44誰が1番? いいえ、比べられません!
何の因果か、一緒にお風呂に入ることとなった俊介と4姉妹。
いつもは個別で利用している脱衣所だが、今日はがやがやと大盛況だった。
「わぁー。ヒメちゃん、またオッパイおっきくなってるー!」
美鈴は、和姫の大きな果実を指差して言った。
大きく、柔らかく、そして張りがある。
中学生とは思えないほど巨大な双丘だった。
「あたしも、いつかヒメちゃんみたいになれるかなぁ?」
「うふふ、きっとなれますわよ。あと数年もすれば、美鈴もプルプルキュッ! のボン☆ですわ」
和姫は自身の乳房を両手で抱えながら、
「わたくしとて、胸が膨らむペースが早まったのは中1あたりからですわ。慌てる必要性は全くありません」
「あ、あはは。そうだよねえっ。あたしだって、まだまだこれからだよねえっ?」
そういう美鈴の笑い声は、何故か乾いていた。
しかし、際どい会話だ。
俊介は出来る限り目を瞑りながら無心で服を脱いでいたが、さすがに聞こえてくる声だけは、防ぎようがなかった。
すると、レイラが淡白な口調で和姫に対し、
「くだらないわね。胸なんて、大きければいいってもんじゃないでしょ?」
「あら、レイラ。嫉妬ですの? まあ、その貧相なお胸では、致し方ないことではありますが」
「ふん、わたしのはその分、形が整ってるのよ。この美乳と、無駄に脂肪が詰まった、その下品なデカパイを比べないでほしいわね」
「プークスクス。まな板に梅干しが、何か言ってますわ」
「ヒメ……! 覚えておきなさい。あとで浴槽を血の海に染めてやるわ」
「ふっ、挑発したのはお互い様ですわよ」
レイラと和姫がまたもや言い争いを始めた時だった。
ましろがボソリと、小声でこんなことを呟くのだった。
「うー……。ましろも、ヒメねーねーみたいにおむね大きくなるかなぁ」
「え?」
和姫とレイラが振り向くと、ましろは平らな胸を手でペタペタと触っていた。
「ましろだけ、ペッタンコー。はやく、大きくなりたいー」
その言葉に、
「大丈夫だよ、ましろちゃん! 元気出して!」
「そ、そうですわましろ! 貴方はまだ小学生なのですから!」
「そうね。大事なのは適度な膨らみと、お椀のように美しい形よ。ましろ、一緒にがんばりましょう」
美鈴、和姫、レイラと、3人は一斉にましろを励ますのであった。
それにしても、と俊介は思った。最初はみんなでお風呂に入るなんて! と猛反対をしたが、家族で交流を深めるという意味では、こうした付き合いも悪くないのかもしれない。もちろん裸で入浴するのは考え物だが。こうして楽しそうにお喋りをする妹達の声を聞いてると、そんなことを言うのは無粋な気もしてきた。
そんなことを考えていると、肩を指でトン、トン、と軽く叩かれる。
俊介が「はい?」と振り向くと、ブラジャーを外した妹達が、それぞれ胸を突き出しながら、
「「「「誰のが1番綺麗?」」」」
「……」
俊介は、絶句していた。
先ほどまでの感傷的な気持ちを返してほしくなるほどに。
「どうですか、お兄様。わたくしのですわよね?」
そういう和姫の胸は、まるでスイカ。たわわに実った、禁断の果実である。中学生でこの大きさでは、高校に上がる頃には合うブラジャーがなくなるのではないかと、思わず心配になるレベルである。
「どうって言われても……」
「兄さん! わたしのも見てよ!」
その言葉に横を向くと、今度はむき出しになったレイラの乳房が見えた。
確かに、和姫に比べるとボリュームは少ないかもしれない。しかし、驚くほど白く木目細かい肌に、曲線の美しい胸は、サイズなど気にならないほど芸術的で神々しかった。
「そんなことないよねっ? お兄ちゃんは、あたしぐらいのオッパイが1番好きだよね?」
「えっ? え?」
そう言われ、今度は美鈴の方を見る。
なるほど、確かに美鈴の胸は、レイラのと比べても一回りぐらい小さかった。しかし、そんなことは問題ではない。引き締まった肉体についた胸は、その健康的な肢体をさらに強調するかのようで、裸であるにもかかわらず、いやらしさというものを感じさせないほど清々しかった。
「いや、別に誰が1番とか、そういうことじゃ……」
「にーにー! ましろは!? ましろのおむねはどう!?」
最後にましろは、懸命に無い胸を張っていた。
その大きさを一言で表現するなら「発展途上」であろう。膨らみの暗示さえない平らな胸だった。しかし、角質層など存在しないかの如く透き通った肌や、薄桃色のぷっくらとした乳首は、これからの将来性を期待させるに十分だった。
「さあ、お兄様! わたくしの胸が1番ですわよね!」
「待って! 見ただけじゃ分からないわ! ひとりずつ触ってもらうっていうのはどう!?」
「あっ、それさんせーい☆」
「よかった。ましろ、にーにーにおむね大きくしてもらえる」
すっかり言葉を失う俊介に、妹達は我先にと乳房を押し付けあった。
すると、俊介は肩をふるふると震わせながら、
「いい加減にしてください! 大人しくしてないと、皆さんとは2度とお風呂に入りませんよ!」
「「「「――っ!?」」」」
その一喝によって。
ようやく妹達は、無言で手際よく脱衣を済ませたのだった。




