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Reversal One The Life(リバーサル・ワン・ザ・ライフ)  作者: usiroka
第1章 転生と冒険の始まり
12/25

第11話 異世界で初めての朝

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

「ん…。」


 いつの間にか寝入っていた。だがまだ周りは明るくなったばかりだった。光輝は寝ぼけながらiP●oneを確認してみたところ時間は6時15分だった。


(まだ部活まで余裕がある、早く朝飯作って服着替えないと…。)


 少し身体を伸ばしてベッドから降りようとしたとき何かが手に当たった。


(なんだ…?)


 手の辺りに目を凝らすと透明な球体があることに気が付いた。


(…。)


 よく目を凝らして球体を見ていた。そうした時に今までの事を思い出した。


(…!!)


 目を少しこすって周りを確認した。見慣れない家具と昨日ルルシアから貰った剣があった。


「そうか…。」


 目を覚ましても昨日と変わらない景色は


「俺は死んでからここに来たんだな。」


 これは夢のようで現実なんだと光輝に強く伝えた。


 顔を洗い、私服に着がえたがまだ起きた時間が早いため、食堂が開いていなかった。少し暇になった光輝はiP●oneを開きY●hoo!のニュースアプリを立ち上げた。光輝は朝の暇な時間はニュースを読んで社会史などの時事問題に対策をしていた。この世界でY●hoo!がノルスのお陰で使えることも忘れて、ニュースを一つずつ見ていた。


(…総理大臣不正発覚により、総理大臣を辞任へ追い込まれる。水泳の轟選手が平泳ぎにて世界大会で自己ベストを更新して、初優勝を手にする。有名アーティストJcrackジェイクラック藤宮ふじみや 修平しゅうへいと人気女優の巡川めぐりかわ 綾子あやこが小学生の時からの幼馴染で数年前から交際していることが判明。…いつもと変わらない普通の記事が載ってるな。)


 これまでは軽く覚えるためにスッと読んで頭に残すくらいだった。だがここに来てからは完全に縁も消えていた。時間もあったので普段は詳しく読まないピックアップされていたニュースをじっくり読むことにした。


(今までこうして見ることもなかったな…。ただテストのために、授業の為だけに見ていたから改めるといろんな事柄があって色んな物事が起きているのが分からなかったな…。)


 関心や残念な気持ちも交えながら、ニュースをゆっくり黙々と読んでいた。そしてピックアップされていたニュースも読み終えた時に地元の欄に目が入った。


(住んでいたのが東京だったから、地元のニュースがピックアップされていたニュースにほとんど吸い込まれていたんだよな…。見る気もなかったけど暇だから読んでみるか…。)


 光輝は地元の欄をタップして面白そうなニュースが無いかと少し探していた。


(アメリカで話題沸騰のドーナッツ屋がいよいよ日本へ、今年の10月に銀座にてオープン予定。東京駅にて切符に新システムを組み込むことが決定、2021年にテスト開始予定。…やっぱりあんまり面白くないな。)


 正直光輝にとってはあまり関心の持てない記事ばかりが続いていた。何か興味のわく地元のニュースは無いかと画面をスクロールしていると一つの記事が目に入った。




 東京墨田区で、男子高校生が急性の心臓発作で死亡




「…!!」


 その記事を見た瞬間に光輝は顳顬こめかみから嫌な汗が流れた。生唾を飲み、少し恐れながらも光輝はその記事をタップした。そしてその記事を見ていった。











  8月6日午後1時頃、東京墨田区の墨田第一高校に通っていた『月攻匁つきくめ 光輝こうき』さん(18)が急性の心臓発作を起こし死亡した。


  学校の部活帰りに突然と倒れ、救急車に搬送されるも医師の懸命な心肺蘇生が効かず、集中治療室にて治療を行うも三時間後に亡くなったという。


  心臓発作の原因として、昨日の28℃と低い温度からの35℃へと温度が急上昇したこと、水分摂取が甘かったこと、とてもハードな運動の後であった事、彼自身の心臓が生まれつきに僅かだが弱かったことが合併して起こった事だと医師はコメントしている。


  今回の光輝さんの突然の死に、学校側は『突然と起きた出来事なので、本当に信じられないでいる。彼は学校でもとても優秀な人物で未来に期待を持てる生徒であったため、とても残念です。光輝さんとご家族の皆さんに謹んでお悔やみ申し上げます。』とコメントしている。


  また光輝さんが所属していた剣道部部長の『竹里たけざと 沙織さおり』さんは『私があの時三年だけで練習しようと言ったのが間違いでした。私はいつも最後まで残って剣道の練習をしたいだけで、いつも三年のメンバーを巻き添えにしていました。私は大好きな剣道ばかりに目を向けていてしまい、いつもみんなの気持ちを無視してしまいました。その代償がこのような形で現れるなんて思いもしませんでした。県大会でも一度も試合で負けずにチームを引っ張ってくれた彼は本当に真面目で、頭も良くてとても立派な人でした。今回私は自分の身勝手で未来ある人を殺してしまいました。光輝君と光輝君のお母さんには何と言えばいいのか分かりません。』とコメントしている。











「…。」


 記事を読み終えた光輝は複雑な心境にいた。自分の顔写真が貼られ、自分の死がここまでシンプルに書かれているが何より変だとしか思えなかった。そしてまるで私のせいで自分が死んだと言っていた剣道部の部長のコメントにどうしても納得がいかなかった。


「俺は別の世界に生まれ変わっただけなのに…。」


 どうしようもできない現実が光輝を襲った。誰のせいでもなく、あまり人に迷惑を掛けないで死んだはずなのにどうしてこうなったのか全く分からなかった。


「…。」


 結局光輝は答えを出すことはできなかった。いつまでもこの記事を見ていたら自分はダメになってしまうと思った光輝は、アプリをスッと閉じた。


 アプリを閉じて時間を確認したところ時計は8時10分を表していた。光輝はベッドから腰を上げて食堂へ向かった。1階に着いて、案内掲示板に『RESTAURANT→』の文字を見つけ食堂へ向かった。歩いて向かっていると自分と同じ年代の人たちが集まってきた。走って向かう人、眠い目をこすりながら歩く人、寝ぐせと服を整えてない人、楽しそうに話しながら歩く人といろんな人が食堂に向かっていた。そして食堂の入り口を通るととても広い空間があった。豪華な結婚披露宴が行われるような場所と一瞬錯覚してしまった。食堂には大量のテーブル・椅子があり、ウェイトレス達も多すぎるお客の対応に手を焼いていた。その騒がしさに慣れない中で、光輝はとりあえず空いている席に座った。すると座って一分後に女性のウェイターが水を持って現れた。


「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」


「…いえ、まだですが。」


「そうですか、ではこちらにあるメニューからお選び下さい。そして決まり次第こちらのベルを鳴らして下さい。…ところでお客様は当レストランの利用は初めてですか?」


「はい、そうですが…。」


「こちらのレストランについてですが、時間帯によっては大変込みやすいため、長時間の席の利用はご遠慮いただいています。ご理解の元、当レストランをご利用ください。それでは失礼いたします。」

 女性はそう言うと丁寧にお辞儀をすると近くの席で接客を始めた。


(ベル鳴らしてないのに来てくれたのは、客が混むのを避ける為か…。)


 とりあえずメニューを決めなければと思い、メニューを急いで見ることにした。しかしメニューを見てあることに気が付いた。


(…トレトアイル語が読める!!)


 昨日は頑張って見つめても読めなかった文字が、日本語のようにスラスラ読めることに驚いた。


(あ…。驚いている場合じゃないか…。)


 先ほど女性のウェイターの言葉を思い出して、とりあえずメニューを再確認することにした。


(ご飯と魚の塩焼き定食、三種のおにぎり定食、パンケーキ、朝食用タコス、スクランブルエッグとサラダ付きのバタートースト、野菜入りホットドック、日本とほとんど変わらないな…。)


 何を頼もうか迷っていた時、一つの文字が目に入ってきた。


(『テイクアウト』…?)


 とりあえず詳しく読むことにした。


(えっと…。)






  『テイクアウト』について


  当レストランでは、一部メニューのテイクアウトサービスを行っています。


  テイクアウトにつきましては、朝の7時から10時の間のお食事の際にウェイトレスに『テイクアウト可能』と書かれているメニューの中から選んで、ここで食事を注文すると同時に注文して下さい。


  テイクアウトメニューとここでの食事は冒険者ライセンスを持参している場合は会計の際にウェイトレスに見せていただくとその場で三割引きとさせて頂きます。


  なお当店ではテイクアウトメニューのみの注文は受け付けておりません、ご了承ください。






(…なるほど。)


 テイクアウトの仕組みを理解して、光輝は改めてメニューを選ぶことにした。そして少し悩んで、ベルを鳴らしてウェイトレスを呼んだ。するとベルを鳴らして5秒も経たないうちに先程とは違う女性がやってきた。


「いらっしゃいませ!ご注文はどうされますか?」


 女性は柔らかい笑みであいさつをした。


「えっと、ご飯と魚の塩焼き定食を一つ。それとテイクアウトで色とりどりの欲張りサンドイッチセットを一つお願いします。」


「ご飯と魚の塩焼き定食とテイクアウトで色とりどりの欲張りサンドイッチセットですね。ではテイクアウトの用意をいたしますのでお名前を教えてもらっていいですか?」


「はい、月攻匁 光輝つきくめこうきです。」


「月攻匁 光輝つきくめこうきさんですね…。はい、ではこの2017番の紙をお会計の際にレジのウェイトレスに渡してください。これが無いとテイクアウトしたい料理が出せないので紛失しないようお願いします。紛失しても再発行はしませんので、ご了承ください。では料理が出てくるまでしばらくお待ちください。」


 女性はそう言うと、別の席で注文を取り始めた。


(2017番…。)


 偶然なのかは分からないが、それは光輝がいた日本と同じ歴代であった。奇妙なことであったが、僅かだがその数字に懐かしさを感じた。そう考えて2分後に、ご飯と魚の塩焼き定食を男性のウェイトレスが持ってきてくれた。


「お待たせしました。『ご飯と魚の塩焼き定食』です。お客様、箸はお使いになられますか?」


「はい。」


「では、どうぞ。」


「ありがとうございます。」


「それでは失礼します。」


 男性のウェイトレスはまた別の席へ注文を取りに行った。


「ふむ…。」


 魚の種類は分からないが、日本の食卓で見る一般的な魚・ご飯・みそ汁だった。昨日の夜何も食べていなかった光輝は『いただきます。』と言うとご飯を少し早めの勢いで食べ始めた。


(あれ…?)


 ご飯の味や魚の味はこれまで食べてきたものとはほとんど一緒だった。だけどどの食べ物も日本の物よりもおいしいと感じた。食材は見た限り高級そうではないのだがどれもいつもよりもおいしいと思っていた。


「ふぅ…。」


 ご飯を食べ終わった光輝は会計を済ますため、レジへ向かった。がしかし、10列もレジがあるのに、どの列もかなり長い列ができていた。とりあえず並んでみると意外にも早く人が進み、気付いた時にはレジの前にいた。


「いらっしゃいませ。注文書をこちらへどうぞ。冒険者ライセンス・テイクアウトの番号の紙があるなら同時に僕に渡してください。」


 男性ウェイトレスの指示に従い、光輝はそれらを同時に見せた。


「では先に冒険者ライセンスをお返しします。…注文された二点合計で560クルフとなります。」


「はい。」


「番号が確認できましたので、こちらがテイクアウトの『色とりどりの欲張りサンドイッチセット』となります。必ず今日中に食べてください。」


「ありがとうございます。」


 こんなにおいしいのに安くて大丈夫なのだろうかと思いながらも、とりあえず財布から1000クルフ紙幣を出して、お釣りとサンドイッチを受け取り会計を済ませた。


「ありがとうございました!またのご来店をお待ちしております!!」


 レジを離れ、時間を確認するとまだ時刻は8時45分だった。部屋にゆっくり戻ると光輝が昨日貰った防具を装着し始めた。だが気慣れない防具に装着するのにかなり時間を取ってしまった。鏡で自分の姿を何度か見たがなんだか恥ずかしくて仕方なかった。いつまでも部屋にいるわけにいかないので、羞恥心を捨て部屋を出た。鍵を返そうとフロントに行くと昨日のおばちゃんの従業員が偶然にもいた。


「おや、冒険かい?気を付けるんだよ!!」


「は、はい…。」


 少し後ろを押されながらも光輝はホテルを出た。ギルドまでの道を思い出しながら歩いて15分程でギルドに着いた。そして昨日と同じように『ACCEPTANCE→』の看板を見つけて、大きな受付にやってきた。


 受付は昨日と変わらずとても賑やかで、いろんな冒険者が集まっていた。多くの人の中から光輝はルルシアを見つけた。


「おはようございます。ルルシアさん。」


「…光輝さん!!おはようございます!!」


 光輝に気付いたルルシアは駆け足でこちらまで来た、


「本当に来てくれたんですね!!嬉しいです!!」


「はい…、約束なので…。」


「ではもうすぐしたら講習会がこの先にある少し広い場所で始まりますので、そこに行ってください。では私は仕事に戻りますので初めての冒険頑張って下さい!」


 光輝に声援を送ったルルシアは手を振ってから仕事に戻っていった。


 声援を受けた光輝は少しだが嬉しくなっていった。

 そして少し歩くと先ほどルルシアに言われた少し広い場所に出た。そこにはすでにたくさんの人だまりが出来ていた。その場にいる人たちは楽しそうに話す人・背伸びして身体を伸ばしている人・不思議な本を黙々と読んでいる人・武器を見せ合っている人・緊張して不安な顔になっている人と色々と行動は違っていた。


 がやがやとしている中で、一番前の方に身長185cmほどの剣を腰に下げているガタイの良い男性、大きな斧を持った155cmほどの女性、他にも杖を持った沢山の人々が出てきた。


「全員、私語を止めよ!」


 男性の一声でがやがやしていた会場は一気に静まり返った。


「よくぞ集まってくれた、新たな冒険者よ。私はギルク・ファイク。今日限りの特別指導者だ。よろしく頼む。」


 いよいよ、冒険の手前まで来た。光輝は少しだがその空気に緊張と不安を隠せなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 心理描写のパターンが増えてきたのは良い傾向。 ここからが見所かな [気になる点] 前半読みにくいのが辛いな。
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