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【12/19書籍発売】竜王陛下の運命になれなかった私が、魔国で愛されお世話係に!? 聖花を癒やす弦歌の乙女(旧:運命は、手に入れられなかったけれど)  作者: 夕立悠理
運命の相手編

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21/75

頼みます

「そ、れは……ユグがガロンさんにとって近しい存在だからでは……?」


 近すぎて意識しない。そんなこともあると思う。


「……全くその可能性がないとは言えないが」

「そうでしょう?」


 大きく頷いて見せる。

 それでもガロンさんは、だが……とか、いや、とか何かを言いかけていたけれど。

 朝食が運ばれてきたことにより、あなたのいう通りかもしれない、と納得した。


 ……朝食はとっても、美味しい。

 つやつやのパンに、温かなスープ、シャキシャキのサラダに、ふわとろのオムレツ。

 朝食を口に運んでいると、ガロンさんに話しかけられた。


「……ところで、ラファリア。昨夜は、眠れたか?」

「はい。おかげさまで、とてもよく眠れました」


 会話が、先ほどのものを引きずっていないことに安堵しつつ、頷く、


「そうか……良かった。アドルリアのあなたの生家に、使いを出そうと思うが、いいか?」

「使いですか?」

 ガロンさんは私を見つめた。

「あぁ。あなたがこちらで正式に働くことを伝えようと思ってな」


 そういえば、私の実家——トドリア侯爵家には、花奏師を辞めることと、まだ他の誰とも結婚する気はないこと、家には戻らないことくらいしか伝えていなかった。


「はい、よろしくお願いいたします」


 魔国の魔獣の世話係になったことは、驚かせてしまうだろうけど。ちゃんと仕事が決まったことは伝えたほうがいいだろう。


「ありがとう」


 ガロンさんが、ふっと微笑む。また星が飛び散って見えた。

 眩しさに目を細めながら、首を傾げる。


「なぜ、ガロンさんが、お礼を……?」

「あなたがこの国で働いてくれることが、嬉しい」

「! いえ、その……私も嬉しいです」


 魔国という新しい場所に、私の居場所をくれて。


「……よかった。一晩経って考えが変わっていたら、どうしようかと不安だったから」


 ガロンさんはそう言って、嬉しそうに微笑む。


「これから、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしく頼む」


 ——それからの朝食会は、穏やかにすぎた。



 朝食会を終えると、ガロンさんが正式に紹介したい人がいる、と言ったので、ひとまずガロンさんの執務室まで行くことになった。


 ガロンさんの執務室に着くと、そこで待っていたのは、黒髪に緑の瞳、そして片眼鏡をかけた男性——マギリだった。

 ユグの旦那様でもあるマギリは、昨日私とガロンさんがいるところを見て、泡を吹いて倒れてしまったのよね。

「昨日は、お見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ございませんでした。マギリ、と申します。世話係殿」


 深く腰を折って、顔を上げたマギリは、昨日よりは体調が良さそうだった。

「いいえ。改めまして、ラファリア・トドリアと申します」


 マギリのことをなんと呼んだらいいかわからず、あえて名前は言わずに微笑む。

「私のことは、どうか、マギリ、と」

 マギリはそう言って微笑んでくれた。……察する力が高いのね。

 さすがは、ガロンさんの側近だわ。


「わかりました。よろしくお願い致します、マギリ」

 手を差し出し、握手する。


「ところで、陛下と世話係殿はどちらで、出会われたのですか?」

「あぁ……アドルリアの酒場です」


 そこまでは、話してなかったのね。

 ちらり、とガロンさんを見ながら、答える。


「……酒、場?」

「あぁ、聖花を有するアドルリアなら、良き世話係が見つかるのではないかと、思ってな。そこで、彼女——ラファリアと出会った」


 小さく頷き、マギリは私とガロンさんを交互に見つめた。

「ところで、どちらから、声を……?」

 なんで、そんなことを気にするんだろう?

 まぁ、でもわざわざ隠す必要もないわよね。


「頼むお酒を迷っていたところで、ガロンさんから声をかけていただきました」

「ほうほう、なるほど……うちの陛下から…………え!?」

「え?」


 マギリは、体をのけぞらせて驚いたけれど、そんなに変なこと言ったかしら。


「世話係殿!」

 急にまた、握手は終わったのに、がしりと手を握られる。

「陛下のことを、よろしく、よろしく頼みます!」

 えぇ!? アギノじゃなくて……!?

「あ、闇獣のことも頼みます」

「は、はい。頑張ります……?」

 アギノは、闇獣のはずなのに、なぜかついでのように言ってるけど、いいの!?

とりあえず、頷いて見せる。


「はー、ようやく、肩の荷がおりました」

 マギリがほうっと、大きく息を吐く。

「あぁ、アギノもラファリアのことを気に入ってるからな」

 ガロンさんの言葉に納得する。

なんだ、そっか。マギリは、アギノの世話係を探して苦労していたのだろう。


だから、肩の荷が降りたってことよね。


別に、ガロンさんがどうとかは、関係なく。


「そのようですね。もう、鈴をお渡しになったのもその証拠でしょう」

 ……鈴。

 昨日もらった、闇獣の世話係の証であるバッヂを撫でると、鈴が音を立てた。


「ところで、世話係殿。……闇獣に今日は何時ごろ会いに行かれる予定ですか?」

「そうですね……、この後行こうかなと考えています」


 でしたら! と瞳を輝かせ、マギリは私を見つめた。

「私も同行してもよろしいですか?」


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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