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症状 

 食事をしながら更に私の症状についてルイと話をしたが改善方法が全く思いつかなかった。出口の見えないトンネルに入ってしまったようで落ち込む。気持ちが落ちているが食欲は落ちない。テーブルに並べられた料理のいい香りに誘われ次々と手をのばしていった。

 本来は侍女がいて、1皿ずつ出してくれる。しかし今は不在である。そのためそれをやると何度も席を立たなくてはならないので今回は全ての料理をテーブルに並べた。

 大きな皿に少しの料理がきれいな盛り付けてある。それを全て並べたからテーブルにはナイフを置く隙間もなくなってしまった。

 本当はこういう食事の方が好きだ。しかし、いつもの夕食は周囲の目があるためマナーに従って食べている。

 

 汚くはないが優雅ではない約私の食べ方にルイは特に何も言わない。

 

 気を遣わずに人と食べるっていいなと思う。


 「あのさ、まずは発症してもすぐに抑えられるようにすればいいじゃないかな」


 私と違い、ゆっくりと食事を勧めていたルイが手をとめた。

 ニコリと笑い妙案を思いついたような顔をしている。

 持っていたナイフとフォークを音がしないように丁寧に置くと私の方を見た。私はルイのその言葉に期待して食事の手をとめ、口に合った物を飲み込んだ。


 「発症から落ち着くまでどれくらいかかるの?」


 「多分数分かな。体感時間は何時間もだけどね」


 頷きながら食器を見るとルイは食べ終わった皿を重ね、その上にナイフとフォークを置いた。ルイの前だけ何もなくなるとそこに肘をついて手を口に当てる。そして私の瞳を覗きこんだ。


 「発症が落ち着いた時の共通点とか思い当たることがある」


 記憶をたどると自然と眉間にシワが寄った。視線を落とすとそこにはさっきまで食べていた食事があった。さっきまではおいしそうであったのに今は何も感じない。膝の上に置かれた手に力が入る。

 症状を話す時は問題がなかった。しかし、その時の事を鮮明に思い出すと彼女に行き着く。


 「大丈夫」

 

 ガタッ

 

 突然、椅子が倒れる音がしたかと思ったら、暖かいものに包まれた。


 ルイに抱きしめられたのである。その途端に体の力が抜けていくのを感じた。


 そのままルイの肩に顔をつける。


 「ごめん。急ぎすぎたね」


 ルイの声、ルイの匂い、ルイの体温…。ルイのすべてが私を心を穏やかにしてくれる。ずっとこうしていたいくらいルイの腕の中は心地よかった。


 しばらくそうしていた。それから…。


 ルイ?


 「ルイだ」


 私の大声にルイがビクリと体を震わせた。抱きしめられているから彼の驚きが私にダイレクトに伝わってきた。それでも私を離さないルイの優しさに心が安らぐ。

 大声を出してしまった事を謝罪しながらルイの体を押した。するとルイは私から心配そうに離れる。


 「大丈夫。座って。あのさ私気づいたんだよ」


 私が笑顔を見せるとルイは安心したように自分の椅子へ向かった。倒れた椅子をゆっくり起こすとそれに座るなり私の方を見た。私は椅子に座りなおすとルイの方をしっかりと見た。さっき違い体が軽い。


 「私ルイのおかげで落ち着けるのだと思う」


 私の発言の意図が理解できないようで眉をよせて、不可解な面もちをしている。私は先が見えない暗いトンネルから抜けられる気がした。


 食事前の暗い気持ちがウソのようである。


 



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