13話
目を覚ます。
カズヤは息を整え、額を伝う冷たい汗をぬぐった。
夢の内容はもう霞のように消えてしまったが、胸の奥には妙な不安だけが残っている。
「お、起きたか?」
「おはよう……カズヤ」
上段と横のベッドから、カイとレイが声をかけてくる。
「お……おはよう」
カズヤは少し驚いたように返事をした。
ベッドから降り、トイレを済ませて顔を洗う。
するとカイが声をかけた。
「カズヤ、朝飯食いに行くぞ」
「……うん?」
三人は錆びた地下鉄の通路を抜け、階段を上がる。
古いシャッターを開けると、昨夜は人波に押し流されそうなほど賑わっていた通りが、今は嘘のように静まり返っていた。
光も騒音もなく、聞こえるのは鳥のさえずりだけ。
しばらく歩くと、小さなカフェが見えてくる。
看板には「Shiloh」と手書きの文字。
ドアマットの上で靴の泥を落とし、扉を開けるとベルがカランカランと鳴った。
中は木の温もりがある間取りで、テーブルの上には椅子が逆さに置かれている。
ミナとエマがモップをかけており、台所ではミカとリンが何かを作っていた。
「おはよう、」
「は〜い、できたから椅子を下ろしてー」
台所からミカとリンが焼きたてのパンと目玉焼きを運んでくる。
カズヤたちは椅子を下ろし、席についた。
ふんわりとしたパンの香り、目玉焼きのやさしい匂い、そしてベーコンの香ばしさが鼻をくすぐる。
ミカが人数分のコップをお盆に乗せてもてくる
「いただきまーす」
ご飯を食べて落ち着いた頃
ミカがカズヤに話しかけてくる
「カズヤ、これ」
プラスチックの小さな板を渡してくる
「これは……?」
「君の身分書だよ、色々と変えてあるけど、これがあれば一人で都市を歩けるし、なんかあってもこれがあれば何も言われない、あと今日から働いてもらうは、まあ働くっていても、最初は買い出しだけどね」
カズヤは不安そうに返事をする
「わかりました…………」
拠点に戻って、カズヤはリンに連れられて街へ買い物に出かけることになった。
朝の街はまだ静かだが少しでけさっきより賑やかになってきた、マンションに取り付けられたスクリーンに今日の天気やメインニュースを発信している。
通りの角には警察官のような人物が立っている。二人が近づくと、短い号令で足を止められた。
「身分証の提示を」
淡々とした声。
主人公は胸の奥が一瞬冷たくなるが、リンに促されてカードを差し出す。警官はそれを小さい機械に通し、無表情で返却した。
「問題なし。通っていい」
緊張がほどける間もなく、二人は市場通りへ向かう。
店先には見慣れない食材や古道具が並び、リンは値段の物の相場や保存方法を手短に教えてくれる。主人公は必死に覚えながら、袋いっぱいに荷物を抱えた。
帰り道、ふと視線を感じる。
振り返ると、路地の影からフードをかぶった人物がじっとこちらを見ていた。手には小型の通信端末らしきもの。口元が微かに動いており、誰かと話しているようだ。
リンが足を止め、後ろを振り返った。
眉間に皺が寄っているのを見て、カズヤは首をかしげる。
「どうかした?」
リンが振り向いた瞬間、その人物はまるで煙のように路地裏へ消えていった。
胸の奥に、不穏なざわめきだけが残る。
「なんでもない、帰ろう……」




