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一ノ瀬とくだらない話をしながら歩いていると一ノ瀬が立ち止まる。



「え? ここ?」


「うん」



一ノ瀬はかなり歩くのが遅かったので大した距離は歩いてない。 学校から結構近いとこに住んでるんだな。



「わ、渡井君!」



急に一ノ瀬が改まる。



「なに?」


「今日はありがとうございました!」


「あれ? 俺なんかしたっけ?」


「あ…… いや、えーと。 誰かと帰ったの久し振りだったから」


「ああ、そゆこと。 まぁどういたしまして」



で? いつまで向かい合ってるの?



「…………」


「………………」


「早く家に入れば?」


「え!? あ! 一応ここまで送ってもらったのに私が先に家に入っちゃっていいのかな? って思って」


「はぁ…… だったら俺が家に帰るまでお前はここでボーッと突っ立ってるつもりだったの?」


「ハッ! そ、そうだね! 重ね重ね今日はありがとうございました! 渡井君気を付けて帰ってね?」



ペコリと一ノ瀬はお辞儀をした。 律儀な奴。



「んじゃまぁまた明日な」


「うん! また明日」


「あ、さっきの話本気にしてまた避けたりするのやめろよ? マジで次は流石に吉原もブチ切れるかもしれないし」


「ああ、うん。 わかった!」



一ノ瀬はニッコリ笑ったのを見て俺も家に向かった。 時折振り返ると一ノ瀬は俺の姿が見えなくなるまでずっと突っ立っていた。 本当変な奴だなぁ。




次の日学校へ行くと吉原が「ごめん!」と手を合わせて謝ってきた。



「いや、別に吉原は悪くないだろ?」



昨日は一ノ瀬に吉原も悪いと責めてはいたけど。



「なんだか渡井君にも嫌な思いさせちゃったような気がして…… ほんとごめん!」


「なになに? 周人なんかに謝ってどうしたんだよ?」



何も知らない伸一が不思議そうに尋ねる。



「ああ、うん。 ちょっと先輩が渡井君に意地悪しちゃって」


「ああ、こいつの態度と顔つきと目つきが良くないからな。 俺もその先輩だったらこの野郎とか思うかもしれない」


「お前のクソさ加減ある意味安心するな」


「とにかくごめんね? この埋め合わせは後でするからさ」



頼んでもないのに埋め合わせしなくてもいいんだけど。 まぁそうだなぁ、とりあえずあの先輩とはしばらく関わりたくはないかな……



そして程なくして一ノ瀬が登校すると吉原は一ノ瀬にも謝りに行った。



登校してきた一ノ瀬はいつもの根暗モードの一ノ瀬に戻っていた。 まぁ昨日はさぞビックリしたろうしな。



だけどいつもと違うのは吉原の友達2人が一ノ瀬をチラチラと見ている。 こいつらも本当の素顔の一ノ瀬を昨日見たから気になってるんだろうな。



前みたいになんで一ノ瀬如きみたいな顔つきで見ているのと違う。 だけどいつものモッサリとした一ノ瀬なのでそのうち気にしなくなったようだ。



吉原は一ノ瀬としばらく話し、こちらへ戻ってきた、忙しい奴だな。



「あのね、今一ノ瀬さんと話してきてさ、明日休みでしょ? 思えば私達って友達になってから休みの日とかまだ遊んだ事ないなって思ったの。 だから明日渡井君も遊ぼう?」


「ええ…… いきなりかよ」


「ば、バカじゃねぇのお前! 吉原が遊びたいって言ってんの迷うバカかいるかよ! 行く行く! 俺も行く」



お前は言われてないだろうが。 言いはしないけど吉原の中でお前の存在感薄いぞ?



「あ、うん、もちろん。 それで渡井君は?」


「うーん、いきなり言われても…… 明日はのんびりするつもりだったし」


「吉原、こいつは抜きでいいんじゃない? こんなテンションの奴居ても仕方ないって」


「渡井君来ないなら中止にしようかな…… 男女比も合わないし」


「は!? おい、周人! お前這ってでも来いよ!? いや、連れてくからな!」



男女比とかよく言う…… 伸一この場に居なかったら誘ったかどうかも怪しいくせに……



かくして強引に吉原に誘われて次の日遊ぶ事になってしまった。





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