第8話 実験
「じゃあ、い、行きますね……えいっ!」
ミールルアは、私に向けて魔法を放った。
『……ん? 何だか、元気が出てきたような……』
「せ、成長の魔法です……流石に看板からじゃ伸びたりはしないみたいですね……」
『あ、ああ……』
ミールルアは、その後も、強度を測ったり、看板を作っている木について鑑定したりして、満足そうな顔をしていた。
覚悟を決めていたが、思ったよりもぶっ飛んだ事はされなかったな。訴えが届いたのだろうか。
「これは……なるほど……よく分かりました」
『え、何が分かったの?』
「ありがとうございます」
『……』
ミールルアに、何がわかったかぼかされてしまった。……いや、私も歴史の話の時、誤魔化しはしたが……私が何か分かったらまずい事でもあるのだろうか……?
「マルィさん……。マルィさんは、あ、あまり外を出歩かない方がいいかも知れません」
そんなことを思っていると、ミールルアに何やら含みのある言葉遣いをされた。外を出歩かない方がいい? そりゃあ、看板なんだから堂々と出歩いていたらまずいだろう。賢者の生まれ変わりだなんて信じてもらえなさそうだし。
……わざわざそれを伝えるという事は、何か知られるとまずいものを見つけたという事か……?
ああそれとも、実質的な死者蘇生だという事に気づいた、とか……。
しかしそれなら、あまり出歩かない方がいいだなんて言い方じゃなくて、絶対に外に出ちゃまずいという言い方をするはずだもんな……。
『まあ……分かった……。いや待てよ、それなら私はこれからどうすればいいんだ……?』
あまり出歩かない方がいいと言っても、出歩かなければ私が看板になった理由や、転生した理由が分からない。
……というか、ナチュラルにこれからもここで暮らす事になっているが、いいのだろうか。
『……ミールルア、やはり、話してくれ。さっきは、何が分かったんだ……?』
いいわけが無い。……やはり出歩く必要はある。それを控えた方がいい理由、それを聞かない訳には行かない。
「マ、マルィさんだって……な、なにか隠してるじゃないですか……」
……まあ、やはりそうなるよな。
しかし私が魔王を倒したと言って……信じてもらえるかはともかく、大丈夫なのだろうか。
……だが、出歩かない方がいい理由を知るため……致し方ないか……。ミールルアなら、すぐに言いふらしたりはしないだろう。
『……実は私は……過去に魔王を倒した事があるんだ……』
私は、ミールルアにそう伝えた……。




