第十話 王族の長女イリス・カルタニア
「まぁ、今日からイリスとミナーヴァとルサルカがこの家に住むことになったんだが。案の定問題が発生した! 寝る場所が無い!」
「私がノア様と一緒に寝ますわ」
「私と一緒に寝たらどうでしょうノア!」
「ノアくん、お姉ちゃんと同じ布団で寝よっか」
「僕はノアくんと同じ部屋で寝れたらそれでいいよ」
分かりきってた反応で逆にスカッとしたノアだったがそんな事をしている暇など無く考えるノアだが案外、解決方法は思いつく。
「俺と寝るのは一日交代で寝るなんてどうだ?」
「嫌ですわ。それじゃ毎日ノア様を襲えないじゃありませんか」
「私、毎日ノアと一緒に寝たいです!」
「お姉ちゃんはノアくんと一緒じゃなくちゃ寝れないよぉ」
「それはいい案だね。さすがノアくんだよ!」
「じゃあもう俺と一緒に寝るの無し! 各自ペアを作って勝手に寝ろ! そしてイリス! 夜中に俺を襲うとしない!」
するとイリスとセシルとミナーヴァの表情が固まり、やがて絶望に満ちた顔に変わっていく。
「まぁ、あれだけ自分勝手だったらそうなるよね」
「マジでルサルカが自重というか落ち着いているお陰で助かってる。ガチめにサンキュ」
「いやいや、僕は僕の思った通りに言っただけさ。でもそれがノアくんの支えになっていたら嬉しい限りだよ」
「達観してるんだな」
「ノアくん程じゃないよ。僕はまだ自分の利益だけで動いてしまう。その点、ノアくんは自分の利益関係無しに動ける。素晴らしいと思うよ」
「さいですか」
ルサルカの落ち着きっぷりには頭が上がらない。それとは対照的にあのイリス・セシル・ミナーヴァ改め三馬鹿は表情は元に戻り、ノアに向かって抗議し始めた。
それを見かねたルサルカはため息をついてから手を挙げてみんなの視線を自分に向ける。
「これは僕の意見なんだが大部屋に布団をくっつけて雑魚寝という形で寝るのはどうだろうか」
「ルサルカ天才」
ノアは指を鳴らしながらルサルカにウィンクを送る。するとまた三馬鹿が「えー!」と呻き声を上げ始めた。
「今度はなんだよ!」
「他のメス肉と一緒に寝るのは嫌です」
「だってノアくんとお姉ちゃんの愛の巣に邪魔されるの嫌だよ」
「ノア様を襲った時周りに見られてしまいますわ。ノア様がそういうプレイをご所望なら造作もありませんが」
「メス肉言うなし! セシル! そしてこの家はミナーヴァとの愛の巣じゃねぇ! そしてイリスは俺を襲うことから離れろ!」
ノアが三馬鹿に怒涛のツッコミを繰り出していると若干息を切らしてくる。
一体いつになったら決まる事やら。
結局、ルサルカの言う通り大きめの部屋に雑魚寝することになった。
女の子に囲まれて少し緊張するが、無事決まった事やルサルカという監視人がいるおかけでイリスに襲われる事は無いだろうとノアの気持ちは安心しきっていた。
夜、布団の中に横たわっているとイリスが「ノア様、起きていらっしゃいますか?」と囁くように聞いてくる。
「ああ、起きてるよ」
「それは良かったです。少しお話しませんか?」
「いいぞ。俺も寝付けなくて話し相手が欲しかったんだよ」
「なら少しだけ。ノア様、お疲れ様ですわ。今日は色々ありましたがお身体の調子は大丈夫かしら?」
思い返せばイリスと今日初めて会って、そのまま王城に行き、アリスとの商談。
その帰りに謎の天使と悪魔に夢の世界で出会って家に二人が押し寄せてきた。
待って、俺の一日波乱万丈過ぎない? そもそもセシルだって昨日出会ったんだよ! と内心叫んだが思ったほど疲れておらず正直にイリスの質問に答える。
「問題無いぜ。心配してくれてありがと」
「いえいえ、私はこのくらいしか出来ませんし、私がノア様のご負担になっているのは知っていますわ」
「そっか。でも気に負うことは無いよ。イリス」
「え?」
「俺もイリスと一緒にいるの楽しいしイリスのその性格も嫌いじゃない。しかもこうやって真面目に話す事もしっかりと出来るんだ、イリスは良い奴だよ」
ノアは自分の気持ちを伝える。するとイリスはうっすら目に涙を浮かべて満面の笑みでノアに感謝する。
「ありがとうございます、ノア様。愛していますわ」
「今日あったばかりの人に愛してるだなんて言うなよ」
「それもそうですけど。私を私と見てくれる方が初めてで一目惚れしてしまいましたわ」
「それってどういう?」
「今まで王様の娘という肩書きしか見られて来なかったので」
「なるほどな」
ノアは軽く息を吐くともう一度イリスに目線を合わせる。が先に声を発したのはイリスだった。
「なのでノア様は私のことをタメ口で話してくれますし、王族に媚びる様子もない。堂々としていて落ち着きがある所に惚れたのですわ」
「俺が堂々として落ち着きがあるなんて、そんな事は」
「そんな事ありますわ。一体私は何人の方とコミニュケーションを取ってきたとお思いで?」
「まぁ、それもそうだな。イリスの言う通り俺は凄いのかもしれないな」
「はい!!」
「つまりは俺みたいなやつにあった事ないから惚れていると?」
「はい、重いって思いましたか?」
「いや、仕方ないって方が強い。思ってないよそんな事」
「そうですか、良かったです。もう一度言います。ノア・カインズ様、この私イリス・カルタニアを救って頂きありがとうございます。私は貴方にこの魂の一生を持って恩返しします。私はノア様に一生ご奉仕致しますわ」
イリスの吸い込まれる様なその目にノアは顔を赤くなりながらもイリスの恩を受け取る。
「イリスの気持ちは分かったよ。ただ一つ言いたいのはご奉仕の方向を間違えないようにね」
「私は今ここでやっても良いんですよ。というよりやりたいです、お願いします」
「やりません」
ノアはイリスのお願いをキッパリ断って頭を枕に戻すのだった。
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