表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/50

第25話 ついにギルドへ

 ……今日は、運命の日だ。ついに、ギルドへ、行く事となったのだ。ティルムと一緒とはいえ……噂など全くされていないと分かったとはいえ……や、やっぱり、なんとなく苦手意識が芽生えてしまっている。

 ティルムは、ギルドの外で待っていたが、こちらに気づくと、「こっちこっち!」とギルドへ入って行こうとしていた。


 大丈夫、大丈夫、きっと入れる……。

 ……待ち合わせ場所がギルドなだけだ、この後移動するんだからきっと大丈夫。俺はそう自分に言い聞かせ、重たい足を動かした。


いや、でもやっぱり……。


「ちょっと、待たせちゃってるからさ」


 俺が、ドキドキしながら少しずつギルドとの距離を縮めていると、さすがに待ちかねたのか、ティルムが戻って来て、俺の手を掴み、強制的にギルドへ連行された。

 ……ああっ、ま、まだ、心の準備が……。


「……っ!」


 俺はギルドに入った瞬間、何となく息を止めてしまった。


「……? どうして息を止めてるの……?」


 ティルムの反応で俺は正気を取り戻し、すぐに息を吐いた。

 別に、息は関係なかったな……。


「……っ、はあ! い、いや、何となく……な、何でも?」


「……まあいいや。ああ、あの人が、依頼した人だよ」


 ティルムは、ゼェゼェと息を吐く俺をスルーし、ギルドのイスに座っている、剣士のような装いの男性を指さした。


「じゃあ、話に……」


「ああ、ティルム!」


「おお、久しぶり」


 ティルムと共に、その男性に話しかけに行こうとした時、何やら知り合いであろう人に、ティルムが話しかけられていた。


「ありがとう、付与の事を教えてくれて!」


「いやいや、私は教えただけだから……ね、ヒイユ君」


「えっ!? ま、まさかあなたが、ヒイユさん本人……!?」


 ティルムの知り合いは、ティルムの話を聞くと、驚いたような表情で、こちらを見た。

 そういえば、名前も出してギルドで広めたって言っていたもんな……。


「ありがとう、私、剣の扱いがあまり上手じゃなくて……だから、あまりにも難解な魔法が付与された武器は嫌だったんだけど、でも、やっぱり武器にはいっぱい魔法を付与して欲しくて……。私、結構注文が多かったのに、きちんと対応してくれて……嬉しかった」


 俺と目が合うと、ティルムの知り合いは、笑顔で感謝を告げてくれた。


「ああ、いえ……」


 その言葉を受けて、俺の心は何となく、温かくなった気がした。

 ……ちゃんと、俺の仕事には意味があった。……魔具職人として、活躍できているんだ、という思いが、溢れて来る。

 ギルドを避けていたのは、間違いだったな。今日、ギルドに来れてよかった……。


「……何!? あんたがあの、噂のヒイユか?」


「え? あの武器屋の……」


 ……と、俺が言葉の温かさを噛み締めていると、ティルムの知り合いの言葉に反応して、周りの人がほとんど、俺の方を向いていた。


「ありがとな、ティルムに話を聞いた後、すぐにお願いしたんだが、半日で付与が終わるだなんて」


「私は武器を買ったのだけれど、そっちの付与もていねいにされていたわ!」


 ……ギルドにいる人のほとんどが、俺の方へ近づき、お礼を言ってくれた。

 俺は、自分がこんなにも広く認識されていた、という事よりも、ティルムの知名度に驚いてしまった。……さすが、『怪力のティルム』は伊達じゃないって事か……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ