20 家事と育児への理解
どうぞよろしくお願いします。
天堂さんが驚いた表情をした。
確かに約束も何もしてないもんな。
「あけましておめでとうございます。
天堂先生、匠海くん。
若宮がバイトに来ると聞いていたから、新年の挨拶がてら様子を見に来ました。
こちらは相原くん。彼女達の友人で、私も親しくしています。そこで出会ったので連れてきました」
私達は頷く。
匠海くんが私の手をぎゅっと握った。
「相原くんはいい人だよ。
こちらが匠海くん。どうぞよろしく」
私の言葉に匠海くんが軽くぺこりとした。
「よろしくね、匠海くん」
相原くんは手を差し出した。
匠海くんはゆっくり……、自分から手を伸ばして握った。握手。
「急に押しかけてすみません。
でも、人手が多いほうが天堂先生も楽でしょう」
川上先生がそんなことを言って笑顔を見せる。
まあ、天堂先生としては断れないよね。女子高生達の前でいいとこ見せたいだろうし。
ん?
マンションの部屋には最初に見かけた4人がいて、これからこの7人が部屋に帰るということ!?
すごい人数だな!?
「そういえば新年会はどうだったんですか?」
「ああ、朋佳さんのおかげで、無事に褒めて頂けたよ。
泉学院には料亭のお嬢様がいるとはね!
さすが伝統の女子校だな」
川上先生が天堂さんと会話を始めてくれたおかげで、私達は匠海くんと楽しく小さな声でおしゃべりしながらエレベーターにぎゅっと乗り込んだ。
「たくさんだね!」
匠海くんの楽しそうな声が響く。
「ふふ、そうだね。ラッシュみたい」
マユミが笑って答えた。
ソウヤくんは雅の方にいるんだろうな。
天堂先生が鍵を開けて入る。
何も変わりない様子。続けて私達も入った。
あれ? 隠れてるの?
上着を脱いでかけて、洗面所で手を洗って、匠海くんとうがいする。
リビングに行き、匠海くん、アキ、マユミ、相原くんがソファの方で絵本を見ておしゃべりを始めた。
私はダイニングテーブルの上を見た。
そのまんまですよ。
「天堂さん、テーブルの上のもの、台所の流しまで下げて下さい。
そうしたら洗っておきますから」
私はとうとう言ってしまった。
「……片付けてくれてもいいだろう。バイト代を払ってるんだし」
む?
「……今日のバイト代は3人で昼食をごちそうしてもらったことになりましたよね。
バイト代……と言うほどかな?」
「バイトに来たのに、バイト代が3人の昼食代になったのか!?」
川上先生が呆れたように言った。
「まあ、3人で来たからいいんですけど。
でも、私は匠海くんのシッターとして来ているのであって、家政婦じゃないし。
それに天堂さん。雅さんの家事の負担を考えたら、食器くらい下げても罰は当たりませんよ」
天堂さんはふっと笑って言った。
「朋佳さんもけっこう生意気なことを言う女の子なんだね。
男女平等とか言うのかな?
我が家には我が家のやり方があるし、雅は家事と育児が仕事だ。
何故、外で働いて妻子を養っている私が家事をしなくてはいけない?
雅の仕事だ」
私はため息をついた。
「天堂さんは家に帰ってきて、仕事を休める。
雅さんは?」
「だから、君を雇って、雅は出かけているだろう!?」
「天堂さんは毎日家で休めるのに、雅さんは特別な時だけしか休めないんですね。
私だったら、そんな理解のない夫は無理だな。
流しにあった食器は洗いました。
普段からご自分で使った食器や食べ終えた物ぐらいは下げて、テーブルをきれいにして下さい」
読んで下さり、ありがとうございます。




