025 怒る
SUI side
今、私たちは厄介な相手と戦っている。
ポイズンドラゴは皮膚にべったりと毒が付着していて、それに触れると皮膚や肉が溶ける。
毒無効系統のスキルは体内の毒しか除去することが出来ず、外側の毒に対しては全くと言っていいほど効果を成さない。
おまけに、魔法耐性のスキルを持っていて魔法の効き目が薄い。一体どう戦うべきか分からないでいると、魔王のイリスと名乗るナビゲーター?という存在が案を提示してきた。
イリスの出す案は毎回、確実に効果のあるものばかりだから今回も期待するものの《地面です》の一言だけ、思わず問おうとしてみれば魔王は理解したらしく、地面に手を触れる。
「魔王、あんた何をしようと」
「僕の持ってる魔法は………氷結、獄炎、天空、空間。そして無色魔法の5つ…………無色魔法が何なのかよくわかんなかったけど…………これでいける」
「だから、何を言って」
「魔法構築開始」
《了解》
魔法陣はそれぞれの属性と同じ色になる性質がある。火、獄炎なら赤。水、大海なら青。
魔王が地面に展開した魔法陣はどの色でもなく、真っ白だった。
「スイ!………構築まで時間かかる」
「………はぁ、わかったわ。こっちは任せて」
構築に時間がかかるせいで微動だにできない魔王に代わってポイズンドラゴの相手をする。
ドラゴの動き自体はかなり鈍いが、皮膚に付着した毒は飛ばせるらしく体をブルルルッと震わせると毒をばら撒き、飛ばしてくる。
それさえ警戒すれば攻撃が当たることはないのだけれど…………
「ンゴォオオオ!」
変な鳴き声を上げ、体を震わせると毒が飛び散る。私自身は避けれるが、動けない魔王にも飛んでいく。だから私は───
SIKABANE side
無色魔法は他の魔法と違って構築が難しい。
無色は「こんな魔法!」と決まった物がなく、僕が予想するにこれは前にスイが言っていた固有魔法の模倣魔法だと思う。
それは、イリスも同じ考えで今までに事例のない魔法だからこその予想、推測だ。
今発動してる魔法もおそらく固有魔法。模倣とはいえ、誰かの専用魔法を使うからこそ構築にも時間がかかる。だから、動けない。
スイが引きつけてくれているが、ポイズンドラゴは体をブルルルッと震わせると体の毒を飛ばしてくる。今の僕に飛んでこられたら構築を止める以外に避ける方法がない。
と、思っていたらポイズンドラゴが体を震わせ毒を飛ばしてくる。
イリスのサポート有りでも時間がかかるこの魔法、もう少しで完成するのに。
解除して避けようとしたその瞬間
「アァアアアアア!………グゥ………」
スイが僕の前に立ち、盾となった。
その身で毒から僕を守ったのだ。そう………皮膚も肉も………溶かすこの毒から………僕を………ボクヲ……
「だいじょ………うぶ?………まお──」
こうして僕は、この世界に来て初めて。
本気で怒った




