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72.成長



「そうか。 ならば少々痛めつけてやるとするか。 そうすれば気も変わるだろうしな......躾の時間だ」


ゴブリンのリーダーは足へオーラを溜め、一気に地面を蹴りつけた。

土がえぐれ吹き飛び、一瞬で私の横へ移動。流石はA+レベルの魔族といったところか。


――ガシッ


「!!」「ははっ、言う程でもないなぁ? 簡単に掴まえてしまったではないか!」


腕を掴みニヤニヤと笑みを浮かべる。


「このまま腕を握りつぶす。 そこでまた答えを聞く。 ノーというならばもう片方の腕を潰す......腕がなくなれば次は脚だ。 お前が俺様のモノになると......俺様のモノにしてくださいと懇願するまでこの躾は続くぞ。 くく」


――ミシッ、ミシ


「――ぐっ、あ、ああっ」


「ふひひっ、いい......そそる声で喘ぐではないかっ!」


パシャ――ッ


握りしめていた腕が、まるで水が割れるように破裂した。


「......あ?」


次の瞬間。


――スパァンンンッ!!


ゴブリンリーダーの首が宙を舞った。


ゴロゴロと転がり、こちらに顔を向けた状態で止まる。その表情はまるで信じられないものを見たような、驚愕の色がはりつけられていた。


「ごぶっ、ぶふっあっ......てめ、なんで」


しっかりと両手で握られている剣。しかし、確かに片腕は潰したはず。なのになぜ?

そんな思考が伝わってくる。


「......あなたが握っていたのは私がつくった偽物の腕だよ。 水魔法......【水鏡偽(みなもうつし)】」


自身の肉体を鏡で写したかのように水で再現する魔法。


「な、なんだと......ありえね、え」


ゴブリンリーダーが白目を剥き息絶えた。



ちょうどゴブリンを掃討し終えたヒメノがアトラにいう。


「強いね、リアナちゃん。 無詠唱の魔法にあのクオリティ......あれ、親玉ちゃんダミーの腕本物と間違えてたんだよね。 ああいう魔法って触れたら偽物だってバレるはずでしょ? スゴイね」


アトラはうなずいた。


「彼女の水魔法はかなりのものだろうな。 それこそ場合によっては特級を上回るんじゃないか......まあ、リアナの最も秀でている所は他にあるが」


「......剣技かな」


「ああ。 あのユグドラシルの剣鬼に鍛えられた彼女の才は、剣技だけでいえばおそらくはレイに近いレベルになってるだろう」

「はあ、すごいねぇ」


にっこり笑うヒメノ。


「けれど、あんたの方が剣技でいえばリアナよりも上だ」

「!」


「動きをみればわかる」

「なら、君もかなりの強さだね。 ってか、魔獣を一人で倒せる時点で相当なもんだけど」


「まあ、確かに。 一般の基準から大きく逸脱してきたな......」

「そだね。 まあ、強さっていうのは環境次第で変わるもんだからね。 あとは死線を潜り抜け生き残れる運」


「あ! ふたりとももう終わったの! はやい!」







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