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106 新人戦予選ボッチパーティー

お読みいただきありがとうございました。

 信じられないことにオンリーソロボッチの俺がリア充みたいなパーティーを組んでいた。

 パーティーなどと浮ついた馴れ合いに属するなんてボッチとしてはあるまじき行為だが、俺自らが率先してパーティーを結成したわけではない。

 俺は加速しながら今のこの状況を不思議に思う。


 ボッチがパーティーを組んだんだぞ?

 まあいい。今から愉快なパーティーメンバーを紹介するぜ。

 まずは遠近両用の万能切り込み隊長のボッチ界のインフルエンサーこと俺。

 だが神殺しの腕輪のせいで弱体化中の最弱ボッチ。

 その戦力は全盛期の数パーセント以下のゴミだ。


 そしてフードを被った幸薄系の謎の美少女ボッチのミキリ。

 ミキリは巨大な杖を振り回し、触ると冷たい氷魔法を使い手。

 存在感が薄く、音も立てずに近寄るボッチエアーのスキル持ちの美少女だ。


 最後に支援魔法の使い手で高飛車でフリフリ服を着たホホホのオタサーの姫の亜里亜。

 俺がその取り巻きを全員ぶっ殺したせいで路頭に迷ったのを渋々保護したが偉そうなのは変わらない。


 こんなふざけたパーティーでリア獣共が蔓延するバトロワの初戦を勝ち残れるとは到底思えない。

 だがしかし大方の予想を覆し、俺の色物ボッチパーティーは躍進していた。



「な、何をしている。敵は一人だ。囲んで殺せ」

「で、ですが、速すぎて」


 リーダーらしき男と剣士が大声で言い合っている。

 俺はそれを尻目に地面を蹴りつけメンタル霊を腕に纏いイマジナリーウェポンを振った。


「ギャアアア」


 一振り目が槍使いの足を切り裂いた。


「グアアア」


 二振り目が剣士の腕を切り通した。

 俺は倒れる二人に止めを刺すと次の獲物、魔道士に向かって飛んだ。


「疾風と螺旋による真空を刻め、ウィンドカッター」


 だが魔導師は既に詠唱を終えていた。

 俺は壁を蹴ってランダム軌道でジグザグに回避。

 俺の後方で風魔法が空気を割る。

 遅い。そんな魔法では俺に傷一つ付けられないぞ。

 俺が鼻を鳴らしたその時、もう一人の魔導師が俺に杖を向けた。

 これは二人の魔導師の連携攻撃?


「地獄の業火よ。我の前の敵を焼きつくせ」

「しまった」


 俺の口から罵りがこぼれる。

 魔導師の杖にメンタル霊が凝縮し、魔法効果に変換される。

 この距離では回避するよりも斬った方が早い。

 だが斬るとミキリたちに被害が及ぶ可能性も?

 俺が半秒ほど迷っているとその魔導師の杖が一瞬で凍りついた。


「え?」


 これはミキリの氷魔法だ。ナイスボッチ。


「待った、ちょっと待った」


 俺は無言で魔導師の胸に剣を突き刺し、乱暴に引き抜いた。


「ぐはっ」


 驚愕の表情を浮かべ、挙動不審で立ち尽くしているリーダーらしき男に一瞬で近寄るとその首を跳ねた。

 俺は溢れるメンタル霊を吸い込んでメンタル霊を臨時補給。


「くそっ。死ね」


 剣士の剣が俺に振り下ろされる。

 当然の如く、俺はそこにはいない。

 ワンステップで交わし、隙だらけの剣士を袈裟切りで両断。


「ゴャアカカ」


 メンタル霊が舞い上がり俺の視界を一瞬だけ遮った。

 その瞬間、俺の腕に飛来し矢が命中――しない。半身を翻し回避。

 硬直を狙ったのだろうが、それはこちらも同じ。

 第二射を放とうとしたアーチャーに向かって剣を投げつけた。

 メンタル霊により部分強化された俺の腕から放たれた大魔王の全殲滅剣が――。


「ぎゃひっ」


 弓矢を構えたアーチャー胸に深く突き刺さった。

 アーチャーがメンタル霊となって消え、刺さっていた剣が落ちるのを俺は空中で掴むと、大きく振ってメンタル霊を振り払う。

 今ので底をついたメンタル霊が経験値と共に補充される。

 そう、俺はギリギリだった。

 神殺しの腕輪により制限されている俺のメンタル霊容量は少ない。

 部分身体強化とはいえ、今の俺にとってはかなりのメンタル霊を消費する。

 そしてこの疑似瞬歩はメンタル霊を恐ろしく消費する。

 だから俺は消費したメンタル霊を倒した敵から吸収するという、自転車操業を繰り返していた。

 少しでも敵を仕留め損ねればメンタル霊不足によって、身体強化が消え、絶体絶命に陥るという綱渡りのような戦闘を繰り返していたのだ。

 まさに諸刃のボッチ。

 だが切り抜けた。


「お疲れリーダー」


 いつの間にか隣にいたミキリが労いの言葉を掛けてくれた。


「あ、ああ」


 地味系最強美少女に声を掛けられた俺のボッチハートがビックリして活動を止めそうになる。急に声を掛けるなよ。音もなく近寄るなよ。


「ちょっとお、一人でやっつけちゃって、私の身体強化魔法が全然役に立ってないじゃないの。どうなってるのよ。少しは敵の攻撃を受けなさいよ。一人で突撃して、かすりもしないってあんた何者? おかしいでしょ?」


 亜里亜がいちゃもんをつけてきた。

 なんで敵の攻撃をわざわざ受ける必要があるんだよ。

 痛いだろう。死んじゃうだろう。今の俺には斬擊無効の加護がないんだぞ。


「そもそもこの初戦はA級以下しかいないはず、何で一人で倒せちゃうの? あんたの動きはA級には見えないんだけど? もしかしてランクを偽って弱い者イジメしてるの?」


 亜里亜が眉をしかめた。

 酷いよ。俺のどこがイジメっ子なんだよ。

 一人で多数を相手にしているのはイジメじゃないだろ。窮ボッチ猫を嚙むって言葉知らないの?


「あんたライセンスカード見せなさい」


 亜里亜が掌を上に向けて振った。

 えっとなんか偉そうですね。そういう姉ちゃんみたいな上から目線は止めてくれないかな。

 絶対服従を長年強いられてきた俺にはその命令に逆らえないじゃないか。

 だけどこいつだけには見せたくない。

 こいつはオタサーの姫、つまりリア充クイーン。

 俺のライセンスを見たら絶対笑うだろう。


「……」

「どうしたのよ。ほらパーティーは信用が第一でしょ? 仲間に嘘吐くのは仲間じゃないわよ」


 オタサーの姫のくせに最もらしいことを言いやがって。


「誰にも言うなよ」


 俺は渋々ライセンスカードを具現化すると亜里亜に見せた。


「え? はっ? なにこれ? D級?」


 亜里亜が大きな声で叫んだ。

 ちょっと声が大きいですがな。誰にも言うなよって言ったよね。誰にでも聞こえる声で叫ぶんじゃねーよ。


「D級ってうそでしょ、これは何かの間違いよ」

「……」


 間違いであればいいんだが今の俺はD級以下のゴミ屑だ。

 ああ、無双の無敵だったあの頃が懐かしい。

 ボットハンドで暴れまくってたあの頃が恋しい。

 こう見えても昔は俺は強かったんだぞ?

 老いた今なら爺ちゃんの若い頃自慢の気持ちが良く分かる。


「仲間を信じないの?」


 ミキリが亜里亜を見つめる。


「いや、そうじゃないけど、おかしいでしょ? この人、強すぎでしょ? D級があんな動きできるわけないじゃないの。絶体S級以上じゃない?」


 亜里亜が切れ長の目を細めて俺を見る。

 鋭い。オタサーの姫のくせに鋭いじゃないか。

 何故俺が元S級以上だと見抜いた? やはり醸し出すボの雰囲気はS級ということか。


「ききき、気のせいだ」


 俺はシドロモドロに答える。


「だって瞬歩使ってたじゃん?」


 こいつ、瞬歩を知っている?


「瞬歩?」

「メンタル霊を爆発させて身体強化するA級以上の必須スキルよ。お兄ちゃんが使えるからよく知ってるの」


 バカにしていた。オタサーの姫だからって完全に舐めていた。

 お兄ちゃんがいたのですか? そいつ絶対嫌な兄貴に違いない。

 だが残念だったな。あれは瞬歩ではない。疑似瞬歩だ。

 物理法則を超えてもいなければ、残像を残すほどでも、音速を超えることもない。

 目で追える範疇の遅い動きに過ぎない。


「そそそ、そんなの、つつつ、使ってないよ」


 俺はシドロモドロに答える。


「嘘ついたわね。滅茶苦茶噛んでるじゃないの」

「かかか、噛むのは生まれつきだ」

「じゃあ瞬歩じゃなければなんなの?」

「さささ、さあ? なんだろ」

「すっとぼけやがって、そのメンタル霊容量もS級クラスだし、誤魔化せないから」


 何言ってんだ。俺のメンタル霊容量はD級以下だし、瞬歩も物理法則を超える速度は出ていない。

 魔法もボットハンドで封印され、剣技だってかつての冴えはない。

 従ってD級で合っている。なんとか誤魔化せ、黙りで逃げ切れ。


「ああああ、相手が弱いだけだ」


 そう、敵が弱いのだ。

 この初戦に参加している霊トレーサーはA級以下の新人。

 まだ成り立てホヤホヤの新人達。

 ダンジョン探索やパーティーでの経験も戦闘経験も少ない。

 毎日キリヒメサマや木曽三川警護団を相手にしている俺から見れば素人以下だ。

 俺が倒せるのは彼らに経験がないからだ。


「……」


 ミキリは黙って落ちている魔石とコインを拾っている。


「納得いかない。なんか私の出番なくない?」


 亜里亜が不満そうに腕を組んだ。


「そんなことない」


 ミキリが俺の代わりにフォローしてくれた。


「そう? だって回復魔法なんて一度も使ってないのよ」


 そう、彼女の回復魔法は出番はなかった。

 なぜなら誰も傷つかないからだ。俺は勘で避けるし、ミキリには氷の壁がある。

 亜里亜よ。そんなに自分を卑下する必要はない。

 お前の身体強化は大いに役立っているはずだ。

 と、俺は心の中でフォローした。


「亜里亜は充分役立っている」


 ミキリが俺の代わりに声に出して慰める。

 ミキリは同じボッチだと思っていたが意外に喋るようだ。


「そう? 役に立ってる?」

「そう」

「どこが?」

「……」

「……」


 俺とミキリは亜里亜の疑問に沈黙で答えた。


「なんか言ってよ二人とも」

「……行くぞ」


 俺は二人を置いて歩き始めた。


「……うん」

「ちょっと待って」


 二人の美少女が俺の後を慌ててついてくる。

 ミキリも亜里亜も可愛い。

 衝撃無効の加護が無効な今、二人の顔を直視することはできない。

 これ以上会話していたら顔が真っ赤になってどうしたの? 熱でもあるの? とか言いながら、ミキリがおでこを当ててきたら身体中の血が沸騰してボチ死しちゃう。


「あっ、敵」


 ミキリの目はいい。いつも一番最初に敵を発見する。


「隠れて援護」


 俺はイマジナリーウェポンを抜刀した。


「うん、何人たりとも破壊することも乗り越えることもできない永久表土より深き絶対零度の障壁よ。あらゆる脅威から我を断絶せよ。アイスウォール」


 ミキリが魔法で氷の壁を創り出した。


「ちょっと、私いらない子じゃないの」

「そんなことない……きっと」


 ミキリが無表情で笑った。


「きっとってまるで私は役立たずみたいじゃないのよ」

「……」

「じゃあ、何の魔法なら役に立つのよ。いっそのこと違う支援魔法を試してみる」

「違う魔法?」


 俺は敵の様子をチラ見しながら聞く。

 敵は俺たちを攻撃するのを迷っているようだ。


「なにか希望は?」


 希望だと? 俺は腕輪を見る。

 この神殺しの腕輪の効果を相殺することだ。

 だがヤオロズ装具を人間がどうにかできるはずがない。

 俺の目下の悩みは万年メンタル霊不足。おかげでお肌がボチボチ状態なのだ。

 メンタル霊さえあれば戦える。


「メンタル霊を回復してくれ」

「無理。そんな譲渡魔法は存在しないわ」

「じゃあ魔法吸収は」


 ミキリが無表情で指を立てた。


「え?」

「魔法吸収ならば、魔法をメンタル霊に変換できるかもしれないけど、ダメージは受ける。でも私の回復魔法で癒せるわねえ」

「ダメージを受けるってことは痛いの?」

「そりゃ、魔法攻撃を受けるから」

「……じゃあ、いいや」

「意気地無しめ、詠唱破棄、魔法吸収」

「え?」


 俺の身体がピンクに輝いた。


「凍てつく矢よ。凍てつく氷よ、眼前の敵を砕け。アイスアロー」


 ミキリが杖を振った。

 メンタル霊が魔法に変換され、氷の矢が出願し周囲の温度が下がる。


「マテマテマテ」

「実験」


 アイスアローが俺の胸に突き刺さる。

 クッソ痛え。

 同時に魔法吸収のピンク色に輝き、アイスアローをメンタル霊に再変換する。

 そして俺の糧となった。


「女神と眷族の我の願いを聞き遂げよ。理の奏でる囁きよ。その者を癒せ」


 亜里亜の回復魔法が俺の胸の傷を癒やす。

 同時にピンク色の光が現れ、回復魔法がメンタル霊となって吸収された。


「どう?」

「……いや、攻撃魔法じゃなくて、始めから回復魔法でよくねえ?」

「「……」」


 ミキリと亜里亜が顔を合わせて頷き合った。


「回復魔法を魔法吸収すればダメージないだろ?」

「「確かに」」

「メンタル霊の保管庫。頼んだぞ」


 俺はメンタル霊を爆発させて地面を蹴った。

 敵は俺たちのことを仲間割れしたと思ったのか、やっと戦う決意をしたようだ。

 先手必勝と言わんばかりに飛来した矢を俺は半身を捻って回避。

 俺はそのまま減速せずに先頭の盾持ちの盾に体当たり。


「ぐへっ」


 盾が浮き上がり、無防備なボディが現れたその瞬間、そこにミキリの放ったアイスアローが命中。

 俺はそれを最後まで見届ける間もなく、凍り始めた盾持ちの奥に控えていた剣士に斬りかかる。


「「ギャアアアア」」


 叫び声が俺の前後で響き渡る。

 俺がイマジナリーウェポンを引き抜きながら、メンタル霊を補充すると次の獲物に向かって疑似瞬歩でステップを刻む。


「無限竹林刺し」


 槍使いの槍が俺に向かって無数に繰り出される。

 槍使いのスキルだろうか? 以前のソロの俺ならば恐れを成して逃げ出していたに違いない。

 だが俺には回復係がいるのだ。

 多少の傷ならば度外視可能だ。


「……」


 俺は高速で突き出される槍の合間へ潜りこんだ。思ってたより遅い。

 ビビって損した。


「なっ」


 驚愕する槍使いの槍を全殲滅剣で横に逸らし、胸を突き刺した。


「ぐっ、俺の突きより速いだと」


 それが槍使いの最後の言葉だった。

 俺は失ったメンタル霊を槍使いのメンタル霊で補充すると、後ろから襲いかかる斧使いの振り回す斧を回避。


「何故分かったんだあ、後ろに目でもあるのか?」


 巨大な斧が空を切る。

 木曽三川警護団に背後から何百回と斬られたからな。

 どこから攻撃してくるか分かるようになってんだよ。

 感とか、気配とかじゃない。

 法則だ。その場で立ち止まったら攻撃される。

 では、わざと隙を作ればいい。

 俺は通り過ぎた斧を蹴りつけ、伸びきった斧使いの両手を全殲滅剣で両断。


「ギャアアアア」


 斧使いの絶叫に紛れて襲いかかる剣士の剣を弾くと、横に回避スライド。

 だがそれを待っていたかのようにそこに別の剣士の剣が振り下ろされる。


「くっ」


 俺は咄嗟に回避行動をキャンセルし、疑似瞬歩で後方に飛び難を逃れる。

 だが俺の背中に壁が当たる。


「逃げ道はない」

「死ねや」


 敵パーティーの剣士二人が俺に剣を向けた。

 今の回避行動でメンタル霊を失った。

 二対一とは卑怯だぞ。


「アイスアローレイン」


 その時、ミキリの小さな声が響きわたった。

 アイスアローレイン。その名からきっとアイスアローがレインのように降り注ぐのだろう。


「え?」

「味方がいるのに全体魔法だと?」


 剣士二人が叫んだ。


「え?」


 俺も叫んだ。

 無数のアイスアローが降り注ぎ、剣士達を貫いた。

 俺は剣で弾くが、弾き損ねて刺さった。


「くっ」


 くそ痛え。だがピンク色の光が現れ、アローレインをメンタル霊に変換する。

 底をついたメンタル霊が回復し、俺は目の前の剣士を斬った。


「お疲れ」


 ミキリが無表情気味の笑顔で駆け寄ってくる。くっそカワエエ。


「……」


 俺がいるのに全体攻撃魔法を放ったミキリを睨んだ。

 今のはないっしょ? たとえ地味系幸薄最強美少女でも仲間ごと攻撃するのはいかがなものかと?


「避けるかと思った。ごめん」


 ミキリが顔の前で手を振った。

 許す。許しますとも。


「ホホホ、回復してあげましょうか?」


 亜里亜が偉そうにふんぞり返りながらそう言った。


「ああ」

「聞こえなーい? お願いしますは?」


 亜里亜が偉そうに腕を組んでそう言った。

 俺は亜里亜の組んだ腕に圧迫された胸から目をそらして睨んだ。


「じゃあいい」

「え? ちょっと待って」

「……」


 亜里亜の回復魔法が俺を包んだ。

 ミキリの大規模広域魔法アイスアローレインで受けた傷が癒えた。

 そこである疑問が浮かんだ。

 俺じゃなかったら死んでただろ?

 まあ謝罪されたからグチグチ言いたくないけど大規模魔法だよ?


「ん? お前ら、強くね?」


 俺の口から疑問が溢れ出た。


「え?」

「は?」


 お前が言うな的な目で俺を見る二人。


「いや、お前らの魔法凄くね?」

「え?」

「は?」


 二人がお前が言うな的な目で再び俺を見る。


「凄くないのか」

「凄いよ。ミキリの魔法凄いよ」


 亜里亜がミキリを褒める。


「亜里亜の魔法も凄い」


 ミキリも亜里亜を褒める。


「おかしくね?」

「あんたが言うな」


 亜里亜が俺を睨んだ。

 この二人A級以下にしては魔法が強すぎなんだよな。

 おかしいよな。敵でこんな魔法を使う奴なんていやしなかった。


「リーダーのほうがおかしい」

「そうよ。あんた戦い慣れしてない? 新人でしょ? この戦闘能力でD級ってなんか悪いことでもしたの?」

「たしかに」

「しかもその戦闘服もおかしい」


 亜里亜が俺を睨んだ。


「え?」

「たしかに」


 確かにセンスがおかしいな。それは俺も同感だ。


「なんか微妙に常時身体強化されているように見えるし」

「たしかに」


 ミキリはさっきから同じセリフしか言わない。


「勝ってるからいいだろうが」


 俺は不機嫌そうに言った。


「今まではね。これから勝てるか分からないわ」


「なんで?」

「このパーティーには大きな弱点があるの」


 亜里亜がそう言った。

 大きな弱点だと?

 それは俺がコミュ障ということか?


「弱点。それはあなたよ。リーダー」


 亜里亜が俺を睨んだ。やっぱり予想通り弱点は俺だった。



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