プロローグ
ズズ・ ズッ・ グラッ・・・ グラグラッ!
それは荷物の整理をしている時に行き成りきた。
えっ! 地震?
ちょっ・・・ ちょっと待って・・・ 不味い、逃げなくっちゃ!!
扉横のヘルメットと鞄を掴み立ち上がり、まずは逃げ道の確保だ。この建物の扉は全て引き戸になっていて、荷物の出し入れはもちろん、いざという時は逃げるのにも丁度良い。
取っ手に飛び付きスライドさせた。
「!! うそっ! 扉が開かないよぉ! 何で! 鍵掛かって無いのに! 物も挟まってないよ! うそうそ! 引き戸だよね、今まで引いてたよね! ええぃ! 引いてダメなら押してみろ! やだぁー開かないー きゃぁ! やだっ! 揺れが大きくなってる!・・・」
周りに積み上げられた荷物が揺れている。
たった三畳のレンタルルーム。大小のボストンバックや衣装ケース、沢山の段ボール箱が積み重なり、隙間には段ボール紙に包まれた木材もある。
また、今では余り見られ無くなった、ビール瓶ケース等も積み重ねられていた。
これ等が一斉に崩れたら、無事では済まない。
「いやだ・・・ 何でこんな時に地震なの・・・ 私にだって細やかだけど夢が有るのよ。此れから新たな新天地で、自分らしく生きて行く予定なの! 何で邪魔するのよ!」
諦めたくない! 諦められない! 思いっきり扉に体当たりした。足で蹴飛ばした。痛いのは自分だけでビクともしない。
揺れはどんどん大きくなっていく。
グラ・・グググ・・・・ズダン!!
片隅で何かが動いたと気付いた時には、頭上に陰が迫っていた。
「キャァー!・・・」
・・・・・・・パッキッ!・・・・・・・
落ちる!