第44話 ロコロの過去
「私はギルドで、私を含めての3人パーティで、行動していたの。『どんな時も助け合う』って約束をして、色々な依頼を受けていた……」
「……うん」
「でもある日、配達の依頼を受けていた時の帰り道……そこに居るはずのない、ドラゴンが現れたの。……皆で逃げたけれど、私は途中で転んでしまって……二人はこちらをチラッとは見たけれど、助けること無く、私を置いて逃げた。……これが、私の……話」
ロコロは話を終えると、静かに俯いた。
「……なるほど、その二人は、約束を守らなかった。だから、裏切り……と」
……俺は、どういう返答をすればいいか、分からなかった。
……少し、その二人の気持ちも分からなくはないと思ってしまったからだ。
緊急事態で、結果的に約束を破ってしまっただけで、裏切り……というのとは、また違うのではないかと……その二人も、後悔したりしているのでは無いかと、少し不安になった。
しかし、約束が一体どんな経緯で結ばれ、そして今までどう守ってきたか分からない以上、今、ロコロに何も言う事は出来ない。
「……あの時、フクシアさんに助けて貰わなかったら……私は……」
「えっ!?」
俺がどんな言葉をかけるか迷っていると、ロコロは俯いたままでそう呟いた。
……フクシアが…………ドラゴンを……?
……いやいや、つい驚いてしまったが、フクシアが助けを呼んでくれたとか、そういった可能性もあるな。どの程度のドラゴンかは分からないが、普段居るはずのない強さのドラゴンを、まさか……フクシアが、倒したとか、追い払ったとか……そういう訳ではないだろう。
……しかし、今思い返してみると、フクシアは、俺と出会った時一人だったよな……。
何かしらの仕事で遠出しているのなら、護衛がいてもおかしくはないのに……。
……いや、まさか、な。
「えーと、さっき、スキルが理由かもしれないって言っていたよね? それは……?」
俺はブンブンと首を振り、ロコロにそう問いかけた。
「……うん、それは……かもしれないってだけだけれど、実は私……その二人に比べて、スキルがそんなに強くないの。それで……ギルドで一度、変な人に絡まれて、『お前の仲間にも役立たずだと思われてる』って言葉を掛けられた事があって……。その時は信じていなかったけれど、もしかしたらそれは……事実だったのかなって。……私なんかを、助ける価値は無かったのかな……って……フクシアさんといる時に考えちゃって」
「そうか……」
ロコロは、初めは裏切られたと怒っていたけれど、段々自分のスキルのせいじゃないかと、自分が悪かったのではないか、とそんな気持ちになって行った、という事か。
「……魔法だって、初級しか使えないし……」
「……」
俺はロコロの呟きに、思わず苦笑いを浮かべてしまった。俺は……攻撃魔法に関しては、初級も使えないんだが……まあ今はそれは関係ない。黙っておこう。
……俺は、自分の事は置いといて、改めてロコロの事を考えた。
ハッキリとは分からないが、ロコロの話には何か引っかかる所がある。
……裏切りとはまた違うのではないか、という事もそうだが、ギルドで絡まれたという変な人に一番の違和感を覚えている。
……うーん、この違和感は一体なんだろうか。
俺は疑問に思いつつ、またロコロと話をしようとしたのだった。




