懺悔せよ
「あの二人も災難」
「国王から、ことあるごとに晩餐会に呼ばれてるらしいぜ?」
「それは客としてです? それとも、シェフとしてです?」
「両方じゃない?」
……えー、またしてもあの四人は不在です。
なんか、聞いたところによると、国王様がラベンドラさんの料理を気に入っちゃったみたいらしい。
一応、王城に従事する料理人はいるらしいんだけど、身も蓋も無い言い方をすると、その料理人の料理に飽きた、と。
で、何かと理由を付けては国王が四人を呼び寄せてるとの事らしい。
「リリウムとか、ラベンドラを置いていく計画をしてたらしい」
「……怒らなかったんです?」
「計画に気付いた日から三日間料理を作らなかったら二度としないと誓ったと」
「そりゃそうなるでしょ」
呼ばれてるのはラベンドラさんだけ、と置いていく判断も、胃袋を掴まれていたら出来っこないか。
……とするとどうしようか。
今日は四人が来る想定で食べ放題に行こうとしてたんだけど。
『無頼』アメノサペアならぶっちゃけ常識の範囲内で収まりはするのよな。
『無頼』さんはめっちゃ食うけど。
「……じゃあ、回転寿司とか行きます?」
「行く」
「よく分からんが行ってみてぇな」
というわけで、食べ放題をスキップして回転寿司へ。
*
「回っているお寿司を取ってもいいですし、この液晶で注文しても席まで届きます」
「カバーが付いてるのは?」
「手前に引っ張れば取れますよ」
「酒はあるのか?」
「ありますけど、ここでは我慢でお願いしていいです?」
「ン、分かった」
さて、無事に着席しまして、適当な説明を終えましたら……。
早速食べましょ。
回転寿司のいい所は、着席と同時に食べ始められるところ。
回っているお寿司に限るけど、席に座って手を伸ばせばすぐ食べられるのは他のお店には無い利点。
……最近だと回っている所も少なくなってきてるけどね。
「マグロ、海老、サーモン、イカ……」
「お味噌汁飲んでもいい?」
「どうぞどうぞ」
「一口寄越せ」
「飲みたいなら自分で頼む」
「お前いつも俺から一口貰うくせに……」
微笑ましくタブレットを取り合ってる二人にほっこりしつつ、俺は流れてくるお寿司を食べてますわよ。
お、シーフードサラダ。いいね、俺好きなのよ。
「今何食べた?」
「シーフードサラダですけど?」
「私も食べる!」
「注文をどうぞ」
もう一皿回っていたシーフードサラダはたった今俺の視界から消えたので。
ご自分で頼んでもろて。
「ふと思ったんだがよ?」
「?」
「近くに海なンざねぇよな?」
「まぁ、そうですね」
「鮮度とか……大丈夫なのか?」
「この国が世界トップレベルで海鮮の扱いに命かけてるので大丈夫ですね」
「そうなのか……」
日本の海鮮舐めんな?
瞬間冷凍とか活〆とか神経締めとか俺がよく分からない設備や技術を駆使して鮮度を維持しつつ内陸県まで運搬する術を確立してるんだぞ?
日本中どこに居たって生で魚を食べられる鮮度が保証されてるわ。
――なお、流石に沿岸部と内陸部では食べられる魚の種類や鮮度に差は出るもよう。
生で食べられるのと、とれたてを食べられるのでは大きく意味が違うんだ。
「お、きたきた」
で、頼んでいたお寿司の第一陣が登場。
ついでにお味噌汁も。
アメノサさんが貝の味噌汁で、『無頼』さんがあおさの味噌汁ね。
「……それは?」
「ガリですね。普通は生姜で作るんですけど、この店は大根なんですよ」
「?」
「口の中をリセットするための漬物です。脂っこいネタの後に食べて、次のお寿司の為に口内をリフレッシュするんです」
「なるほど……」
という事で大根ガリもお皿に乗せてあげましてっと。
「『無頼』さん、ワサビ要ります?」
「いる。わりぃな」
『無頼』さんにはワサビを。
アメノサさんは要らなかったよね?
「いただきます」
「いただきます」
「先にいただいてます」
という事で異世界組の初回転寿司……スタート!
「イカ、美味しい」
「っぱマグロよ」
まぁ、当然のように美味しい。
日本において飲食店はマジで修羅の道だからな。
美味しくないとか、周りにあるお店の方が美味しい、となった瞬間に潰れちゃうんだ。
チェーン店だって例外じゃない。
そんな場所で生き残れているだけで、ある程度以上の味が保証されてるわけだからな。
「海老、好き」
「っぱマグロよ」
「えんがわも美味しい」
「マグロしか勝たねぇ」
どんだけマグロ食ってんだよ。
今の所マグロしか食ってないぞ『無頼』さん。
いやまぁ、人の食べ方にはとやかく言わないけどさ。
他のも美味しいよ? アメノサさんを見習え?
「貝の出汁が凄く効いてる。美味しい」
「海藻の香りがすげぇうめぇな」
で、お寿司の後にお味噌汁で落ち着くの、完全に日本人なんだよなぁ。
『無頼』さんは注文が外国人なのに。
「『無頼』、肉のお寿司ある」
「マジか!? 全部頼め!」
「あ、カニカマ握りお願いします」
「美味しい?」
「かなり美味しいです」
「ん」
タブレットの操作権はアメノサさんが勝ち取り、もはや俺にも『無頼』さんにも触らせない構え。
注文終わったら自分の脇に置くし。
いや、いいんだけどね。
「? なんか始まったぞ?」
「何?」
「お皿を一定枚数ここに流すと始まるんです。チャレンジ成功でアイテムが貰えますよ」
俺は当たった試しがないけど。
一人で来ると基本的に回せて一回。
その一回で当たる確率はお察しである。
何なら、一回も回すことなく帰ることもあるし。
まぁ、当たりはしないでしょ。
「……当たった」
当たるんかい!!




