38ませてない? いいえ、ませてます!
俊介はおそるおそる、というか恐々といった風に手を伸ばした。
そして、震える指先で、ぴとっと、ましろの背中に触れた。
「ひゃん!」
ましろが、甲高い声を上げた。
「え!? い、痛かったですか?」
反射的に、俊介は手を引っ込めた。しかし、今ので痛いのなら、流石にもうお手上げである。
「ちがうよにーにー。いたくないよ」
「じゃ、じゃあ。今の声は……?」
「だって」
俊介の問いに、ましろは赤い頬を見せながら振り返り、
「きもち……よかったんだもん」
「……」
ましろの発言に、俊介は一瞬黙り込んでしまった。
「ねえ、にーにー。手がとまってるよ? ましろ、湯冷めしちゃうー」
催促するましろの声に、俊介はハッと我に返り、
「す、すみません。それじゃあ、続けますね?」
「うん……ひゃっ! ひゃうん♪」
なんだろう、この気持ちは。
小さな妹の体を洗ってるだけなのに、俊介はものすごく背徳感を覚えていた。
俊介は煩悩を落ち着かせるように、こほんと咳払いをすると、
「出来るだけ、声は出さないでくださいね? 洗いづらいですから」
「そっかー。ごめんね? にーにー」
「いえいえ」
俊介はそう言うが、本音はましろの喘ぎ声を聞くと、どうしても自分のしていることに罪悪感を覚えてしまうからだった。
「ところで、どうなんですか? 最近学校での様子は? お勉強もちゃんとしていますか?」
何とか淫らな方向から空気を変えようと、俊介は無難な話題を持ち出した。
「うん! おともだちとは、いっぱい、いーっぱい仲良くしてるよー。べんきょうは……あんまりかなー」
「そうですか。お友達が多いに越したことはないですが、今から沢山知識を蓄えとくことも大事ですからね。本をいっぱい読むことをオススメしますよ」
「そうだねー。その方が、しょうらいのためになるもんねー」
「そうです。先んずれば人を制す、というやつです」
「ところでにーにー」
「何ですか?」
「急だけどにーにーは、おむねが大きい女の人が好きなの?」
「本当に急ですね!」
和やかな会話をしていたはずなのに、一気にHな会話になってしまった。
「だってー。男の人って、みんなおむねが大きな人が好きだって、さやかちゃんが言ってたよ?」
「さやかちゃん?」
「ましろのクラスメイト! 今1番仲がいいんだー♪」
「ああ、そうですか……」
思わず、さやかなる女の子の将来が不安になる俊介であった。
「ほかにも、おとこの人がよろこぶポーズとか、どうすれば好きな人をおとせるかとか、さやかちゃんって色々くわしいんだよ! すっごく、べんきょうになるのー!」
「は、はあ……そうですか……」
うちの妹に何を教えてくれてるんだと、さやかちゃんに対して怒りが芽生えてくる俊介だった。
というか、ましろが最近妙にませてきたのは、クラスメイトの影響か。
確かに、友達は多ければ多いほど良いとは言ったが。
少しは友達付き合いも考えさせなければいけないか?
俊介は、ましろの前途を憂うのであった。




