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5 酒カス、ギャンカスに金をせびられる。


「ふぅぅ〜…」


いつも通りにワルワールの化け物をしばいた帰り道。

コンビニでビールを飲みながら、タバコを吸っていた彩葉がゾンビめいて歩く人影をとらえた。

鏡だ。


「おーい、鏡さーん」

「あ?」

(目つき悪っ…人殺しかよ)


手を振って呼びかけると殺し屋みたいな目つきで睨まれる。

どうやらご機嫌斜めらしい。

鋭すぎる眼光に若干、萎縮したがとりあえずビールを奢る事で、溜飲を下げる事にした。


「フゥー…それで、どうしたんすか?その不機嫌っぷりは?」

「………………スッた」

「……いくら?」

「100万スッた」

「何で?」

「馬とパチで」

「そっかー…」


項垂れる鏡が飲み干したビール缶を握りつぶす。


「…ざっけんなよ。意味わっかんねぇだろ。金保留のキリン柄でなんで外れんだコラ。単発3連続ってなんだよおい。確変の変動率90%だぞ?入ったのに一瞬で駆け抜けてんじゃねぇよゴミ台がよぉ。予想もクソかゴラ。アクアエスケープが勝つっつてたじゃねぇかよ。何で6馬身差もつけられてんだよバカじゃねぇの」

「鏡さん、知ってますか?」

「なんだ?」

「パチンコって20人に1人しか勝てないらしいっすよ」

「違うから。負けてないから。勝ちへの途中だから。運貯めてるだけだから」

「鏡さん。知ってますか?」

「何だ?」

「負けても引けなくなる心理はサンクコスト効果っていうらしいっすよ」

「知らん。そんな戯言は」


2人の間に僅かな沈黙が生まれる。


「なぁ、彩葉」

「フゥー…何すか?」

「………金貸してくれない?」

「無理っす」


飛行機雲が空にたなびく。

青い空に負けないくらい、鏡の顔も青かった。

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