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第二十八話 経験値ボーナス

異世界転生に勢力争いの要素を加えた作品の第二十七話です。

アリサ達に仲間に道められたマサキは自分の成長を感じるが・・・。

初めまして方はどうぞ第一話から読んで下さい。お願いします!

読んでくれたら、なんでもするかもしれません!

 拠点である冒険者ギルドに戻った俺達はまず依頼を完了させると、留守中トリムで起きた出来事の情報収集を開始する。ギルドの係員はもちろんだが、アリサとルシェラ、俺とネイリーンの二手に別れて顔見知りの冒険者達からも話を聞き、おおよその事情を掴むと再び集まって互いの情報を擦り合わせた。

 結論から言えば、やはりトリムは五日前にゴルゾディーンの襲撃を受け、西の塔を破壊される被害を出しながらも、なんとか撃退したらしい。この戦闘で10人の犠牲者を出しており、その内4人はギルドに所属する冒険者とのことだった。

「思っていた以上に早く攻めて来ていたんだね・・・」

 少し早目の夕食とした俺達だが、アリサの言葉が物語るよう、食も酒も進まず空気は重い。ドラゴンの犠牲になった10人とは面識はなかったが、街を護るために亡くなったのである。依頼を成し遂げた後とはいえ、楽しめる気分にはなれなかった。

「・・・五日前だと、ちょうどメルデに着いた時くらいかな」

 アリサに続きルシェラが呟く。俺達はドワーフの里で一泊滞在していたが、仮に直ぐトリムを目指していても間に合わなかった。そのように言いたかったのかもしれない。

 ちなみに彼女は俺達がグロードから購入した鏃の一つをギルドから正式に与えられている。つまり対ゴルゾディーンの切り札の一人となったのである。

「まあ、今日はとりあえず任務成功を祝おうかな。・・・これからは私達も街の防衛に加わることになるからね」

 そのアリサの言葉で俺達は再び食事を開始する。とはいえ、乾杯をする気分にはなれなかった。


「じゃあ、お楽しみといこう!」

「おお!」

「ええ、お願いします!」

「やったぁ!」

 塞ぎ気味の俺達だったが、食事が落ち着いたところでアリサが今回の報酬と思われる革袋を取り出したので思わず歓声を漏らす。金貨と銀貨がアリサの手によって分け始められるが、奇妙なことに俺の取り分も皆と同じ額だった。

「あれ、これは?!」

「ああ、マサキは一割という約束だったけど、今回の依頼で一番活躍したからね。ちょっと早いけど一人前として認めるよ。今回の報酬は金貨十枚なので一人当たり金貨二枚と銀貨十枚だ。これでまた武器や防具を新調してほしい。二人も構わないだろう?」

「ええ、もちろんです!」

「うん、マサキは一度に二人の敵相手に頑張ったしね!」

「おお、ありがとう!」

 金もうれしいがアリサ達に正式に認められたことで俺は歓声を上げる。もうしばらくはパーティーのおまけと思っていたが、やはり命懸けで戦ったことを評価してもらえたようである。先程までは気分が沈みがちであったが、やはり自分のことは喜びたくなる。人間とは現金な生き物だ。

「そうだ! 今回で得た経験値で早速スキルを延ばしてみよう!」

 俺はステータス表を表示させると、使用可能な経験値を確認する。そこには16100と表示されているので繰り越し分の1100を引くと15000が今回の冒険で入手した経験値である。

「ええ! こんなに経験値が入ってる?!」

「ああ・・・マサキは瀕死の傷を負いましたからね。死に掛けるといわゆるボーナスとして1.5倍の経験値が貰えるのですよ」

「おお! そんなことになっているのか!」

「マサキ! 狙って出来ることではありませんからね。やめて下さいよ。許しませんよ!」

 驚きの声を上げる俺の隣からステータス表を覗いたネイリーンがその訳を教えてくれるが、俺ならやりかねないと思ったのか叱るように窘める。『死に掛ける度に強くなる!』どこかで聞いたような設定だが、確かにそれほどの窮地を味わって生き延びたのだから。ボーナスがあっても良いかもしれない。

「もちろん、あんなことはもう二度とごめんだよ! まあ心配してくれるのは感謝するけど」

 当たり前だが、自分から積極的に死に掛けるつもりはない。それでもネイリーンの心遣いにはこの前のフォローも兼ねて礼を伝える。こういうところで機嫌を稼ぐのも大事なのだ。


「もう、お兄さん! 私のいない間にそんな危ないことをしていたの! 私を残して死んだりしないでよね!」

 そんな俺のパーティー内地位向上作戦を潰すかのように何者かが現れる。そう一号である。もちろん、ギルドの食堂でウェイトレスとして働く彼女の存在には前から気付いていたのだが、このタイミングで絡んで来たようだ。

「お、お前、仕事中だろ!」

「うん、だから注文を聞きに来たの! でも人間は成長が早いのね。ちょっと見ない間に逞しくなっちゃって!」

 ネイリーンとは逆の左側から俺のステータス表を覗きこみながら、一号は俺の指摘に嬉しそうに答える。さりげなく二つの双丘を俺の背中に押し付けてくるので、ネイリーン側に逃げるのだが、今度はそっちのより大きい膨らみに腕が当たってしまい追い詰められてしまう。

「どう、アレは役に立ったかしら?」

 一号は逃げ切れなくなった俺にもたれ掛かりながら更に問い掛ける。アレとはもちろん暗黒魔法スキルのことだろう。どうやら彼女なりに気を使ってくれているようである。なら、仲間の前でそんな大胆な絡み方をするなと思うが、一号はサキュバスなので言うだけ無駄だろう。

「正直に言うと暗黒魔法は役に立った。敵に一矢報いて、俺も死なずに済んだ。助かったよ」

「ふふふ、言ったとおり役に立つ魔法だったでしょ! 私も嬉しいわ! でも、お仲間さんにばれちゃったのね。 ならもう一気に10レベルまで上げようよ! 暗黒魔法は10レベルで・・・」

「おい一号、いつまでマサキにくっついているつもりだ! 私は新しい麦酒が欲しい!」

 俺の感謝の言葉に一号は笑顔を見せると、暗黒魔法スキルの説明を始める。それは俺も最後まで聞きたかったのだが、空の盃を差し出すネイリーンによって遮られてしまった。

「ああ、私もおかわりをお願いするよ」

「・・・もう、わかりました。麦酒が二杯ですね。ただ今お持ちします。それじゃ、お兄さんまたね!」

 更にアリサが追加注文をしたことで一号も仕事を思い出したのか、手を振って厨房に戻って行った。

「もう、相変わらずマサキは、種族に関係なく女の子に甘いよねぇ」

「ま、まあ今日は許して上げましょう・・・んん!」

 ルシェラが呆れたような声を上げるが、同調すると思われたネイリーンは困ったような咳払いをする。それで俺は一号が去った後も彼女に寄り添っていたことに気付く。なるほど、これでは俺が一号よりもネイリーンを選んだように見える。

「と、とりあえず・・・経験値の割り振りを考えないと!」

 ネイリーンの感触は心地良かったが、俺は椅子に座り直すと本来の目的を口にした。

ご愛読ありがとうございました。一日一回、三千字程を目標に更新しますのでこれからもよろしくお願いします。

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