第20話 魔具職人としての未来
「えーっと、急に悪かったな。俺の名前はレオキヌ。まあ、もう分かっているだろうが、鍛冶師だ。……君の付与、見させてもらった。中々に素晴らしい」
「あ、ありがとうございます……」
「ティルムから君の話を聞いてね……。付与を見るのと、君が、何故、魔具職人になったか、聞きたいと思ったんだ……」
「えっ!?」
……ティルムの友達の鍛冶師……レオキヌさんの問いに、俺はドキッとした。
俺が何故魔具職人になったか……?
……勇者パーティを追放されて、街から逃走した所、優しい女の子に助けられて武器屋で働く事になり、そこで俺のスキルが魔具職人として働くのにピッタリのスキルで、勇者パーティにいる人を見返したいので、なりました!
……うん、本当の事を言っちゃダメだな。これは。
「ま、まあその……見返したい……いや、超えたい相手というか……が、居まして……魔具職人になりました。その為に、必死で勉強……今も、やってます」
俺は、真実をピンぼけするくらいにぼかし、薄めて、話した。
「なるほど……高めあえる者がいるという事か。いい事だな」
「あはは……」
レオキヌさんは、良いように解釈してくれたようだった。
……高めあえるというか……突き落とされたので今よじ登っているというか。
俺は何となくモヤモヤとしていたが、それを吹き飛ばす程に、レオキヌさんは意外な事を俺に聞いた。
「もしその者を超えたら、それからはどうするんだ?」
「えっ?」
……エルティアとライフィを見返したら、その後どうするか?
何も……考えていない。
「ああごめん、聞き方が悪かったな。世界一の魔具職人を目指す目標がある、とか大きな事じゃなくてもいいんだ。普通に、同じように付与をする、魔具職人として暮らす……とか、そういった事でも」
同じように、付与をして、魔具職人として、暮らす……?
……何も、考えていない。
「まあ、そう、ですね……」
俺は取り敢えず何か答えなくては、と微妙な返事をしてしまった。
……だが、実際は……何も、本当に何も考えていない。
俺は、魔具職人として生きて行く事に希望を見出した。
自分のスキルの力で、活躍出来ると思ったからだ。自分のスキルが、初めて、スキルとして存在する意味があったと思えたからだ。
だが、俺は今、魔具職人という仕事に、特別誇りを持っている訳じゃない。
エルティアやライフィを見返したら? ……俺がその後どうやって働いているかのビジョンが見えない……。
……いや、まだそんな事を悩む時期じゃないよな。もし、そんな悩みを抱える時が来たら、それはその時悩もう。
俺は考えに区切りをつけ、レオキヌさんの話の続きを聞こうとした。
「なるほど、良かった。……実は、こんな事を聞いたのは、お主にお願いがあったからなんだ。ここで、働いてみないか? ……すぐ決める必要は無いが、考えておいてくれ」
「えっ!?」
ここで……働いてみないか? だって!?




