39ましろ? いいえ、真っ黒です!
それからほどなくして。
「背中……流し終えました……。ましろさん……!」
披露困憊といった風に、俊介はましろに向けて言った。
「ありがとう、にーにー。じゃあ、前もおねがい!」
「やっぱり前も洗うんですか!」
たまらず俊介は叫んだ。まあ、予想していたことではあるが。
しかし、背中はともかく、前を洗うのは色々問題があるのではないか? どうしたって胸やおへそも見えてしまうし、下の方も……。俊介は、そんな想像をしてしまう自分に嫌悪した。
しかし、ましろは嬉しそうに前を向きながら、
「ねえねえ、にーにー」
「……なんでしょうか?」
「前も、おててで洗ってね? ましろ、そっちの方が気持ちいいから!」
「……はあ、そうですか」
俊介は、もはや反論する気持ちも失せていた。
ましろの体は、まだ未発達である。第一次性徴期前の、ぺったんこな胸、へそのあたりでなめらかな曲線を描くお腹、そして、白磁のように真っ白ですべすべのお肌。この辺は、幼稚園の頃と比べて少し成長してるぐらいだ。
しかし問題なのは――ましろが絶世の美少女であるという点だ。
普通ならば、この歳ぐらいの子供と風呂に入ることには、抵抗を覚えない。だが、ましろのあまりの可愛さと、年齢に合わないその色香に、さすがの俊介も惑わされそうになる。
真っ白で純粋な女の子。
そういう願いを込めて、「ましろ」と名づけられたらしいが。
色々な意味で真っ黒になっていると思うのは、気のせいだろうか。
「じゃあ……いきますよ? ましろさん」
「うん……やさしくしてね? にーにー」
「は……はい」
どことなく卑猥なやり取りだが、もう突っ込む余裕もないし、そろそろ他の妹達が帰ってくるかもしれない。ここは下手なことをして長引かせるより、一気に終わらせた方が被害は少なくて済む。
俊介はボディソープを手につけると、ましろの肩をそっと触った。
「うぅん……はうっ」
「……」
相変わらずましろは悩ましげな声を漏らすが。
俊介は構わずましろの体を撫でていく。
そこから首元、二の腕など、無難な箇所を重点的に洗っていた時だった。
ましろは不意に、
「おわったら、にーにーの体も、ましろが洗ってあげるからねー♪」
「ああ、そうですか? ありがとうございます」
「うん! 頭のてっぺんから足の爪の先まで、すみずみ洗ってあげるからね!」
「そ、それはどうも……」
無邪気なましろの提案に、戦慄する俊介だった。
「ところで、にーにー。おむねは、念入りに洗ってね?」
うっ……。
俊介は、ましろに痛いところを突かれた。
そこは流石に、軽めに流して終わらせようと思っていた部位だったからだ。
ましろの胸は、ほとんどぺったんこで、ほんのわずかに膨らみがあるだけである。しかし、それでも確実に体は少しずつ女らしくなっているのである。まだまだお子様とはいえ、無闇に触っていい場所ではないはずだ。
俊介は気まずそうに目を伏せて、
「……一応聞きますけど、どうして念入りに洗わないといけないんですか?」
「だって、おとこの人にもんでもらうと大きくなるって、さやかちゃんが言ってたんだもん」
「またさやかちゃんですか!?」
さやかちゃんとは、一体何者なのか?
今度会ったら少し説教してやろうかと、本気で考える俊介であった。
「にーにー。ましろのおむね、さわりたくない? やっぱり、ちっちゃいのはいや?」
「べ、別に嫌じゃないですよ!」
「じゃあ、もんでくれるー? ましろのおむね、大きくしてー?」
あくまで、ましろの希望はそこらしい。
ましろはまだ7歳なので、胸が小さくて当然なのだが。
こうなったましろは、頑として言うことを聞かない。
それが分かっている俊介は、覚悟を決めて手を伸ばした。




