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その日の帰り…… 明日は吉原達と遊ぶのかと溜め息を吐き帰ろうと教室を出た所、後ろから肩を叩かれる。
「渡井君!」
聞き慣れた声……
「吉原か。 何か用か?」
「ん〜? 別に。 渡井君こそいそいそともう帰る気?」
「ああ、見ての通り。 てかお前って部活やってないの?」
「私手芸部なの。 まぁいつでも抜け出せるしやってないのと一緒かな、えへへ」
「威張って言う事じゃないよな?」
「あー! 渡井君には言われたくないなぁそれ」
吉原は腕を組んでプイッとする。 ん〜、それで何の用か聞いてるんですけど?
「じゃあ用がないなら俺はこれで」
「あ、待って待って! ほんと素っ気ないんだから、もう!」
吉原に腕を掴まれグイッと引っ張られる。 ただでさえ吉原と話していると目立つのに…… それに何人かチラホラこちらを見てる。
「お前さ、自分が結構人気あるの忘れてない? こんな事すると誤解されるぞ?」
「誤解? 何が? 別に友達なんだしおかしい事なんてないじゃない?」
? みたいな顔しやがって……
「いやまぁ、そうなのかもしれないけどさ……」
「そうそう! それでさ!」
あ、被せてきやがった……
「昨日はサッカー部と先輩に邪魔されちゃったけど今日こそ一ノ瀬さんと一緒に帰ってみよう? 昨日は私だけ省かれちゃったし」
「うげ…… またかよ?」
「そんな顔しなーい! 売店行こ? 私なんか奢ってあげるよ?」
「お、おい!」
吉原はそのままグイグイ引っ張って俺を売店に連れて行った。
「何飲みたい?」
「…… とりあえずコーヒー甘い奴」
「ふぅん」
吉原はボタンを押しコーヒーを俺に渡す。 あーあ、ここまでされると残らないと面倒な事になるよなぁ。
「お前も暇だな、俺に構ってるなんて」
「あはは、そうかもね」
「他にもいるだろ? 一緒によくいる友達」
「まりえ達? ダメダメ、先輩いるし。 それにせっかく出来た新しい友達の渡井君と一ノ瀬さんの事もっとよく知りたいじゃん?」
「もう大体把握してると思うけど? すぐ飽きると思ったんだけどなぁ」
「残念でしたぁ〜、渡井君も一ノ瀬さんもなかなか私を飽きさせてもらえません! にへへ」
こいつ俺と居てどこが面白いのだろう? 自分で言ってて虚しいが俺はこんなんだし…… 一ノ瀬はある意味ビックリさせられるような事はあったけど……
「ん? そんな私を食い入るように見て考え事?」
「やっぱ物好きな奴だと思っただけ。 友達作るにしても俺より面白い奴なんて腐るほどいるだろうに」
「んふふ。だってまだ渡井君にはお礼してないし聞いてないし」
お礼…… そういえばそんな事ちょっと前に言ってたよな。 すっかり忘れてた。
「もしかして忘れてた?」
「いや、そんな事ない」
「顔に忘れてたって書いてありますけど?」
吉原が急に怒ったような口調になる。 忘れてたなんて言ったらもっと怒られそうだ……
「なんてね! 怒ってないよ? 私は友達思いで心が広いつもりだからちょっとやそっとじゃ怒りません」
「じゃあ俺はそろそろ帰るかな」
「それは怒るよ?」
「なんだよそりゃ…… 二言ありまくりじゃねぇか」
「私女の子だもん。 ふふッ、やっぱ渡井君は面白いなぁ。 よく忘れてた上に帰るなんて言ったね? 結構私酷い扱い」
「吉原ってMだったの?」
「違います〜! でもなんか面白くてさ。 ふふふッ」
何が面白いのかわからないけど吉原は楽しそうにしていた。 そしてあっという間に時間が過ぎて一ノ瀬の部活も終わる頃……
「またここかよ? 昨日と同じじゃん」
「だってここは確実に通るから外れがないもん」
まったく…… と思ってると一ノ瀬がやって来た。 当然だけど何も知らないで平和そうな顔してるな。
「わッ!」
「うひゃあッ!!」
吉原はいきなり出て一ノ瀬を驚かし一ノ瀬は尻餅をつく。 こいつも昨日とまったく同じで成長しない奴だ。
「こ、これは…… イザナギ!? あれ? イザナミ?」
「お前が学ばないだけだ、一ノ瀬」
「あれ? 渡井君まで…… あれ?」
「一緒に帰ろ? 一ノ瀬さん。 今度は隠れて帰ろうね?」
「ああ…… はい」
昨日の事を思い出したのか一ノ瀬はゾワっとした顔をして頷く。
まぁこの日は平和に帰れた。 まぁ吉原が居なきゃこうやって一ノ瀬とも帰る事も昨日の事もなかったろうけどこれが良い事なのか悪い事なのか俺にはまだわからない。 どうって事ない事なのかもしれないけど。




