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別れと始り







深く黒に塗りつぶしたように暗かった世界に、太陽が光を与え始める。鳥や動物たちは太陽の光に喜び喉を震わせ鳴く。窓の外から聞こえる鳥の鳴き声に、眠っていた鈴は目を覚ました。


「ん、あさ??」


ムクリと起き上がると、急な寒さにイナトが身をよじり鈴の方へと身を寄せた。グレンとノアはもうすでに起床しており、目が覚めた鈴におはようと笑みを浮かべた。


「おはようございます」


ベッドから脱け出すと、イナトも目を覚ましクワッと大きな欠伸を一つし毛づくろいを始めた。ノアは荷物をまとめ終わったのか鈴の方へとやってくるとポンッと肩を叩いた。


「今日は朝からバザーをしているようなんですが、行ってみませんか??」


「え、行ってみたいです!!」


バザーは掘り出し物も多いし、前の世界でもちょくちょく行っていた。嬉々とした表情で、準備をする。といっても黒凪を持つだけなのだが。


グレンは剣を腰にさしながらふと、鈴に視線を向けた。


「武器を手にずっと持っているのは困らないか??」


言われてみると、武器を必要ないときも持っていなければいけないのは少し困ったりもする。だからといって、置いておけば必要なときなくて困る。確かにと鈴は頷いた。


「古いもので悪いが、これを使え」


グレンが渡してきたのは長い薄紫の紐。腰に巻けば帯刀する事が可能になり、両手が自由になる。


「ありがとうございます!!でも、良いんですか??」


しっかりとして、古いものといっていたがかなり上等なものように見える。本当に貰って良いのかと再度問えば、グレンは問題ないと頷いた。


「今は使っていないし。お前がよければ、貰ってくれ」


そこまで言ってもらえるならと、喜んで受け取った。腰に紐を巻き、黒凪を差し込む。この位置なら抜き差しも不自由なく出来るなと確認してから、もう一度グレンにお礼を言った。


「さて、バザーへ行きますか」


「行きましょう!!行きましょう!!早く!!」


キラキラした目で、二人をせかす鈴はいつもと雰囲気が違う。それほどまでにバザーが楽しみなのだ。そんな鈴を見た二人は顔を見合って、小さく噴出すように笑った。


受付でノアが支払いを済ませ、宿屋を後にした。バザーが開かれるのは宿屋から徒歩五分ほどの町の中心地。近づけば賑わっている人の声が聞こえ始めた。


アクセサリーショップや古着屋。右も左も心がワクワクする要素しかない。たまたま目にした店の前まで向かう、魔法アクセサリーを主に取り扱っているらしいお店のおじさんは愛想の良い笑顔を浮かべていた。


ジーッと商品を物色していると、金色の勾玉の首飾りに目が留まった。魔力アップのアイテムらしいので一つ購入、近くにあったどれだけ入れてもかさ張らない財布も一緒に購入した。花柄で落ち着いたデザインのがま口財布で見た瞬間一目ぼれした。


「これとこれください」


「はいよ!!えーっと首飾りが銅貨九枚、財布が銀貨一枚ね」


じゃあこれでとノアから貰った金貨を一枚渡した。返ってきたお金と財布、首飾りを受けとる。財布には早々にお金を入れ、服のポケットに仕舞った。


「イナト、こっち」


近くをウロチョロとしていたイナトに声をかける。首をかしげ寄ってきたイナトの首に買ったばかりの首輪をかけてやった。


「プレゼント、これから宜しくねって意味で」


硬直したイナトは徐々に体を振るわせ始めた。痙攣しているのかと焦ったがどうやら違うようで、滝のような涙を流していた。かなり喜んでくれているみたいで、良かったと鈴は安心した。


「ありがとうございまず主ぃ、一生はずじまぜん」


「うんわかった、わかったよ」


おいおい泣きながら飛びついてくるイナトを抱きしめる。そこまで喜んでくれると思わなかったので、かなりテンパっているが喜んでくれたなら何よりだ。


「良い物が買えたみたいですね」


「はい、ありがとうございます!!いいですね、やっぱりバザーは」


ノアと共にバザーで賑わう一帯を眺める。ここまでで彼らとはお別れだ。何処に向かうかも決めていない旅の始まりだが、色々と楽しみでもある。


バザーの賑わう声を聞きつつ、出発するため町の出入り口へと向かう。


彼らとお別れは少し寂しいが、彼らだって仕事もある。邪魔はしたらいけないと、町の出入り口までやってくると早々に別れの挨拶をした。



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