71.誰の
地上へ出ると丘の上だった。
後ろを振り返ってもユグドラシルの入口は無い。どうやら一度下層へ侵入して戻るとランダム転移されるようだ。
さて、ここは何処だろう。見上げれば晴れやかな青空と日中の爽やかな風。
(あ、レイと出会ったときもこんな日だったな......)
「あー、いたいた! おーい」
声がする方を見るとそこには赤い髪の女性がいた。
「ヒメノさん!」
「おっす! あなたがリアナちゃんだよね? んで、隣の人がアトラくんか」
「......ども」
「二人のことはフェイルから聞いてるよ。 よろしくね〜!」
「よろしくお願いします!」「よろしく頼む」
うわあ、綺麗な人だなぁ。紅い艶のある髪......美人さんだ。フェイルとおんなじ。
この人もレイのパーティだったんだよね。なんかちょっとモヤモヤするかも......なんて。
「いやあ、リアナちゃんはフェイルに聞いた通りだね。 めっちゃ可愛い! これはレイも好きになるわ!」
え、レイが?わ、私の事を好きに?
「そ、そうなんですか?」
「あれ? 違うの? ずっと二人旅してたって聞いてたからさ。 てっきりあなたのこと好きなのかなって......違ったかな? あはは」
な、なんだそういう事か。びっくりした。てっきりそうレイが言っていたのかと......って、なんだこの気持ちは!がっかりなんかしてないし!
なにも言えなくなるわたしのかわりにアトラが聞く。
「ところでなぜ俺たちがここにいる事がわかったんだ?」
「ん? ああ、それはね。 ここって王都の近くなんだよ」
「「え?」」
偶然なのか、それとも近場に送ってくれたのか。
「ま、近いと言っても歩いて一時間くらいかかるけどね。 いこっか」
「ああ」「はいっ」
――ズズ
「......!」「!?」「ッ!?」
ねっとりとした流れる空気。魔獣の気配と臭いがした。
「近いね。 あたしらを狙ってる」
「この距離まで気配を殺して近づくか。 レートでいえばA〜とかか?」
「そだね。 最近の魔物は例の事件でレベルがあがってるから、そのくらいはあるだろうね。 オーラの感じから言っても」
魔界の門が開かれ、その魔力の影響により魔獣が活性化。
「油断しないでね、リアナちゃん、アトラくん」
頷くアトラと私。しかし、状況は悪い方へ流れ出す。
周囲を十数匹のゴブリンに囲まれていた。その中央、巨大なゴブリンがこちらに殺意を向けていた。おそらく彼がこの群れのリーダーなのだろう。
「やれ」
彼が合図すると、群れは一斉に動きだした。
(――群れのレートはC相当だけど、親玉はSに近いA+......!)
「――うぎゃ!!」「ぎゃっ!!」
アトラとヒメノさんが瞬く間に迫るゴブリンを斬り裂き斃していく。
しかし、何故か私の方にはゴブリンは襲ってはこない。
かわりに群れのリーダーがゆっくりと歩み寄ってきた。
「貴様、その金色の髪、澄んだ瞳......美しいな。 俺のモノとなれ」
両手を差し向け、彼はニタリと嗤う。
しかし私はその手を取らない。かわりに抜いた剣を差し向けこういった。
「ごめん、それは無理。 だって、私はレイのモノだから」
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