夫婦
幼いズルワーンは、疲れていたのか、お茶を飲んで話してるうちに、眠ってしまっていた。
フォルは、ズルワーンの傍へ行き、膝枕をしてあげ頭を撫でていた。
フォルとロランは、部屋で2人きりだ。
「可愛いですね…」
「そうですね。フォルヒックトゥーナ様…」
「もうっ!2人の時は、フォルで良いんですよ?私達は婚約の儀を交わしました」
「なら、フォルもその話し方はやめてよ」
そう言って2人は笑う。
「ねぇ、ロラン…」
「何?フォル」
「ホントにごめんなさい。私の旦那様にしてしまって…」
「良いんですよ。これも、決められた運命なのですから…」
「ほんと。あなたって…」
「光栄だよ。この中立国を。いや、世界を守る事が出来るんだ…でも…」
「でも?」
「寂しいかな…」
そう言ってロランも、フォルと幼いズルワーンが眠るソファへと移動する。
そして幼いズルワーンの手を、優しく握る。
「だけど…」
そう言って、フォルを見つめる。
フォルもロランを見つめ、2人は口づけを交わす。
そしてフォルは、ズルワーンへと視線を向ける。
「こんなに小さな子が、戦っているんですもの…。この子達の未来の為に…」
「そうだね。未来の為に…」
そして2人は、手を取り合い。
もう一度、口づけを交わした。
その時フォルの部屋の扉が、ノックされ、兵士の声が聞こえて来る。
「フォル様!ロラン様!捕らえていた8人の内、1人が目を覚ました。尚、他の5人によると、大変危険な人物であると思われます!」
フォルとロランは、目を瞑り手を強く握り、目を開ける。
その表情は、先程までの優しい表情では、無くなっていた。
― 惑星グラン 森 ―
森で、ナスラの魂とサランが居た。
「来たわ…」
『凄い数ですね…』
『ほんとだな!』
サランとナスラの魂は、驚き振り返る。
そこにはフォルスリュウローの魂が、浮かんでいた。
「リュ、リュウロー?!」
サランは、驚き近寄る。
『サラン、ごめん。サランを運んだエネルギーで、もう残りカスの俺じゃ、これが最後になっちゃいそうなんだ…』
「そんな…」
『どの道、俺らフォルスは、真実に気付けば忘れられる。気にすんなよサラン。その内、俺が居たことなんて書き換えられるからよ!』
「やだよ!絶対、私、リュウローの事、忘れないよ!私の大切な気持ちだもん!」
『ありがとう。サラン。俺も、忘れねぇからな!』
サランは、泣いていた。
『泣いてる場合じゃねぇぞ!サラン!これから大事な旦那を迎えに行くんだろ?!』
サランは、涙を拭い、涙が零れる顔で笑う。
「うん!」
『それじゃ、ナスラさん…』
『分かりました。リュウローさん。私が、ギルバートさんの事を気になったのって、こういう事だったんですね…』
そう言って、リュウローとナスラは近寄り、混ざり合う。
そして、叫んだ。
『ユニリンク!!』
― フォルの部屋 ―
ドアの向こうに、もう1人、兵士が走って来る。
「フォルヒックトゥーナ様!ロラン騎士団長!湖、沖合いに墜ちた、巨大戦艦を我々が落としたという事で、連邦と帝国の戦艦、及び小型戦闘機が両国から、多数我が中立都市へ向けて、発進したとの事です!そして、連邦側には見慣れない四角い物体もあるとの事!」
フォルは、幼いズルワーンを抱きかかえ、ソファに置く。
「分かりました!目覚めた白衣の男と、私に似た少女をこの部屋に!」
フォルに続き、ロランも叫ぶ。
「騎士は総員、全兵力を帝国側へと回せ!私も出る!」
ドアの向こうから、兵士が尋ねる。
「て、帝国側だけで宜しいのですか?!」
「構わん!」
そしてロランは、ドアへと進む。
ドアを開く時、1度だけフォルを見る。
そして、2人は頷いた。
しばらくすると部屋へ、まだ眠ったままのフォルを、抱きかかえたズルワーンがやって来る。
「…来ましたね」
フォルは、青白髪のズルワーンへと声をかける。
「お招き頂き、光栄です。魔導ノ君人、フォルヒックトゥーナ様…」
そして2人は、見つめ合っていたが、フォルは、ローズティーを淹れる。
「あなたがいらっしゃると知っておりましたので、熱い湯を、ご用意しておりました。ローズティーは、お好きですか?ズルワーンさん。あら、ズルワーンちゃんもお目覚めね…。ローズティーじゃないのを用意するわね。ふふふ」
そう言って、ティーカップに湯を入れ、温めている。
「ほう、これはこれは。魔導ノ君人が、自らお作り頂けるとは、感極まります…」
そう言って2人のズルワーン達は、ソファに腰をかける。
「外が騒がしいようですが、宜しいのですか?」
「ええ、私には戦うチカラはありませんので…。はい、どうぞ」
そう言ってフォルヒックトゥーナは、2人の前に、ローズティーと、ラフィール社の紅茶を出す。
「お茶を飲みましたら、お話をしましょう…」
「では、いただきます」
「いただきます」
2人のズルワーンは、お茶を飲む。
「素晴らしい味ですね」
「これは酸っぱく無くて、美味しいです」
それを聞いてフォルヒックトゥーナは、笑顔になる。
「ありがとうございます。それでは…そのお茶を飲みましたら…」
「はい、なんでしょう?」
「私の魂を、その眠っているフォルちゃんへ、入れてくださいね…」
2人のズルワーンは、ティーカップを持ったまま、固まっていた。
― 惑星グラン 森 ―
「来たわね…」
サランは、操縦者へと変身していた。
『行きましょう。この国、いいえ。この世界を守る為に…』
その後ろには、魔竜騎リュスラが立っている。
真ん中から真っ二つに、右がシルバー、左が紫となっていた。
そしてサランと魔竜騎リュスラは、連邦の軍団へと向かい、飛び立つ。
連邦の軍団、先頭に多数の四角い物体が確認される。
そして、その先陣には。
仮面をつけマントをなびかせる。
ギルバートが居た。
今、惑星グランの命運を巻き込んだ。
夫婦ゲンカが、始まろうとしている。





