再会
完全復活を遂げたヒック。
そして、新型ロズウェルも完成した。
みんなは集まり、最後の作戦会議を開始する。
情報の共有。
現状の把握。
そして、これから何をすべきか…。
しかし、結論には至らない。
これまでの事を踏まえ、戦力を揃えること。
ニアという少女と、グレイの捜索。
そして、ロッシーとヒックの再会。
これを決定し、一同はその目標へと向かう。
都市ニュートラルの騎士団長であるロランは、惑星グランが大変な事もあり、残る事となった。
フォルヒックトゥーナが居なくなった代理を務める義務がある。
ズルワーンは、ロランに頭を下げ、謝る。
「本当に、本当に申し訳ないことをした…」
「いえ、頭を上げて下さい。ズルワーンさん。今のあなた達で無いことは僕には分かります。フォルは、自らの運命を知っていました。そして、それがとても重要な事なのだと…。今でも思い出すんです。あの真っ直ぐな瞳の奥にあった、赤い輝きを…」
「…ロラン…」
ロランは、微笑んでズルワーンを見ていた。
その真っ直ぐな目で。
時空戦闘母艦ロズウェル。
その艦橋に、全員揃っていた。
「全装備、及び艦内機関、タイム収縮炉充填良し!全て異常無いっす!」
「イチマル、マルマル、時空レーダー、周辺に異常無し。行けます!」
「舵、良好!パルカも元気です!!」
「艦長!!発進準備完了しました!!」
するとラケシス艦長は、艦長席から立ち上がる。
「目標!時空間に居ると思われるニア、及びグレイ!そして、最終目的地、地球に向け、時空戦闘母艦ロズウェル!発進!!!」
「了解!!!!」
新型ロズウェルは、クリスタルが内部へ収納され、前方に主砲発射用の穴がある。
その姿は、以前よりも大きくなっており、敵迎撃用装備も整っている。
そしてタイムライト縮小炉は、改良され、エネルギーの軽減、発射時間の縮小、そして何より、縮小板無しで、時空間へと突入可能となっていた。
「ロズウェル、主砲!断時空侵入光線ネクストブライト発射!!」
舵の舟輪が中央から割れ、発射トリガーレバーが現れる。
「りょーかい!パルカ、撃ちまぁすっ!!」
するとロズウェル前方の主砲口から、鋭い光が6本発射され、それは徐々に円を描き回転して行く。
ニードル砲となったネクストブライトは、空に穴を開けると、一気に6方向へと分散し、消える。
空に黒い穴と、6本の黒い線が出来上がる。
そして、そこにロズウェルが突進して行く。
ロズウェルの先端が、その黒い部分に当たると、ガラスが一気に割れるよう、空に大きな黒い空間が現れる。
そこへ、ロズウェルは沈んで行く。
「ロッシー…待っててくれよ…」
ヒックは、その黒い空間を見つめながら、ロッシーを想っていた。
― 時空間 ―
ニアとグレイは、時空フィールド内で、ただ黙って立っていた。
しかし。
「…アイツら、来るのか」
「…っ!」
グレイが口走る。
ニアは、それに驚き振り返る。
すると黒い空間が、大きく割れ光の空間が現れる。
「…早い、です…まだ、ロッシー姉様が…」
ニアが、よそ見をしている時だった。
グレイは、灰色に弾けるイナズマを、放出させ、内側から時空フィールドを発生させる。
その時空フィールドは、大きさを増して行く。
「中に入るからだろ」
ニアは、その時空フィールドに吹き飛ばされ、自身が作る時空フィールドに叩きつけられる。
そしてニアの時空フィールドと、グレイの時空フィールドに挟まれ、身動きがとれなくなってしまう。
「…っく…私は…あなたも…守らない…と…」
「は?僕を守る?何様のつもりだよ!お前はっ!!!」
そう言ってグレイは、時空フィールドの拡大を強める。
「…ッウゥ!…この…まま…では…」
そう言って遂にニアは、時空フィールドを解除してしまう。
「はっ!笑わせるなよ!」
そしてグレイは、ニアを時空フィールドへと閉じ込めてしまう。
「…ハッ!…」
時空フィールドの壁に手を着き、侵入して来たロズウェルへ向かうグレイを、見ているだけのニア。
内側から時空フィールドの破壊を試みるが、弾かれてしまう。
「…みなさん…逃げて…」
グレイは、手を灰色に光らせながら、ロズウェルへと飛んでいる。
「艦長!前方に、異常反応有り!」
ホーラが叫ぶ。
「何?!」
それを聞いて一同は、モニターと艦橋から外を見る。
「グレイ!!」
ヒックが、肉眼で1番に発見する。
すると慌てて艦橋を出て行く。
「その後方にも、時空の歪み有ります!」
そしてサトゥルーナ、ズルワーン、フォル。そしてサランとギルバートも艦橋から出て行く。
ホーラに続き、クロート、モイラも続く。
「艦長!どうしましょう?」
「装備、使いますか?!」
「パルカ、主砲撃ちますよ?」
艦長は、すぐに判断する。
「あの小さな的に当てるのは至難の業。艦のリフレクションをフルオーバーに設定!超振動エアーフィールドそして時空攻撃に対処出来るよう、反転時空フィールドを展開!艦は、このまま絶対防御で停止。状況を見る!」
「了解!!」
ロズウェルの周りに、半透明の時空フィールドと、青いバリアが発生する。
そしてロズウェル看板先頭にあるハッチから、ヒック達がせり上がって来る。
『ユニリンク!!』
フォルと幼いズルワーン。
ギルバートとサランはユニリンクする。
そして、ヒック、サトゥルーナ、サランと魔竜騎ギルバートはグレイへ。
ズルワーン、フォル、魔竜騎ズルワーンは、後方のニアへと向かう。
しかし。
「う、うわあああああああっ!うわっ!うおっ!うおおおっ!!!」
ワールド オブ ザ アームズには、ヒックの力を取り入れ、それをチカラに変える能力が備わっている。
その1つとして、両手から高出力バーナーを放出させ、空を飛んだり、移動を早くする物なのだが。
「ちょ!無理無理無理!普通、足とかから出るんじゃねぇの?!こーゆーの!!うっわあああああっ!!!!」
叫んで、グレイとは違う方向へとぶっ飛んで行く。
「ヒックどこ行くの?!」
それを見たサトゥルーナが、ヒックを追う。
「ええっ!ちょ、マジパネェ!」
「サランちゃん!来るよ!」
グレイは、手の光から、かなりの数の灰色のレーザーを拡散的に放出する。
「ギルバート、マヂお願いね!」
「分かってるよ、サラン!」
2人は叫ぶ。
『2人のラブ・ゴールデン!!』
すると魔竜騎ギルバートの肩部分が開き、短い光の棒が、拡散放出され、グレイのレーザーを相殺する。
「チョベリグ~!」
サランは、笑顔でダブルピースしている。
そしてギルバートを身構えさせる。
「さぁ!僕達がお相手しよう!」
しかし、グレイは2人を無視して横を通り過ぎて行く。
「はぁ?!」
「な、何?!」
サトゥルーナは、ヒックを魔力で捕まえて浮かしていた。
手からはプスプスとバーナーが、燻っていた。
「大丈夫?ヒック?」
「あ、ありがとうございます。サトゥルーナさん…」
「?!来るわ!」
そう言ってサトゥルーナは、怖い顔になり振り向きざまに、手から黒いニードルを発射する。
「そんなもの!」
グレイは、それを手で弾き飛ばす。
すると、それは数を増やし、またグレイへと向かう。
「クソババァめっ!」
弾けば弾くほど、数は増えグレイは足止めされる。
ズルワーン達は、ニアの時空フィールドまで来ていた。
「君が、ニアか?!」
ニアは仮面を取り、素顔を見せる。
「…私は…ニアです…申し訳ないんですが…ここから…」
「分かっている!フォル、ズルワーン、チカラを貸してくれ…」
ズルワーン、フォル、魔竜騎ズルワーンは、一斉に時空フィールドへと体当たりする。
「硬いわね…」
「僕をドラゴンモードにして、リンクフレアをぶつければ…」
「いや、この時空フィールドはおかしい…」
3人は、グレイの作った、時空フィールドに悩まされる。
「…ズルワーンさん…あなたが持ってるヒックのチカラを…私と合わせてもらえますか?」
「なんだって?何故それを君が…」
ニアの提案に、驚くズルワーン。
ニアは続ける。
「…あのヒックでは、グレイに勝てません。私でも…ズルワーンさん。残りのチカラを全てぶつけて下さい…お願いします…」
「そんな!じゃ、パパはどーなるのよ?!」
「…フォルさん…あなた達はズルワーンさんを保護しながら…地球へ、向かって下さい…」
「アイツはどーすんのよ?!」
「…私が…食い止めます…その間に…他の皆さんも…いえ、ヒックだけでも…ロッシー姉様の…元へ…」
「君は…何なんだ…一体…」
「私は…」
その時、ズルワーン達の方へ魔竜騎ギルバートが飛ばされて来る。
「ギルバート!!」
その後をサランが追いかけて行く。
その方向を見ると、サトゥルーナとヒックが、グレイと交戦していた。
サトゥルーナは、ヒックにバリアを張り空中に浮かせながら移動させ、ヒックは手からバーナー弾を連続射出していた。
「…このままではサトゥルーナさんも…」
それを見たニアは、真剣な顔でズルワーンを見つめる。その瞳を見て、ズルワーンは確信する。
「分かった。僕の全魔力、残りのチカラをぶつけるよ。フォル、あとは任せるよね?」
そう言ってフォルの方を振り返ると、ウインクして親指を立てていた。
「…では私も少し…チカラを使います…」
「行くよ…せーの!」
合図を合わせた2人は、時空フィールドの同じ1点に、外と中からチカラを込めた拳を叩き込む。
「…っん…うううううっ!」
「くっ!はあああああ!!」
すると、その1点のチカラが大きく光を放ち、それは一瞬2人の人影になり、時空フィールドを消滅させる。
ズルワーンは、気を失って時空間へと落ちて行く。
それをフォルが回収しニアを見ると、もうそこには姿が無かった。
「ヒック、このままでは拉致があかない。あなたの体力が消耗するだけよ!」
「で、でも、この腕の使い方、まだイマイチで…」
そこへ高速でニアがやって来て、グレイに不意打ちの蹴りを当てて、吹き飛ばす。
「…っな!お前、どうやって、あれは時空フィールドに似せて作った、封鎖フィールドなのに!」
「…それで…」
ニアは、サトゥルーナ達に近寄る。
「…今の私達ではグレイに勝てません…地球に私の作った時空フィールドがあります…絶対にそこへヒックさんを…あと1ヶ月あれば…きっと…世界の助けもあります…お願いします…」
そう言ってニアは、強い光を放ちながら、グレイへと体当たりする。
2人の姿は見えなくなる。
サトゥルーナは、急いでヒックと共にロズウェルへと戻り、地球へと向かうように伝える。
ロズウェルは、シールドを展開しつつ前進を始める。
それを見たギルバートたちと、フォル達もロズウェルへと戻って来る。
そして、ネクストブライトを放ち、時空に穴を作る。
― ともしび荘 ―
ニアが家を出て行ってしまってからロッシーは、心配しつつも家で待っていた。
(1ヶ月かぁ~…ニアちゃん、どこ行ったのかしら?)
その時だった。
大きなガラスが割れるような音がしたのは。
ロッシーは、慌てて窓から外を覗いた。
すると雨が降る夜の街空に、巨大な物体が黒い空間から飛び出して来ていた。
「…何あれ…」
ロッシーは、ただ黙って家の中からしばらく見ていたが。
その全貌が現れると、ニアの事が心配になり、傘を持って外に出て行くのだった。
「ニアちゃん!大丈夫かな?!でもどこに居るか分からないし!」
「おい!ロッシー!」
「え?」
自分の名前を呼ばれ振り返ると、そこにはヒックが立っていた。
到着してすぐに、時空フィールドを見つけたサトゥルーナが、ロズウェルから連れて来たのだ。
とりあえずヒックだけを置いて、サトゥルーナはロズウェルへ帰って行った。
「よぉ、ロッシー!久しぶりだな?元気してたか?!ほら!見てくれよ!!俺の両腕、治ったんだぜ?!やべーよな!」
ヒックは、久しぶりにロッシーに会えたので、嬉しそうにしながら、ロッシーへと向かって歩いて行く。
しかしロッシーは、何故か後ずさって行く。
2人の距離は縮まらない。
「…?おい?ロッシー、だよな?」
「…そ、そうですけど…」
「なんで離れてくんだよ…」
「え?だ、誰なんですか?あなた…」
「は?俺だよ、ヒックだ。ヒック!」
「知りません!」
そう言ってロッシーは、家に向かって走り出す。
「え?!ちょ!待てよ!!」
そう言ってヒックは、雨の中、傘もささずに走り出す。
傘が無いぶんヒックの方が早かった。
ヒックは、走りながら考えた。
そしてヒックは、ロッシーに追いついた。
恐怖するロッシー、その小指に指をかけるヒック。
『ユニリンク!』
するとヒックは、ロッシーに押し飛ばされ、濡れた地面に転がり、傘を捨てて去って行く、ロッシーの後ろ姿を何も言えずに見ているだけだった。





