赤き雷光
フォルは、知らない声に驚き振り返り杖を構える。
「そんなに驚かないでくれよフォル。僕は君を助けに来たのさ。心配はしないで」
そう言って近づいて来る青白髪の男。
フォルは、後ろへ下がるもエーテルマナ炉と制御端末に背中を押され、それ以上後ろへは下がれない。
そしてロランの姿が無い事に気づく。
それは何故か?
フォルは、すぐに知った。
青白髪の男の横に、顔を伏せたロランが、倒れている。
他に人影は無い。ロランに間違いはない。
ロランが、胸から血を流して倒れているのだ。
その赤い血は、胸に空いた穴からドクドクと吹き出し、止まろうとしない。
「ロラン!待ってて、私が、今…光を放つ汝の血潮よ!生命の木を素に!今、その扉を開け!!」
フォルは、慌ててロランに近寄り、治療の魔法を試みるが大きな傷というよりも、穴が空いてしまっている相手を治療した事など無く、魔法が間に合う事も無い。幾ばくか血の流れが、少し収まった程度だ。
その間も
「ロラン!ロラン!!」
と必死に呼びかけている。
それをずっと黙って見ていた青白髪の男が声をかけてくる。
「ロランはもう居ない。奴の魂は他へ行った。全くしぶとい奴だ。私がわざわざ1人でこんな所まで来たというのに。さぁ、フォル。私と行こう…」
そう言ってロランの胸を貫いた血だらけの手を、フォルへ差し伸べた。
「許さない…あんた…なんなのよ…私のロランを………返しなさいよっ!!!!!!」
怒りの形相で、青白髪の男を睨みつける。
杖とフォルの目は、共鳴し赤く光る。
体からも赤い光とプラズマが、チリチリと発光している。
「おや、これは参ったな……だけど…これで…」
肩をすくめる様なポーズをとった後、青白髪の男は、差し出したいた手とは反対の手を、フォルに向けた。
次の瞬間2人の身体は、攻め込んでいた敵基地から上空。手の平くらいの大きさに見える程、瞬時にして空へと移動した。
少し浮上した後、急降下をする2人。
フォルは一瞬、驚いた様子だったが。
「…好都合よ、逃げ場は無いわ」
と小さく呟くと、詠唱を始めた。
プラズマが、パチパチと弾け飛び、赤い稲妻が当たりを包む、そしてそれは、赤い竜となり咆哮する。
「我が愛しの赤き稲妻よ!禍々しき胸を貫き、その心を奪い去りたまえっ!!」
閉じていた赤い閃光を放つ目を開き、目標を定め、青白髪の男の胸に左人差し指を重ね叫ぶ。
「喰らいなさいっ!!ドラグローズッ!ランサァー!!!!」
紅雷のドラゴンが、細い槍の様になるのを確認するのが先か、青白髪の男の胸に赤い槍が刺さるのが先か。
それほどの速さで敵を貫く、フォルの最上級魔法が炸裂する。
青白髪の男の胸を貫き、赤い稲妻の槍は、薔薇の花びらとなりて地上へと舞落ちて行く…。
青白髪の男の胸には穴が空き。
後ろに倒れてそのまま落下していく。
それを宙に浮いたまま見るフォルの目からは、光が消え、ただ落下していく男を眺めていた。
青白髪の男は、落下しながら砂埃へと紛れ、姿は見えなくなる。
すると現実に戻されたかの様な顔をするフォル。そして目からは涙が。頬を伝い、同じく地上へと落下していく。ボロボロと何度も、何度も。
「ロラン、、、なんだったのアイツは、、、ウッウウワァンッ…ッ!」
泣くことを抑えられずにフォルは、泣きじゃくる。
「ロラン!ロラン!ロラン…ッ!」
少女の世界は、歪み、息は、均等には出ず、喉は意識とは関係がないように反動する。力は抜けてしまう。
「ロランを返してよ…ロラン…」
その時、突如、フォルの後ろで、ガラスが割れる様な大きな音がした。
「え?!」
驚いて振り返るフォルは、空が割れて真っ暗な空間が広がっている事に気づく。
そして、その中から白い大きなドラゴンの様なものと、その頭の所に乗った、黒い服を着た女の子が出て来る様子を、
ただ呆然と眺めていた。。。





