。
私は都さんと一緒の部屋で、都さんにまるで着せ替え人形のように、服を着替えさせられ、メイクや髪型をいじられ……。
こういうのもお色直しというのでしょうか?
もう3回はしたよ。
「楽しいわー!」って都さんは喜んでるけどさ……。
まあ、おしゃれできて楽しいっちゃ楽しいけどさ。
都さんが私をなかなか離さないので川上先生の機嫌が悪く、部屋に籠ってしまったみたい。
紗栄先生と加藤さんは一緒の部屋なんだよ。
で、都さんと私が一緒。
川上先生はひとり。
なんか、川上先生に当たりというか、ちょっと意地悪してるのかな?
加藤さんにこそっと聞いたら、困った顔してた。
「あー、少しはあるかもな。
川上って動じないっていうか、何があっても慌てないっていうか、余裕でやり過ごす、素を見せないって感じで。
都はそれが面白くないんだろうな。友達だけど、ちょっといけ好かないっていうか、昔から……。
あ、都が川上を好きはないよ。それはない。
どっちかというと篠原のことだな。
もっとちゃんと川上がつかまえておけば……とは思ってそうだ」
私は想像してみる。高校生の川上くん。
自分は彼女で……。
なかなか素を見せてくれなくて。
本当に好きだと思ってくれているのか不安になる。
だー、だめだ!
全然わかんない。
私の前では素というか、前世出しまくりだもんな。
夜、都さんがすっごいきれいなシルクのネグリジェを着せてくれた。
なんや、これ。ドレスみたい!?
色は白で、でも生成りに近い柔らかい色。なんか真珠の色って感じだな。
しかし……、これ着て寝たら、寝起き絶対スカート捲り上がってる気がする!!
寝相、そんなに悪いほうじゃないけど、家族で温泉旅館に泊まった時、浴衣を着て寝てみたら朝すごいことになってるから、たぶんこれも同じだろう。
月がとてもきれいで、出窓の所がベンチみたいになってて、そこに座り、都さんと月を見ていた。
ドアがノックされる音。
少しドアが開いて、そこにいたのは川上先生だった。
「どうぞどうぞ」
都さんが立ち上がり、部屋の中に招き入れる。
「何? 話って?」
そう言いながら、川上先生の視線は私を捉えている。
「ふふっ、さすがの川上もトモちゃんには勝てないかー」
都さんはにんまりしている。
「ああ、そうだよ。なんだよ。この、目の前にいるのに、触れないし、ふたりっきりになれないし……。何の修行だよ」
「ふふふ、本当に川上はトモちゃんが好きなんだねー」
そして、小さい声で言った。
「篠原にもそれぐらいの態度取ってたら……、人生違ったと思うよ」
川上先生は視線を都さんに移した。
「悪い。
あの時は……、まだよくわかっていなかった。
篠原が他の女の子よりは……、それぐらいの気持ちで付き合おうって言って……、悪かったと思っている。
篠原、不安だったんだよな。
でもその不安を見せないようにしてて、そこを天堂に付け込まれた」
「よくわかってんじゃん。
そう、篠原だけのせいじゃない。
川上も悪かったと私は思うよ。
まあ、篠原のやったことの方が言葉にしたらひどいけどね。
でも……、そんな川上も年貢の納め時だね。
好きで好きでたまらない存在ができたら、篠原や他の女の子があんたのことをどう見ていたのか、どう焦がれていたのか、少しはわかったんじゃない?」
読んで下さり、ありがとうございます。




