壱.伍.
壱.伍.
「なあ、歩。」
「ん?何?」
「この証明、わかんないから教えてくんね?」
「うーん、ここをaとするじゃん、で、ここはb。っつーことはこの外周は…ん?わかんないな」
「え?やっと半分行ったとこじゃん。お前いつもそうだよな」
そいつは、他の場所に行った。
サイトにもよるけど、平均にすると偏差値50の高校。
帰宅部ですよ、どーせね。
運動も普通。勉強も普通。
これは性質で、諦めて生きてきたんだけどなー。
でも、ここに来てよかったこともある。
優子ちゃん。
絶世の美女。とは言えない。
けど、かわいい。
肉付きが良く、ほわんとしている。
多分、あんまりもててない。
だから、良い。
お、教室に優子ちゃんが入って来た。
顔が綻ぶ。
眺めてるだけじゃ、なんでダメだったんだろう。
ムラムラ?してたんだ。
年頃だから。
そんな風に悶々とした帰り道、1人で歩く優子ちゃんが見えた。
何でかは、わからない。
魔が差した。とでも言うべきか。
「坂宮さん。」
苗字で呼び止める。
「あ、谷くん?」
「うん。ちょっと、話いいかな?」
「うん、いいけど」
心臓を高鳴らせている俺の男根の頭は優子ちゃんの方向を向いている。
それを隠しつつ、息を吸った。
「あの、入学式の時から…好きでしたっ!付き合ってください!」
ベタに頭を下げ、手を差し出す。
「ごめんなさい!」
予想通りだった。
涙が流れるわけではない。
ただ、胸をシロアリに食われている感覚。
「うぉぉぉ」
俺は歩いていた橋から、ダムに繋がっている県境の川に飛び込んだ…
目を覚ますと、ベッド。
天国?地獄?それとも生き延びたのかなぁ?
目をこすり、起き上がる。
全体が木でできた部屋。
(今時珍しいなぁ)
布団を剥いで立ち上がる。
頭がクラクラした。
片膝を付く。
「うっ。」
すると、ドアが開いた。
「あら、だいじょぶ?」
知らない声の主の方に顔を向けると、そこには耳が明らかにウサギの変な奴が立っていた!