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仔猫(小説)
今回は小説です
212字
痩せっぽちの仔猫が、ビルの隙間で震えている。夕方から降りだした激しい雨に濡れて、すっかりボソボソだ。
大きく見開いた金緑色の眼は、ただ目の前の暗闇を見詰める。
「お前、ずぶ濡れじゃないか」
酷く横柄な言い方で、若い男が、濡れた毛玉を拾い上げる。
突然の浮遊感に、仔猫は恐怖で爪を出す。しかし、非力な仔猫は、どんなに噛んだり蹴ったり暴れても、男の腕から抜け出すことは叶わなかった。
「諦めな」
そう言って男は、上着の裾で仔猫を乱暴に拭く。
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