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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第9章 若宮朋佳
222/258

20 家事と育児への理解

どうぞよろしくお願いします。

 天堂さんが驚いた表情をした。

 確かに約束も何もしてないもんな。


「あけましておめでとうございます。

 天堂先生、匠海くん。

 若宮がバイトに来ると聞いていたから、新年の挨拶がてら様子を見に来ました。

 こちらは相原くん。彼女達の友人で、私も親しくしています。そこで出会ったので連れてきました」


 私達は頷く。

 匠海くんが私の手をぎゅっと握った。


「相原くんはいい人だよ。

 こちらが匠海くん。どうぞよろしく」


 私の言葉に匠海くんが軽くぺこりとした。


「よろしくね、匠海くん」


 相原くんは手を差し出した。

 匠海くんはゆっくり……、自分から手を伸ばして握った。握手。


「急に押しかけてすみません。

 でも、人手が多いほうが天堂先生も楽でしょう」


 川上先生がそんなことを言って笑顔を見せる。

 まあ、天堂先生としては断れないよね。女子高生達の前でいいとこ見せたいだろうし。

 ん?


 マンションの部屋には最初に見かけた4人がいて、これからこの7人が部屋に帰るということ!?

 すごい人数だな!?


「そういえば新年会はどうだったんですか?」


「ああ、朋佳さんのおかげで、無事に褒めて頂けたよ。

 泉学院には料亭のお嬢様がいるとはね!

 さすが伝統の女子校だな」


 川上先生が天堂さんと会話を始めてくれたおかげで、私達は匠海くんと楽しく小さな声でおしゃべりしながらエレベーターにぎゅっと乗り込んだ。


「たくさんだね!」


 匠海くんの楽しそうな声が響く。


「ふふ、そうだね。ラッシュみたい」


 マユミが笑って答えた。

 ソウヤくんは雅の方にいるんだろうな。

 天堂先生が鍵を開けて入る。

 何も変わりない様子。続けて私達も入った。

 あれ? 隠れてるの?

 上着を脱いでかけて、洗面所で手を洗って、匠海くんとうがいする。

 リビングに行き、匠海くん、アキ、マユミ、相原くんがソファの方で絵本を見ておしゃべりを始めた。

 私はダイニングテーブルの上を見た。

 そのまんまですよ。


「天堂さん、テーブルの上のもの、台所の流しまで下げて下さい。

 そうしたら洗っておきますから」


 私はとうとう言ってしまった。


「……片付けてくれてもいいだろう。バイト代を払ってるんだし」


 む?


「……今日のバイト代は3人で昼食をごちそうしてもらったことになりましたよね。

 バイト代……と言うほどかな?」


「バイトに来たのに、バイト代が3人の昼食代になったのか!?」


 川上先生が呆れたように言った。


「まあ、3人で来たからいいんですけど。

 でも、私は匠海くんのシッターとして来ているのであって、家政婦じゃないし。

 それに天堂さん。雅さんの家事の負担を考えたら、食器くらい下げてもばちは当たりませんよ」


 天堂さんはふっと笑って言った。


「朋佳さんもけっこう生意気なことを言う女の子なんだね。

 男女平等とか言うのかな?

 我が家には我が家のやり方があるし、雅は家事と育児が仕事だ。

 何故、外で働いて妻子を養っている私が家事をしなくてはいけない?

 雅の仕事だ」


 私はため息をついた。


「天堂さんは家に帰ってきて、仕事を休める。

 雅さんは?」


「だから、君を雇って、雅は出かけているだろう!?」


「天堂さんは毎日家で休めるのに、雅さんは特別な時だけしか休めないんですね。

 私だったら、そんな理解のない夫は無理だな。

 流しにあった食器は洗いました。

 普段からご自分で使った食器や食べ終えた物ぐらいは下げて、テーブルをきれいにして下さい」


読んで下さり、ありがとうございます。

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