状況の変化
魔物の王が滅んだことで情勢は大きく動くはずだった。
まず、侯爵領軍は東の樫鬼、鱗鬼連合軍の征服に傾注するようになるだろう。
人狩部隊の脅威がなくなった今、魔物の王のいた台地、それに南の森林地帯に開墾の斧をいれていくだろう。ダラたちとの接触までどれほどの猶予があるかはわからない。
彼女の出身である廃村のあたりも人が住み着くかもしれない。
そしてあそこに監視所ができることから、俺たちと侯爵領との平和的かそうでないかわからないが交渉が始まるだろう。
だが、まずは後処理の段階だ。勝者である侯爵領では英雄部隊の帰還、あるいは残留の確認まち。そして絶対数の多くない領軍の受けた損害の回復。
英雄部隊にはご帰還願いたい。そして東の樫鬼たちには侯爵領軍と拮抗してほしい。
おとなしくするのと同時に、彼らへの武器支援を進める必要がある。幸い、武器は遺跡の工房から森の中の森番の道を通って運んでいくので少しづつだが運び込めるようになっている。
輸送を担当する樫鬼の森番三人については塩の売却益を回して生活の保障をリンホーが手配してくれたので、専従できるようになっている。
そして俺は取り込んだ魔物の王の情報を整理する必要がある。
他の元魔王配下同様、読み出せる情報はほとんどなかった。召喚して聞くのが一番だが、今のところ必然性はあまりない。それに、四天王同様に情報があいまいになってるようで召喚したくてもできそうにないのだ。
四天王は幽霊で長い年月を過ごしたために劣化していたのだが、魔物の王にそんな時間はない。幽霊にさえなっていない。これはおそらく、駄女神の失敗のせいだ。
それなら、四天王同様に魂を修復できるのではないか。
試してみる価値はある。だがまあ、ちょっと後回した。
スーハオが今後について相談したいというメッセージをよこしてきた。
彼は魔王としては先輩で、情報空間のことも俺より知ってる。エリナは読み取ることに気づいたが、文章ベースのメッセージも残すことができるらしい。ぽんとポップアップしてきてかなりびっくりした。
俺が魔物の王にとどめをさして取り込んだことが帰還の理由だった。
帰還予定まで二日。これで少し時間ができた。魔物の王の魂の復元には一日かかると見ておいたほうがいい。他を片付けて時間があったらやることにしよう。
妖魔の商人がくれば会議だが、これはもう少し後。
ならばまずはレベルだ。
レベルをあげれば魔力の総量もあがるし、結界の枚数も増える。結界の機能は二十枚ごとに追加機能が解放されるが、最初のものは一枚に集約するかわりに空気も水も通さないようにできる、というものだ。当然、息はしなければならないから時間に制限があることになるが、場面によってはすごく助かるものになると思う。
今のステータスだと十五くらいが適正かもしれないが、ここは一旦十まであげることにした。配下への補正のかかり具合、四天王たちの制限解除ぶりをまずは見たい。それと、そろそろ霊体の錬成ができそうなので、ゴーレム用に応用しているロクザン翁直伝の技術で偵察小鳥と別の意味で使い勝手のいいのを作ってみたい。




