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マニュアル書見付けました   ―2

 速攻で、荷物を掻き集め家の中に入れて行く。

 結構な数の荷物が有ったけど、頑張ったよ私。重い物も有ったけど、兎に角頑張った。

 誰か褒めてくれ!


 さあ読むよ。読ませて頂きます。

 部屋に有った椅子を窓際に寄せて、大きく深呼吸。

 スゥーーー ハァーーー

 よしっ!!




 それは、こんな書き出しで始まっていた。


 自己紹介から始めよう。私は、新潟県出身の杉田信二という。昭和29年の生まれで、この世界に来た時は43歳だった。

 この世界には、私や君の様な者が、たまに現れるらしい。条件とか時期などは不明で、誰かが召喚していると云う事も無い様だ。私を保護した領主も、何かを要求したり、強制したり等しないし、変に下手に出る事も無かった。私の80年前にも女性が来たという。其のせいなのか、こう云う言い方は可笑しいのだが、此処ここの人間は異世界人に対して慣れている様だ。

 変わった行動をしても、異世界人だというと、驚きはするが「なら仕方がない」と言う程度で、国としても何ら含む事が無いように感じる。

 最も個人に関しては、何処どこの国でも色々だから、異世界にしても何ら変わりは無い。

 諍う事無く此処に馴染むようにしなさい。

 ただ、普通に暮しただけなんだ。だが、れこそがこの世界に必要だったのかも知れない。私たちに足りないと思う物をこの世界に有る物、又は新たに作り出す事が目的の様に感じる。

 もしかしたら、この世界の神が招いたのかも知れないと私は思うようになった。此処で生活して居るうちに君も感じると思う。君の欲しいものを探して御覧ごらん

 


 この家は自由に使って構わない。私なりに工夫を凝らしてあるが、そのうち城から騎士が来るだろう。その者に保護を求めるもよし。此処で好きに暮らすもよし。どちらにしても国から助成金が出て不十はしないだろう。一応二階のチェストの中に使わなかったお金が有るから、当座の資金に使ってくれ。


 お金については、

銅・小=10      中=50      大=100

銀・小=500     中=1,000   大=5,000

金・小=10,000  中=50,000  大=100,000


 目安として、果物一つは中銅一枚、小麦粉1㎏は大銅1枚と中銅1枚位。150クローネだよ。

 君の時は物価が変わっているかも知れないね。自分の目で確かめてくれ。


 言葉は通じるよ。ニュアンスも問題は無い。

 料理は大雑把な物しか無く、味付けは基本塩で、バターや牛乳で変化を付けている。期待しないでくれ。

 電気・水道は無いから、薪ストーブと氷室を利用。薪は暖房にも使うから、常に集めた方が良い。冬は特に必要で、小屋一杯にする様に。

 氷室は夏場に使うが、雪が降る時屋根を開けておいて中に落とす。一杯に成っても更に上に盛り上げて、ギュウギュウに積めて置くと重みで下がり氷に成るからその方が良いよ。

 交通手段は馬。小型の馬が力持ちで扱いやすい。



 などなど・・・  読み進めて行くと、所々日記の様に書いてある。杉田さんの日常のエピソードなどが垣間見えて笑ってしまう。





 どれ位時間が経ったのかな。薄暗かった室内には窓から日差しが差し込んでいた。

 このノートはどんな思いで書いたのかしら、部屋の間取りや小屋での生活の仕方が細かく書いて有るので助かります。

 先輩はとても世話好きな人だと思えるノートだ。


 途中、急ぎ必要で無い処は飛ばして読んだ。


「先輩なりに楽しく暮らせていたんだな。成るようにしか成らないんだったら、私も負けない位好き勝手に生活してみよう」


 最後に、元の世界に戻る術は無い。骨を埋める覚悟をしなさい。


「先輩、覚悟は出来ています。もともと一人だし、私を気にする人もいないし・・・ ただ、心残りが有るとすれば・・・ 私、貯金一杯持っていたんだぜ! 欲しい物がまだまだ有ったのに! スッカラカンに使いきっておけば良かった!! 布をもっと買って、レースも一杯欲しいし、本も買いまくれば良かったよ!!ちくしよぉー!!」


 丸鋸や新型ドリル・蒸留器や圧縮機だって大型を買えば良かった。エタノールやクエン酸、何処で買えばいいの!! 


 ゼェー ハァー

 素で叫んで、下品になっちゃった・・・

 誰も居ないから良い!!


「さて、好きにして良いんなら改造よ。この家、殺風景なんだもの。好みに飾らせてもらいます。その前に・・・」


 一旦外に出て、大きく背を伸ばし深呼吸。冷たい空気が肺に入ってきて気持ちいい。

 デッキテラスを降り、改めて回り全体を見てみる。私のこれからの住み家。目の前には広広こうこうとした黄色の草千里。若葉の季節にはきれいな絨毯じゅうたんが出来るだろう。

 森は緑豊かに奥まで続いている。薪には困らないだろう。もしかしたら、キノコや木の実なども取れるかも知れない。秋が楽しみだわ。

 山肌を伝うように滝や小川がある。


「水も豊富だね、むしろ有り過ぎて雨期が怖いよ・・・ でも今まで無事なんだから大丈夫だよね? さて、家の後ろも見ておきますか」


 草原側は緩やかな草原かと思っていたら違いましたねぇー 1m位の段差に成っていました。山から裏側に川が流れている。


「下の方も段々に成ってるのかしら? 降りる処は?」


 ノートに有った通り、家の奥は窪地で、下から上の地面まで石壁が積み上げられその上にまたがって建っている。

 階段が有るから降りてみると2枚の木戸が有り、見た目雨戸だ。


「引き戸に成ってる。多分此処は薪小屋だ・・・ うっ・・ 中からでないと開かないか・・・」


 其のまま回り込んで、川に面した裏庭? 此処にも扉、台所だろう。庭には太い柱が2本何の為だか建っている。上の地面に屋根が見え、その下には扉。丘の斜面に掘られた小人の家の様だ。


「ああ、此処が氷室なのね。滝はストレートだと思ったのに下で三段の滝だったか」


 氷室は大人3人位の広さで床や壁はレンガ造り、両サイドに棚が有る。中央奥が窪んでいて、図面を真上から見れば「凸」の形の様だ。其処は煙突の様に上に伸び、此処が雪を入れる処なのだろう。

 氷室と家の間にも家に沿って階段があり、横にも扉、その斜め上には小窓、外から覗けば天井付近の窓みたいで下が見えなかった。

 

 上に上がれば全て木製で、ログハウスと壁を一部共有する納屋が有る。その向かいには井戸。


「手押しだったら良かったのに、腕が太くなるわね」


 有り難い事に滑車は錆びておらず、クルクルと良く回った。水も綺麗だ。

 

 静かな空間・・・・

 私は大きく息を吸う・・・・・




「さて、改造の前に寝床の確保? 2階から掃除しなくちゃ!」


 これからは自分の家だと思うと、ドアノブに掛ける力も強くなる。


 ベルを付けよう。見た目可愛く澄んだ音のベルを。そして、周りを花々で埋め尽くすのだ。


 わざと荒々しく階段を駆け上る。

 










読んで頂きありがとうございます。

説明臭い文章が長々と続いてしまいます。もう少しお付き合い下さい。


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