自転車のヘルメット義務化、断固反対
まず、勘違いはしないでほしい。
自転車のヘルメットが、事故が起きた時、運転者の命を救うことは湯兎とてよくわかっている。
わかっているが、湯兎にはどうしても、断固反対しなければならない理由があるのだ。
だって、ヘルメットが義務化されたら、湯兎は自転車に乗ることができなくなるのである。
湯兎は、どうやっても、ひっくり返っても逆さ立ちをしても、ヘルメットを――正確には、ヘルメットの「ベルト」を装着することができないのである!!
湯兎はこれまで、意図的に書くのを避けていた過敏症がある。
視覚、嗅覚、聴覚、味覚に続く――触覚過敏である。
湯兎に触覚過敏がないわけではない。
むしろ、触覚過敏が湯兎の生活に影響を与えすぎていて、「どれから書こうか」と困惑していただけである。
まさか第一弾がヘルメット反対になるとは思ってもみなかったが。
触覚過敏についてはまた今度語ろう。語りたいことが多すぎる。
最低限の情報としては、体のある部位を触られるとおぞけがたつほど嫌悪感を覚える、特定の感触の物体に触れることができない、タグや繊維の感触への忌避感により特定の素材の服しか着られない、こんなところだろうか。
湯兎のヘルメット反対の理由にあたるのは「体のある部位を触られるとおぞけがたつほど嫌悪感を覚える」である。
触られたくない部分は山ほどあるが、むしろ全身触れるなとハリネズミになりたいのであるが、そのうちでも「首」は湯兎の急所だ。
それは人間、だれだって急所であろう。
甘い。
チョコレートをはちみつにどっぷりひたしたくらい甘い認識だ。
だって普通の人は、首筋に指一本触れられただけで呼吸ができなくなったりしなかろう?
湯兎は止まる。
頭がパニックに叩き落され、相手の手を払えばいいだけなのに指先一つぴくりとも動かないまま、声を出すこともできないまま、全身が止まる。
湯兎、この特性でうっかり整体の先生に殺されかけたことがある。
もちろん先生に悪意はないしいわんや殺意だってあるわけない。
湯兎だって事前に「首苦手」を伝えた。
それでも施術中に首に指一本触った、それだけのことである。
それだけのことが、湯兎の特性でうっかり殺人事件に発展しそうになっただけである。
思い出しただけで当時の恐怖までよみがえってくる。ああ背中に悪寒が。
精神的によろしくない。当時の事故についてはこのあたりにしよう。
これで湯兎の「首苦手」が伝わったと信じる。
さて、ひるがえってヘルメットである。
皆様もわかったであろう。
ヘルメットは、あごひもで固定する。
無理だ。
重ねて言おう。無理だ。
もう一回重ねよう。絶対に、無理だ。
湯兎につけられるわけがない。
つけたとしたら、自転車を運転する前に酸欠で死ぬ。
死なないかもしれないが、少なくともヘルメットをべりっ!! とはがすことにはなろう。
ヘルメット、というか頭装備を固定するあごひもは湯兎の天敵なのである。
だから法律を作る人々はぜひ知っていていただきたい。
ヘルメットの有用性を知っていても、自転車を運転していて死にたくないなあと思っていても、生理的に「つけられない」人種がいることを。
ヘルメットの着用が広がるのは望ましい。大変よろしい。
が、それが義務化されるとなると……。
そして、それが過敏症の人に配慮してないとなると……。
どうしても、自転車のヘルメット着用義務化、断固反対を唱えなければならない湯兎である。
今回出てきた症状……触覚過敏




