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TS転生! トラウマ女神のやりなおし〜 王国編〜 ♡♡♡最強美少女になったはいいけど、心まで女になるなんて聞いてない!♡♡♡  【王国編完結保証!】  作者: トンブタ
第22章 奇跡、再び。

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440-22-2_銀色の髪

 蝋燭の灯火が、玉座に座る女性の仮面の奥の瞳に、小さな光を反射させた。線が細い女性だ。

 前の女性が場所を譲ると、ローラ夫人が挨拶を行った。


「今宵は、お招き下さり大変光栄に存じます」


 夫人の後ろでイリハとともに腰を落とす。従者が王妃の耳に口元を寄せて手を翳した。王妃が小さく頷く。王妃はローラ夫人に優しい笑みを浮かべた後、イリハに視線を向けて頷いた。その視線は私のところで一旦止まり、従者に何かを告げた。夜の闇を覗くような瞳がこちらを見つめる。そして、その瞳は、そのままサナレの方へと流された。


 ローラ夫人は次の女性に場所を譲ると、私たちは元いた所に戻った。

 サナレが呟くように言う。


「王妃様と目が合った気がしました」


「ええ、確かにサナレさんの方を見てたわ。ちゃんとイーサンさんが王妃様に伝えたのよ、サナレさんも来てるってね」


「あ〜、なんだか緊張してきました。第二王女様にお会い出来ますでしょうか?」


「そこが肝心ね」


 王妃は、全ての令嬢の挨拶を受けた後、会場全体に視線を向けた。


「みなさま、今夜の満月を愛でながら、心ゆくまでお寛ぎください」


 王妃の言葉が終わると、ハープの音色が流れ始める。

 ローラ夫人が振り返り、口の両端を小さく上げた。


「エリアさん、しばらくすれば王妃様がお席を外されます。その後、直接お話になりたいご令嬢に声が掛かりますから、その時が王妃様とお話をするチャンスとなりますわ。それまでに仕込みをしておきましょうか」


 雛壇を見ると、王妃の手前には沢山の貴婦人が集まっていた。


「仕込み?」


「ええ、フフフ」


 ローラ夫人が嬉しそうに笑う。

 イリハがこちらを見上げて言った。


「お母様が仰ってるのは、出来るだけ多くの人にエリアを紹介するってことよ」


「私を?」


 ローラ夫人が頷く。


「ええ。ほら、みなさんの様子をご覧ください。こちらを見てこそこそとお話をされていますでしょ? エリアさんの銀髪はすでに注目を集めていますわ」


 見渡すと、チラリチラリとこちらに視線が向けられている。


「本当だ、扇子で隠してるけど、こっちを見てるみたいね」


「もう一押しすれば、会場の話題をさらう事が出来ますから、そうすれば王妃様からもお声が掛かるでしょう」


「ほ〜、なるほど。もう駆け引きが始まってるのね、ローラ夫人も策士だね」


「嗜みと仰ってくださいませ、フフフ。とは申しましても、あちらのご婦人にご挨拶すれば後は自然と事が運びますから」


 そう言って、ローラ夫人がゆっくりと移動する。夫人が挨拶をしたのは、夫がレムリア派の旗頭的存在であるレイブン伯爵夫人だった。仮面越しでお互いに名乗りはしないが、ローラ夫人とは旧知の間柄らしい。


「北の貴婦人様、ご機嫌よう」


 北の貴婦人? なんか隠語っぽい。


 ローラ夫人が、花型の仮面の向こうに白髪をのぞかせる女性に声を掛けた。北というのは王都から北の方角という意味らしい。レイブン伯爵領がある北方のセプテントゥリ地方を指しているようだ。因みに、ボズウィック男爵領があるのは西のオッキデンス地方である。


 ローラ夫人よりも頭一つ大きい女性は、羽扇子を口に当て目を細める。


「これはこれは、西の貴婦人、ご機嫌よう。まあまあお嬢さんも立派にご成長なさいましたね」


「ありがとうございます!」


 イリハは、小さな手でドレスの端をつまみ腰を落とした。


「あら、ご挨拶もお上手ですこと、フフフ」


 レイブン伯爵夫人は感心しながら微笑むと、視線をこちらに向けて下から上まで舐めるように動かし、最後に頭のところで止めた。


「それで、このお方がそうなのですか……?」


「はい、お手紙で申しましたとおりですわ」


「おやまあ、本当に神秘的と言いますか、美しい髪。いいでしょう、私に任せてちょうだい」


 ローラ夫人が軽く頭を下げると、北の貴婦人は、少し離れた数人の集まりに向かって踵を返す。


「お願いいたします……あら、もう行ってしまわれましたね、フフフ」


 ローラ夫人の言葉を最後まで聞かないうちに、レイブン伯爵夫人は勇んで集団の中へ消えていった。楽しげに笑うローラ夫人が、彼女と、どんな話をしたのか気になった。


「あの伯爵夫人、随分鼻息荒かったけど、何かお願いしたの?」


「特別な事は申し上げておりませんわ。ただ、エリアさんの髪は染めたことの無いバージンヘアだとお伝えしただけです」


「それだけ?」


 イリハが腕組みして顎を斜めにしゃくる。


「エリアは、何にも知らないんだから。あのね、銀色の髪のお嫁さんをもらったら、家が大きくなるっていって縁起がいいのよ」


「へぇ〜、家が繁盛するんだ? 面白いね」


「エリアの事よ」


 イリハが呆れたように言う。

 ローラ夫人が、ニコニコと笑った。


「エリアさん、建国の母である初代国王陛下のお妃、カメリア殿下が銀色の髪をしていたのです」


「あー、それで」


 って、それ私だけど。いや、ちょっと待って。と言うことはレイブン伯爵夫人は……。


「ロ、ローラ夫人、もしかしてあの伯爵夫人、私の嫁入り先を探しに行ったんじゃ……」


「そのようには依頼していませんが、結果、そうなってしまうかもしれませんね、フフフ」


 ローラ夫人が嬉しそうに笑う。


「適齢期のご子息がいらっしゃる家のご婦人方は、他家のご令嬢のお品定めにいらっしゃっていますので、ご興味を示す方も多いんじゃないかしら。これで、エリアさんへの注目度が上がりますね、ホッホッホ」


 や、やっぱり、ローラ夫人は策士だわ。

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