集合
爆発は、2人の後ろにあるビルからだった。
その爆発音は、2人の表情から笑顔を消した。
すると何処からか、エンジン音がする。
2人の前に2台のバイクが、急ブレーキをかけて、タイヤを擦りながら停止する。
1台は、
GSX-R600 赤
運転手は、黒いヘルメットに、全身黒のライダースーツだった。
もう1台は、
YZR-M1 青
運転手は、赤ヘルメットに、全身赤のライダースーツに身を包む。
「乗りなさいっ!2人とも!」
そう言ってバイクの主は、1人ずつにヘルメットを投げて来る。
ロッシーとヒックは、それを受け取る。
辺りで爆発が、激しくなっている。
するとバイクの主2人は、同時にヘルメットをとる。
「私達よ!」
そこにはバイクに跨るルーナの顔が、2つあった。
ヒックは、ロッシーにヘルメットを被るように即すと、自らもヘルメットを被り、青いバイクの後ろへと跨る。
ロッシーは、赤いバイクへと乗り込む。2人を乗せ2台のバイクは、発進する。
その後ろと、上空から、灰色の魔竜騎が迫る。
街を破壊しながら進んで来る、魔竜騎を振り切りながら爆走する2台のバイク。
「しっかり捕まってて!」
「振り落とされないでよ!」
2人のルーナは、前方から迫る魔竜騎を避けながら、千代田区方面から前進し、国道1号線へと入る。
上空では自衛隊のジェット機が飛び交い灰色の魔竜騎、及び魔竜騎ギルバートや魔竜騎ズルワーンの周りを行き来している。
「ねぇ!どこへ向かってるの?!私、魔法が使えるの!飛べるわ!ヒックだって、あの腕で…」
ロッシーが、大声で黒いヘルメットのルーナへと喋りかける。
「そんなに大声を出さなくても、メットの通信機で聞こえてるわ。目標地点は、東京タワーの上空にあるロズウェルよ!」
そう言われロッシーは、耳の近くから声がする事に、少し戸惑った後、赤いタワーを見つめる。
その上空には、とても大きな物が浮かんでいた。
そして、その周りには灰色の魔竜騎と、青、赤、そして金色に輝く魔竜騎が、激しく入り乱れていた。
「あなた達をあの下まで送り届けるわ!」
黒いヘルメットのルーナが、そう叫ぶ。
赤いヘルメットのルーナが、続ける。
「時空フィールドが、急に消えた途端、あの灰色の魔竜騎達が、また暴れだしたの。あなた達をあそこまで案内するのが、私達の使命よ!あの下まで行ったらユニリンクして、あなた達は、ロズウェルまで飛んで!いいわね?!」
ヒックとロッシーは、ヘルメット越しに顔を見合わせる。
「はい!」
「はい!」
2人は、状況が飲み込めていないが、ヘルメットの下で表情を変え、力強く返事をする。
2台のバイクは、テールランプを靡かせ、東京タワー付近まで近づいて来ている。
するとヘルメットから声が、聞こえて来る。
モイラの声だ。
「艦長!ルーナさん達が!」
「ロズウェル、緊急発進だ!ルーナさん達を回収した後、煙幕射撃をしつつ、この場所から離脱する!」
ラケシスの命令で、ロズウェルのエンジン音が、辺りに響わたる。
それを聞いた、フォル、ズルワーン、ギルバートは、ルーナ達が来る道を作る。
「灰色の魔竜騎の数が多い!」
ギルバートが、閃光弾を無数に放ちながら叫ぶ。
「んもう!なんで、こんな手間のかかる方法しかないのよ!あの自衛隊のジェット機、私達の事も敵と思ってるんじゃないでしょうね!?」
巨大魔竜騎フォルヒックトゥーナの上で、魔法を放ちながらフォルは、イラついている。
「仕方ないよ、数が違い過ぎる…。それに、この世界の空飛ぶ兵器も避けないとダメで!」
魔竜騎ズルワーンも、単機戦闘をしている。
「チョベリバキイィィィィック&プンプン丸ビィィィィィムッ!」
サランもロズウェルを守るのに奮闘中だった。
バイクが通れる道は、破壊された街では、僅かしかない。
ポルカからのナビが、ヘルメット内部に表示されている。
そのルートをルーナ達2人は、必死に走る。
「一体、どうなってるの?!何なのよ!あの灰色の魔竜騎は!」
ロッシーが、大声で叫んでいる。
「声が大きいわ!もう少し小さく喋って!集中出来ない!話は後よ!」
そう叫ぶ黒いヘルメットのルーナには、目的地点が、ヘルメット内部に映し出される。
「良い?!2人とも!目的点の交差点目前よ!バイクを近付けるから、そのままユニリンクしてちょうだい!」
それを聞いた2人は、同時に大声で叫ぶ。
「ええ!?このまま!?」
「こんな中で止まれるワケないでしょ?!」
赤いヘルメットのルーナがそう言う。
「でも、そんな事したら2人は…」
ロッシーが、不安そうな声で話す。
それを聞いた黒いヘルメットのルーナが、怒る。
「アナタ!魔法使いなんでしょ?!何とかなさいっ!私達は、死ぬ気で来てないのよ!」
「…わ、分かりました!私…頑張ります!」
ロッシーは、両手を離して腰に手を当て胸を叩く動作をする。
が、猛スピードで激走するバイクの上では自殺行為だった。
振り落とされそうになるロッシー。
それを見たヒックが、叫ぶ。
「何やってんだよ!落ちたら俺じゃないんだから無事じゃすまねぇんだぞ!」
「わ、分かってるわよ!…あー、ビックリした…」
そこへルーナ達が、話しに割り込む。
「イチャつくのは、ロズウェルに戻ってからにしてちょうだい!カウントするわよ!3!」
2台のバイクが、タイミングを合わせつつ、並走して行く。
「2!」
目の前で爆発が起こる。
それを避ける為に、また距離が離れる。
2人のルーナは、横転するトラックを避けて、別々のルートへと進む。
「くっ!もう、邪魔しないでっ!」
「行くわよ!2人共!」
2人のルーナは、前方に瓦礫を見つける。
2台のバイクは、それぞれ別々に、瓦礫へと突っ込む。
「もうカウントは!」
「無しよっ!」
瓦礫にあった細い鉄筋に乗り上げ、そのままそれを駆け上がる、ルーナの赤いバイク。
瓦礫の上にある倒れたビルの壁を、駆け上がるルーナの青いバイク。
そのままエンジンを吹かして、瓦礫から飛び出す。
前方に見えるルーナの赤いバイク。
前方に見えるルーナの青いバイク。
その2台のバイクが、交差する瞬間。
ロッシーと、ヒックは、手を伸ばし、小指を繋ごうとする。
その時だった。
ヒックにフラッシュバックが、起こる。
目の前が真っ白になる。
「ヒック!」
ロッシーの声が、ヒックの目の前を現実に戻す。
目の前には、スローモーションで流れる景色。
小指を伸ばすロッシーの姿。
しかし、距離が足りない。
離れて行く、指と指。
ヒックは、バイクに足をかけて、飛び出す。
ロッシーも身を乗り出す。
2人の小指は、しっかりと結ばれた。
その瞬間を2人は、逃さない。
「「ユニリンク!!!」」
バイクを包み込む白と黒の閃光。
それは、空へと昇る。
螺旋を描き。
眩い光を放つ。
ヒックの身体は白く輝き、その光は巨大な人型となる。
その中心から光が消えて行くと、中からは巨大な白い騎士のような姿が現れた。
ロッシーは、黒い光に全身が包まれ、黒い帽子に黒い服で、ミニスカートの姿へと…
『変身』
をした。
そして巨大な騎士の姿になったヒックは、こう叫ぶ。
「白き不死の魂よ!我が、主を守るチカラを我が拳に!」
その一瞬だけ騎士は動き、マントを靡かせ靡なび両手を広げる。
そして、不動となる。
空に浮く黒い姿となったロッシーも、続いて叫ぶ。
「黒き幼き魂よ!世界に抗うチカラを我らの為に!」
右手の人差し指を空へとかざし、片方の手は腰に。
そして2人は、両手を胸に当て、2人は叫ぶ。
「我は魂を捧げる!白き魔竜騎ヒック!」
「我は全ての絆!黒き魂の片鱗!ロッシー!」
そして両手を同時に前へ出す。
その決めポーズをした瞬間、2人の背後でキラキラとした光が、爆発する。
ロッシーは、驚かなかった。
その僅かな間、世界はスローになる。
「ルーナさん!」
ロッシーは、直ぐに黒い光の粉を散らしながら、バイクから離され宙を舞う、2人のルーナの元へと飛ぶ。
赤いルーナを抱き抱える。
しかし、もう1人のルーナまで間に合わない。
そう思った時だった。
ドラゴンモードのヒックが、黒いヘルメットのルーナを、口でキャッチし、そのまま上昇して行く。
それに続いて、ロッシーも空へと舞い上がる。
発進して来たロズウェルの底面に、通路が開く。
そこへ魔竜騎ヒックとロッシーは、突っ込む。
「艦長!4人の回収成功しました!各魔竜騎、サランさんにフォルさん達も、ロズウェル甲板へと降下!」
モイラが、船長へ報告する。
「全方位、撹乱発射!このまま、敵魔竜騎を迎撃しつつ、この場を離れる!目標、東京湾!海底へと進む!」
ロズウェル一同は
「了解!」
と返事をし、各自の任務へ集中する。
「おもかじいっぱぁぁぁいっ!」
ポルカの掛け声と共に、船は前進と、大きく旋回をし、撃墜されたかの如く、海へと進行して行く。
(ギルバート君の話では、魔竜騎が海で眠るとあった…頼む…そうであってくれ…)
大きな飛沫を上げて、海へと潜るロズウェル。
後を追うのは、灰色の魔竜騎達。
地上の魔竜騎は、海へと進行するも、その動きを止める。
空の魔竜騎達は、海へと突進して来るが、海中で、その動きを止める。
「敵魔竜騎、進行して来ません」
ホーラが、レーダーを見ながら報告する。
「ロズウェル、装甲に多少の損傷はありますが、海底航行問題無しっす!」
クロートーも報告する。
「皆さんが、ここへ来ます!」
モイラが、艦内モニターを見て叫ぶ。
「作戦成功~!」
ポーラが、叫ぶ。
ラケシスが、飛び跳ねている。
「や、やったわねぇぇえん!みんなぁ!」
ズルワーンが、胸を撫で下ろす。
そして。
艦橋のドアが、開く。
そこには全員が、揃っていた。
艦橋内は、様々な声が嬉々として、飛び交っていた。
しかし。
ロッシーは、何がどうなっているのか不思議そうな顔を。
そして。
ヒックの表情は、曇る。





