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時空魔竜騎アースガルンプロット.  作者: 一ノ元健茶樓
アースの章
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71/129

封印

 


  ヒックは、ミシの路地裏で途方に暮れていた。


(ロッシーって…どんな、なんだよ。誰?)


 街へ出て、通り行く人に、ロッシーという人を知っているか?と聞くヒックだったが、知っていると言う人は、居なかった。


(有名人じゃ、ねぇのか…)


 すると空が割れ、サトゥルーナが、飛び出して来るのが見えた。


「あ!あの黒髪の女!」


 するとサトゥルーナは、すぐにヒックの元へと飛んで来る。

 そしてヒックを攫い、すぐに空へと飛び上がる。


「どこ?!ここにロッシーは居るの?!」


「そのロッシーって奴、俺、知らないんですけど…」


 サトゥルーナは、辺りを見渡し、時空フィールドを発見する。


「あそこだわっ!いい?ズルワーンと言う男は、あなたの持つ魂と、魔竜騎の魂を1つにする事で、9つの世界を1つにして全てをやり直し、あの男だけが最初からやり直せるように持っていくつもりよ!全ての世界は無くなるの!良い?!覚えた?!だから絶対に渡しちゃダメよ!じゃあね…」


 サトゥルーナは、大きな時空フィールドを確認し、その中にある小さな村へと、ヒックを投げ込む。


「うわおあああああああああああああっ!!」


 ヒックは、叫びながら村の中へと落下し、地面へと上半身が埋まる。が、無傷だった。


「え?あんま痛くねぇ…」


 するとすぐに時空フィールドの中は、外部から消えて見えなくなる。

 しかし村の中からは、外が見えていた。


 サトゥルーナは、グレイを迎え撃つつもりでいた。

 時空フィールドの存在を、悟られる訳には行かないからだ。


 すぐにグレイは、追って来た。

 だがヒックの気配が、あまりしない事を気にする。


「ん?ここには、居ないのか?そんな筈は…」


 そこへサトゥルーナが来る。


「ちょっとアンタ!一体なんなのよ!何故ヒックを狙うの?!」


「え?僕は、ヒックの代わりなんだ。ヒックが居なくなった時、この世界を調律する」


「代わり?!じゃぁ何故、ヒックを襲うの?!」


「さぁ、深くは覚えて無いけどね…。でも、何かの『代わり』なんて、嫌でしょう?普通に!」


 そう言ってグレイは、サトゥルーナに向かって攻撃を仕掛ける。

 それをサトゥルーナは、避けながら時空フィールドから引き離して行く。


「んー、ここは…魔法も科学も無い、原子的な世界だな。これなら…」


 そう言ってサトゥルーナを攻撃しながら、街を見下ろすグレイ。


「いっぱい要るな…けど、使えそうなのは…1つか…」


「よそ見してんじゃないわよ!!」


 サトゥルーナは、魔人を出してグレイを攻撃する。


 ヒックは、それを村の中から見上げていた。

 声が聞こえていた。

 胸のペンダントから、2人の会話が。


(俺の、代わり?)


 魔人の攻撃を、余裕で避け。

 グレイは、街から1人の街人を浮かび上がらせる。


「な、なんだ?!」


 そして、グレイは呟く。


「C2R…」


 そうするとサトゥルーナ、ヒック、そしてヒックのすぐ隣りにある、小さな家の窓が光りを放つ。


「な、なんだ、これ…胸が…あつ…い…」


「な、何なの…これ…は…」


 そしてヒック、サトゥルーナ、家の中から光が飛び出す。それは、ハート型の宝石となりグレイの目の前へ現れる。


 それをグレイは掴み、砕く。


 すると街人は、魔竜騎へと姿を変えて行く。その表情は、怒っている様にも見える。


 その魔竜騎は、ナイトモードにも関わらず、空に浮かんでいた。


「やれ…」


 グレイが、操作している魔竜騎は、サトゥルーナへと襲いかかる。


 空で戦う黒髪の女を見ていたヒックだったが、先程の光が気になり家の中を覗いて見る。


 そこにはロッシーが居た。


「…」


 ヒックは、その少女を見た瞬間、心臓の鼓動が止まりそうになる。


「…ロッシー…だ…」


 すると村の小屋から、1人の村人が出て来る。


「こちらへ来なさい…」


 恐る恐る、村人の家へと行くヒック。

 中へ入ると村人は、ヒックへ座る様に即す。そして、すぐに尋ねる。


「君は…ヒック君だね?」


「いや、俺はロランです」


「ヒック君…だね?」


「いえ、ロランですよ?」


 その間も、必死に戦うサトゥルーナの声が、ペンダントから響いて来る。


「いや、君はヒック君、なんだよ?」


「いや、俺はロラン君だって」


 村人は、ヒックの頭をはたく。


「いってぇな!いや、あんまり痛くは無いけど…」


「ああ、すまんすまん。叩いたら直るかと思って」


「痛えな!直るワケ、ねぇ…だろ…」


 その時だった。

 あの時、時空間で、ヒックと交わした約束の一部が蘇る。


「そうだ…俺は…ヒックだ…。ロッシーを…守る…」


 ヒックの目の中に、白い炎が小さく燃えていた。

 すると、ペンダントからグレイの声が聞こえる。


「ん?ヒックの気配がする。やっぱり、ここに…」


「あんたの相手は、こっちだって言ってるでしょう?!」


 サトゥルーナの声がする。


「いいかヒック?あれは、魔竜騎。人の心と心が繋がった時、それは強いチカラを産む。人の身体は進化し、心も進化して行く」


「はぁ…」


「お前にも、その魂がある。強い絆が…」


「へぇ…」


「私達は、この世界を守る。お前達を育てなければならない…」


「守る…」


「先程の反対。失恋をし心を失い、肉体だけとなった存在。フォルス。そこへお前達、ユニリンクする者の魂を渡す。それがC2R」


「うん…」


「お前、何も分かってないだろ」


「はいっ!」


 また村人は、ヒックの頭を叩いた。


 魔竜騎と交戦しているサトゥルーナは、そろそろ限界だった。

 そこへ空を割って、1人だけのズルワーンが飛び出して来る。

 もう1人のサトゥルーナの魂を食べたズルワーンは、ヒックのチカラを蓄えていた。

 そしてズルワーンは、グレイを時空フィールドへと閉じ込める。


「な、何?!」


 突然の事に、流石のグレイも驚く。

 内側から出る事の出来ない、時空フィールドへと閉じ込められるグレイ。


 そこへサトゥルーナもグレイに向かって、時空フィールドを張る。


「こんなもの…すぐに…」


 グレイは、ダブルで重ねられた時空フィールドを割ろうとする。


「行くぞ!」


 ズルワーンに、そう言われたサトゥルーナは、時空フィールドに包まれたグレイを、時空を割って運び出す。


 ヒックのペンダントから、声が聞こえなくなる。


「…脅威は…去ったな…ありがとう。ヒックの母よ…父よ…」


 村人が呟いているのを、不思議な顔をしてヒックは眺めていた。


 サトゥルーナとズルワーンは、世界から世界を渡りヒック達からなるべく距離を取ろうする。

 そしてヒックがいる世界から、3つ目の世界。惑星グランへと封印するのが限界だった。


 その世界の森の中で、時空フィールドを何重にも重ねがけし、グレイを封じ込めるサトゥルーナ。


 時空を連続で超え、時空フィールドを発生させ過ぎたせいで、サトゥルーナに宿るヒックのチカラは、もうほとんど残って居なかった。


「これで…」


 一安心するサトゥルーナ。気付くと1人だった。


「クソババァ!ここから僕を出せ!許さないぞ!」


「フン!そこで大人しくしていなさい!坊や」


 ズルワーンは、その間に、どこかへ行っていた。

 しばらくして戻って来たズルワーンと共に、次の世界へと行くサトゥルーナ。時空間の途中であった。

 ズルワーンが、サトゥルーナを時空フィールドへと、閉じ込める。


「な、何をするの?!」


「ふふ、私はお前のあとを着いて行っただけだ。チカラが残っている…」


「あんたはっ!!」


 時空フィールドを破ろうとするも、そのチカラは、サトゥルーナに残ってはおらず。そのまま気を失ってしまう。


「ふっ、そこでずっと眠っているがいい…」


 そう言ってズルワーンは、ヒックが居た世界へと廻って帰り、待たせていたフォルと魔竜騎ズルワーンの元へと辿り着く。


「待たせたな…フォル…さぁ、奴らを、追うの…だ…」


「え、ズルワーン…様っ?!」


 ズルワーンも連続世界移動のせいで、チカラを使い過ぎていたのか倒れてしまう。


 手には光る板が、握られていた。


 そしてフォルと魔竜騎ズルワーンは、ヒックとロッシーが、居る世界へと、進んで行く。





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