彼女は願う
冴えないサラリーマンの蓮川廻がドアを開けるとそこには美少女が立っていた
――ドアを開けるとそこには場違いなほど整った顔と服装をした少女が立っていた
彼女は水色の髪、腰ほどまである長髪をハーフアップにして青と紫の大きなリボンで結んでいる。ぱっちり二重のつり目気味の目に薄紫と灰色のオッドアイ、猫のような長い爪。そしていちばん特徴的なのは、メイド服だ。
そして彼女は口を開いた
「突然ですが――魔王になって世界を救っていただきたいのです」
「は?」
時が止まった。正確には動いているが俺の時が。何を言ってるのか分からず思わず聞き返す
「え、あのなんて…?」
「突然ですが――魔王になって世界を救っていただきたいのです」
「いや一言一句真似しろとは言ってないんですよ」
仕事に遅刻しそうだがとりあえず部屋に招き入れた、ご近所に見られたらどんな噂されるか分からない
とりあえず椅子に座ってもらい、彼女は俺をじっと見つめている
「えっと…君の名前は?」
「――ないのですね」
「え?」
彼女がボソッとなにかを言ったため聞き返す
「なんでもありません、わたくしは〘ネモ〙と申します」
「ネモさん、貴方はその…俺に世界を救って欲しい、とそう言いましたね。詳しく教えてくれませんか?」
俺は恐る恐る尋ねる、無表情でずっとこちらを見てきて圧があり少し――いや大分怖い
「承知しました。まず貴方には魔王になっていただきたく――」
「いや魔王ってとこから説明しろよ!」
遮って声を大きく荒げる。ネモはとくに気にした様子もなく、ゴホンッと軽く話を仕切り直した
「申し訳ありません。つまり〘魔王〙というのは〘魔界〙を束ねる長のことであります。」
「あー、それはそんな感じするなぁ…」
俺は魔王のイメージを膨らませる。角が生えてて、マントとか羽織ったりしてガッチリとした体型でどっしりしてるイメージ――いや俺と真逆じゃねぇか!?
「魔王って俺と真逆じゃない…?」
俺を無視して話を続けた
「世界を救うと言うのはその言葉通りの意味です。」
「いや無視するなよ」
「申し訳ありません。話を進めて宜しいでしょうか」
「あっ、はい」
「今現在、旧魔王様が亡くなり王位継承権を魔王様のご子息が持っている状況です」
魔王が亡くなった…そして魔王には子供がいる…じゃあなぜネモは俺に魔王になれ、と言ったんだ?なぜ俺を…?
「ネモ、質問してもいいか」
「はい、ご質問というのは」
「なぜ魔王には子供がいるのに俺に話が来たんだ?王位継承権を持っているのは子供が持っているんだろう?だったら俺の出る幕はなくないか」
ネモは3拍ほど開けてゆっくり口を開いた
「王の器がないのです、ご子息には」




