第十九話 襲来 蒼き魔人ファゲイト
「あなたは、ギルドマスター!?」
イリスが口を押えて驚く。無論、驚いたのはイリスだけでは無くノアも同じだ。
「なんでお前が」
「最近ギルドが、って――ぁぁ!」
「いま話すのはダメだ! ファゲイトを倒してからにしよう」
ファゲイトは容赦なく踏みつけてくる。ノアは勢い良く地面を蹴ってなんとか避ける。
「そうですわね。ノア様」
「なんでイリス様がノアの事を様付けで読んでいるだぁ!」
「アデリンうっせぇぞ! 少し黙ってろ!」
「はひぃ!」
ノアはアデリンをセシルの所に転移させてファゲイトに集中する。
「さてと、アイツの攻略なんだが」
「無策に突撃は良くなさそうですわね」
イリスがノアの質問に一言で答えるとイリスが軽く息を吸って叫ぶ。
「魔法使いは斉射ですわッ!」
イリスはファゲイトを指をさしながら指揮を取る。すると大きな火の玉が現れた。
そしてジリジリと燃える炎はファゲイトを目掛けて打ち込まれる。
「ぶぎゃぁぁぁぁぁ!!」
「汚ぇ断末魔だな」
「剣士は指示があるまで待機ですわ」
ファゲイトが火傷を負っている間にノアとイリスはすぐさま作戦会議を開く。
「どう攻撃するかしら? ノア様」
「俺的には誰かが陽動して、その隙を狙うっていうのはどうだ?」
「いい案ですわ。ですが誰をおとりにするかが重要になってきますわ。その役に最適なのは」
「俺ぐらいだよな。俺の転移魔法は物体を光よりも早く動かして転移させる。その原理を使えば光の速度で避ける事も防ぐことも出来るぞ」
「なんで光の速度よりも早く物を動かすと転移するかは分かりませんわ」
「それは」
なぜノアがこの事を知っているのかと言うと独学で魔法の開発している時にわかった事だからだ。
地味にこの事を知っているのは世界でノアだけである。
「でも出来ると言うなら、お願いします」
「ああ、任された」
ノアは土をファゲイトに投げつけて気を引く。
もちろん投げつけただけでは無い。投げた土はノアの魔法によって凄まじい速度で飛んでいく。
いくら軽くとも速く動ければそれだけ威力が増す。
「鬼さんこっちらッ!」
「グァッ! ギェェッイ!」
「お前なに語喋ってるだよ。笑えてくるわ」
ファゲイトは成人と同じぐらいの大きさの氷の矢をどんどん飛ばしてくる。
「ひぇ〜、おっかねぇや」
「ブェエ! ビゥーラバッ!」
「だからやめろって。笑っちゃうから」
ノアは規格外の身体能力だけでファゲイトの猛攻をのらりくらりとかわしていく。
ファゲイトの背中側には剣士達がファゲイトの足を切っているが、ぶっちゃけ意味ないと思う。
「ギャーラッブ! ブロロロッド!」
「――ッ!」
瞬間、目の前に氷の矢が迫る。避けられないし、矢が当たるまで転移魔法の術式を編むことは出来ない。それに気づいたノアはファゲイトの策略を鼻で笑う。
ノアが使える転移魔法の応用。世界でたった一人、ノアしか使えない魔法を繰り出す。
「熱と衝撃の壁!!」
インパクトウォールは自身ノアの移動速度を一瞬だけ極超音速まで引き上げて、ソニックブームの原理で自身に衝撃波の壁を纏わせる魔法である。
ノアの使う転移魔法は光の速度を超えるので極超音速で物を動かすのは結構簡単だったりする。
ブォォォォォォォォン!!!!
ファゲイトの氷の矢とノアのソニックブームで辺りに轟音が鳴り響く。
「あっぶねぇ。気ぃ抜いてた。面白くなってきたじゃねぇか」
衝撃波の影響で地面はえぐれて、湖の水は空高く上がっている。
「あんまりやるとやばいかもな。この魔法」
「ギラァ! ブラァッドッ!」
「うぉっと危ねぇ。ふぅ〜、意外と楽しいな」
多腕族であるファゲイトの腕は八本ある。そのため拳の攻撃も無視できない。
「手加減してんだ。感謝しろよっ!」
そこら辺の石をファゲイトの心臓に転移させてしまえば瞬殺できてしまうのだが、そんな事をすると復讐に燃える人達が可哀想なのでやらない事にしている。
「放ってくださいまし!」
イリスの叫び声と共に再度巨大な火の玉が生成されてファゲイト目掛けて打ち込まれる。
「ブヴァァァァ!!」
「決まりましたわ! ノア様何かでトドメを刺してくださいまし!」
「なにかって雑な指示だな。分かった! 喰らえッ! 超音速パンチ――ッ!!」
地面を蹴り上げて三メートルぐらい飛ぶ。
ノアの右手を凄まじい速度でファゲイトに殴り込む。当たった瞬間、ファゲイトの上体は一瞬にして吹き飛んで行った。
超音速パンチは今、適当につけた名前である。
「なんとか勝ったな」
「はい! 流石はノア様です!! 最後の渾身の一撃は私の心すらも撃ち抜いていましたわ」
「お前はいつも撃ち抜かれているだろ」
「そうでしたわね」
ノアとイリスは微笑み合う。しばらくしてノアは一つ不思議に思う。
「それにしてもせっかく勝ったって言うのに喜びが声一つも聞こえないんだが」
「多分、勝った喜びよりも驚く事があったんだと思いますわ」
「なにがあったんだ?」
「もしかして自覚無いのかしら?」
「どゆこと?」
「ノア様が魔人を単独で倒した事に決まっていますわ!」
「え? いやいや、俺はみんなの力あってだな」
「誰があの勝ち方でチームで勝ったって言うのかしら? どう考えてもノア様単独ですわ。あの程度の助けで助けただなんて恥ずかしすぎて、口が裂けても言えないですわよ」
「マジ? そんな感じ?」
「そんな感じですわ」
いよいよノアが世界最強なんじゃないかと考え始める。
いやよくよく考えれば転移させれば攻撃は必ず当たって、どんな攻撃も転移させれば避ける事が出来る。
普通にチートじゃんこれ。
「やっと自分の強さに気がついたようですわね」
「ああ、なんとなく分かってきた気がする」
「ならよろしい、ですわ」
なんてイリスと雑談しているとイリスが討伐隊に顔を向けて。
「ノア様のお力により、この戦い私たちの勝利ですわ!!」
「うぉぉッ!!」
「ほんとにこんなんで良いのかな?」
ノアは苦笑いしながらため息をつくのだった。
それから時間が経って今はギルドマスターのアデリンの泣き落としにあっている。
「助けてください!! ノア様! なんでもしますから!!」
「ほんとに困ったな」
「ほんとになんでもしますからぁ」
「どうします? このメスブタ」
「難しい質問だな、セシル。このゴミクズは昔、俺を理不尽にギルドに追放されたっていう前科があるからな」
「それについては、本当にごめんなさい!! あなたがここまで必要な存在だって気づかなくて」
「言い訳は結構なんだが」
「ノア様は相当にこのメス肉に嫌がらせを受けたのですね。可愛そうですわ」
「嫌がらせの領域ではないがな」
ノアは腕を組んで真剣にコイツの今後を考える。
もちろん助けるか見捨てるかではなく、どう復讐してやろうかで考えているのだが。
「本当にごめんなさい!! どうか、どうかこのメス犬に未来をください。お願いします」
ギルマスは額を地面に擦りつけながら土下座する。ノアは上から見下すにギルマスを見下ろす。するとギルマスがなにか言い出した。
「そういえば、ノア様は今なんでも屋を営んでいらっしゃるようで」
「ああ、そうだな。で? なんでも屋がどうしたんだ?」
「私もそのお店の従業員に――ぐはっ!」
ノアはギルマスの後頭部を思い切り手刀を打ち込む。
「この期に及んでまだそんな事を抜かすか! あれは俺の大切な場所だ! 断じてお前のいていい場所じゃねぇ!」
ノアはギルマスに怒鳴りつける。
「分かったよ。お前の気持ちはよく分かったよ」
「なら助けてくれるのですね!」
「さようなら。ギルドマスター、いやアデリン・ドイル」
そう吐き捨ててからノアはイリスとセシルを連れて馬に乗り込み、帰っていく。
「ノア・カインズぅぅぅぅぁぁぁぁ!!」
そしてノアはギルマスにケリをつけたのだった。
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