神様「好都合なのでは?」
「鮮度が良さそうですわ!」
「どれもこれも美味そうじゃな」
「カケル、説明を」
「イカ、タコ、ブリ、マグロ、タイ……だと思います」
持って来られた刺身盛り、四つまでは分かるんだけど、タイはちょっと自信ない。
白身魚は刺身にすると分かりにくいの多いからな。
ただ、皮目の色とか身の色で恐らくはタイじゃなかろうかと。
タイじゃなかったら何だろ? わっかんね。
「コロッサルを……刺身で、か」
「恐らく思ってるような大きさじゃないと思いますよ?」
何でも異世界基準で考えるな?
異世界基準で考えたら、とんでもない巨体のタコを漁師さんが当たり前に狩ってることになるんだから。
――いやまぁ、日本人だし、やるかやらないかで言えば確実にやるが。
何なら、大きいから食べ応えあってお得! とか言い出しかねん。
下手するとタコに牛肉や豚肉のような部位まで設定して売り始める。
足は何本目が一番美味い、とか。
「クラーケンも居る……」
「まぁ、普通に」
それもサイズが可愛いですからね。
異世界のクラーケンに言わせたら。
ダイオウイカよりもデカいんだろうし、異世界のクラーケンは。
それに比べれば現代の食べられてるイカなんて子供ですよ。
「身は柔らかく、甘い」
「噛むほどに美味しいジュースが出てきますわ」
「もっちりしていながらプツッと切れる歯ごたえ……最高だ」
「旨味が強くて身はプリプリ。日本酒に合いまくる」
「赤身、美味しい。赤身、いず、ゴッド」
「全部が酒に合い過ぎるんじゃわい!!」
うんうん、たんと食え。
俺は一切れずつ食べられたらそれで満足だからよ。
あ、ちなみに『無頼』さんの二杯目は日本酒ハイボール、ガブロさんの4杯目は芋焼酎が届いております。
ガブロさん、ペースバグってるのよ。
ちなみにエルフの方々は当然の様にワインを見つけて現在は白。
アメノサさんは俺と一緒にノンアルコールの巨峰ビネガーの炭酸割りを飲んでます。
これ美味しいね。サッパリしてて美味い。
「これらは食べるのか?」
「食べたり食べなかったりですかね」
これら、というのは刺身のツマのことね。
俺は別に刺身と刺身の間に食べはするけど……。
まぁ、残す場合が多いかな。
「ふむ」
「まぁ、盛り付けの為とか、刺身から出た水分を吸わせるためとかが目的ですし」
「なるほど……」
確かそうだよね? 刺身のツマって。
お寿司屋さんとかで刺身の盛り合わせと共に出てきたら流石に食べるだろうけど、スーパーのパック刺身とか、こういう居酒屋で出てくる刺身盛り合わせのツマはまぁ……。
そこまで拘っているものでもないだろうし……。
食べなくてもいいのでは? 派。
「やっぱり、近くに海も無いのにこの鮮度の刺身が出てくるの、異常」
「その辺に関しては変態なんで、うちの国は」
「国全体が、か?」
「ですね。生で食べて安全な基準が厳格に決められてて、それに合格しないと市場に並ばないので」
「ほへー」
最たる例はやっぱ卵でしょ。
卵が生で食べられる国が世界にいくつあって、その卵が日本ほど安い国がどこにあるっていう。
無いです。唯一無二です。
「肉も生で食べたりするんじゃろ?」
まぁ、馬刺しとか、鳥刺しとか。
ただ、その辺は食中毒とか起きてるので……。
レバ刺しとか、昔は居酒屋メニューの定番だったのにね。
「あるにはありますけどね」
「国レベルで解呪能力が高いというのは凄い事だぞ?」
解呪じゃないんだなこれが。
衛生なんだよな。
ぶっちゃけさ、異世界食材たちみたく、解呪さえしてしまえば病気の心配がない方がどれほど楽か。
食品関係者が泣いて喜ぶんじゃないか? そうなったら。
……塩と酒が市場からごっそり減りそうだけど。
(そうなったら八百万たちが疲れてヘロヘロになるじゃろうな)
まぁ、神様由来の解呪だもんなぁ。
そら日本国民全員の食料の解呪ってなったら疲れもするか。
「お待たせしました、串焼き三種です」
「豚バラ、ハラミ、つくねか」
なんて考えてたら次の品が。
串焼きか。
刺身の後に焼き物、いいね。
「おねーさん、麦焼酎を頼むぞい」
「かしこまりました。他に飲み物お代わりの方は?」
「ワインの赤を三つ」
「今飲んでるやつと同じのお代わり」
それだと伝わらないよアメノサさん。
「巨峰ビネガーの炭酸割りと、ノンアルコールのカシスオレンジを」
「かしこまりました。少々お待ちください」
そう言って下がる店員さん。
「どうせ全然待たんぞ」
「だな」
「そういえば、白ワインどうでした?」
「む? 美味かったぞ。よくあるテーブルワイン……と言いたいところだが、我々の思うそれよりもずっといいものだった」
「全然飲めましたし、楽しめる味でしたものね」
「葡萄酒、ではなかったしな」
葡萄酒とワインって違うのか。
勉強になるな。
「冷めぬうちに食べた方がいい」
「知ってる」
というわけで串焼きにガブリ。
おれはまずつくねから。
……うん、美味い。
お皿に盛られた七味に付けて食うのが最高なんですわ。
「お待たせしました、ご注文のドリンクです」
「そのまま置いて貰って構わない。こちらで取り分ける」
「ありがとうございます、失礼します」
「……やっぱり待ってないな」
「じゃな」




