クラーク邸
馬車を降りるとまず出迎えてくれたのはオリビア嬢の父、アイザック・クラーク卿だ。にこやかに笑う彼は私の家庭教師をしていた時とは態度がまるで違う。それがとても気持ち悪く感じた。
騎士たちはクラーク卿に事前に挨拶をしているのだろう。誰一人持ち場から動かず当たり前を見回している。ウィリアム副団長は私とルイのすぐ後ろにたちクラーク卿に頭を下げた。そして、1メートルと離れない距離に護衛騎士の二人がいる。
「ようこそいらっしゃいました。娘、オリビアのために足を運んで頂きとても感謝しております」
そう言って笑顔で頭を下げるクラーク卿に私は言葉を発する事ができず、返す事が出来なかった。家庭教師のクラーク卿はこんなに気持ち悪さを感じなかった。家庭教師の彼がきっと素はのだろう。
「いえいえ、すぐオリビア嬢にお会いしたいのですが、よろしいてましょうか」
私の様子を察したようにルイが一歩前にでると、笑顔でクラーク卿に話しかけた。その笑顔はウソくさいが、私を守ってくれるものだと思うと気持ち悪さはなく嬉しく思った。
クラーク卿はルイ言葉に承諾して、すぐオリビア嬢の部屋に案内してくれることになった。「どうぞ、こちらです」と屋敷の中へ私たちを招いた。クラーク卿のすぐ後ろをウィリアム副団長がいき、次に 私とルイ最後に護衛部隊の四番隊アーロと五番隊長マリアがついてきた。他の護衛騎士は屋敷の外で待機となった。
クラーク卿の屋敷へは見事な庭園を通っていく。季節の花が咲き乱れ本当に美しく心が穏やかになる。石を握りしめた手が自然も緩んだ。しかし、私を周囲を歩く人たちはこの素晴らしい庭園に合わない雰囲気をしている。
私は屋敷に入らず庭園で過ごしたいと思った。
馬車を降りてから数秒で屋敷の玄関についてしまった。馬車が、はいれる所まで乗ってきたのだからその近さは当たり前な事は分かっている。しかし、この庭園から離れなくてはならないかと思うと酷く寂しさを感じた。
屋敷の扉の前に無表情の使用人待機してた。城の使用人たちと雰囲気がまるで違う。
その使用人が扉を開けた。その瞬間、私の身体は強張る。これ以上進んではいけないと身体が警告しているようだ。身体が震えのがわかる。石を握りしめるが心臓が早くなるのを感じた。
どうしよう。
その時石を握りしめている手に触れるものを感じた。手の方を見るとルイが私の手を石ごと掴んでいる。そして“大丈夫。一緒だよ”とルイは優しい笑顔をくれた。
私は頷いて、クラーク邸を見る。そして、覚悟を決めて足を進めた。




