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まるで星にでも願うように、指を組んで視線をぴったりと合わされる。そのあまりの真摯さに、とても逸らすことは出来ない。
「お願いです、エルザさん! 私をダイヤの国に連れて行って下さい!」
それがたとえ、真摯さと比例しない些細なお願いであっても。
「随分と急ね。何かあったの?」
「エルザさんともあろう人が、何を言うんですか!」
そのあまりの真剣さに対する質問だったが、ララは組んだ指を外して片方の手を腰に当て、もう片方の手は、まるで小うるさい教師のように、人差し指を立ててみせた。
「お茶会が終わったんですよ! 2のプロローグが始まる時期じゃないですか!」
ララの言う通り『ワンダーランドへようこそ!』の2は、恋人を作らないまま元の世界に帰らなかったヒロインの新たな出会いから始まる。
その正確な時期は描かれていなかったけど、あの国には『あれ』があるから、いつプロローグが始まってもおかしくはない……けど……。
生まれたため息は、なんとか心の内に留め、笑顔を作った。
先日の舞踏会でのルーファスとララの仲を取り持つ計画は、大失敗に終わったと言ってもいい。
『ルーファスが好きなのはララです! エルザさんでも……私でもない!!』
あの時、オーウェンに言われて戻ってみれば、まさに修羅場と言っていい場面に遭遇してしまった。
「今のはどういう意味だ? エルザはわかるのか?」
二人のことを、私と同じように心配してくれているオーウェンが、首を傾げて聞いてくるのを誤魔化すことは難しかった。
一応は正直に「わかる、といえばわかるけど……私達が解決できる問題じゃないと思うわ」と答えた。
オーウェンは、何か言おうとした言葉を飲み込んでくれたようだった。
それでも私は無関係でいていいわけがない。
数日前、ドレスを贈るといいとアドバイスしたはいいが、突っ返されたとゼンから相談を受けた。
説得して欲しいということらしかったけど、私はどちらの味方も出来ないからどうしたものかとドレスを確認して……背筋に冷たいものが走った。
ゼンには悪いが、私には説得出来ないと言って断った。
説得なんて、出来るわけがない。
ゼンが持っていたドレスは、まさにゲーム中にルーファスがララに贈ったドレスそのものだったのだから。
恐らくルーファスのことだから、ララの雰囲気と桃色のドレスで、とだけ伝えて注文したのだろうとは長年の付き合いからわかる。
だから、偶然似たドレスになる可能性は十分にあることだ。特別変わったデザインのものでもない、至って普通のチュールスカートのプリンセスラインだったのだから。赤い造花も、このドレスを着る者は、ルーファスのものだという牽制なのだから、あり得ない話ではない。
それでも、ララにとっては、まるで自己を否定されたような気持ちになったのかもしれない。
自分はヒロインの体を持って生まれただけの別人なのに、ルーファスは自分の心を好きになってくれたわけじゃないのだ、と。
2のプロローグを発生させたとして、本当にララはアリーを攻略してしまうのかしら。
もしもルーファスへの当て付けなのだとしたら、ララを好きになってしまったアリーの気持ちは……と考えて、頭を振る。
ララは人の気持ちを踏みにじるような、そんな子じゃない。
以前、ダイヤのキング推しだと言っていたから、会いたいのは本心だろう。私だって、ショーンに会えたときは本当に嬉しかったもの。
「2のプロローグがはじまるかはわからないけど、アリーとは友人だから紹介出来ると思うわ。時々二人で女子会してるのよ」
「素敵! 是非是非、お願いします!」
黄色い声ではしゃぐララは可愛い。
それでも。
私には無理に、はしゃいでいるようにしか思えなかった。
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