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第2話 新たな場所

 俺はその後野宿し、早朝に街を離れることにした。

 これからの事は、取り敢えず離れてから考えよう。

 ……流石にギルドにはもう怖くて行けない。

 昨日は全く気にしていなかったが、人の目が怖すぎる……。

 報酬は等分だったから、お金は全く無いわけではないが、このままだとまずい……こんな俺でも雇ってもらえる場所を探さなくてはならない。……ここじゃもうそれは無理だ。


「……ん、待てよ。もしかして、エルティアとライフィが俺を排除したかった理由って……金か?」


 これからどうするか、考えるだけで頭が痛くなるので、取り敢えず俺は追放された理由について考えていた。


「金じゃないか、なら次の人をパーティに入れないよな。うーん……やっぱりスキル……ん?」


 人があまり来ないであろう狭い道を歩いている時、ふと、港町のポスターが目に入った。


「そうだなぁ、海の町にでも行こう、今ものすごく海がみたい気分」


 俺は半ばヤケになって、旅に出る覚悟を決めた。

 もう今はとにかく歩こう……誰も俺を知らない所に行きたい……。


 ……俺は歩いた、とにかく歩いた。山を越え……ようとしたり、湖を渡……ろうとしたり。……金はまだあり、街からもだいぶ離れただろうと思い始め、最終的に馬車に乗ることにした。


「ああ、急なんで、相乗りになりますけどいいですか?」


「はい、はい、はい!」


 こうして俺は、誰も俺を知らない所へ旅立つ事に、成功した。


「あれ、あなた勇者パーティの……確か、ヒイユさん……?」


 終わった……。


「ど、どこかでお会いしましたっけ?」


「ああ、いえ……」


 金髪の女性と相乗りする事になったのだが、なんとその人は俺の事を知っていた。……俺と直接的な会話をした事はないが、俺がいた街に住んでいた頃があり、何回か勇者パーティを見た事があったらしく、人数とか顔を覚えていたらしい。


「……どうしてこんな所に……」


「ああそれは……」


 ……俺は迷ったが、その女性に全てを話すことにした。俺がいた街に住んでいた事があるのなら、もう一度戻る可能性もある。根も葉もない話を信じられたら困る。敵を一人でも減らそうという精神で、プライドを捨てた。


「……理由は結局、スキルなのか……って、ええ!?」


「うっ……うっ……そんな事が……」


 金髪の女性は、俺の話を聞くと、初対面であるにも関わらず、泣いてくれた。


「……良ければ家に来ませんか? 後、知り合いが武器屋をやっているんです……絶対頼みますから! 衣食住と仕事には困らせませんから……!」


 金髪の女性は気持ちが溢れたのか、号泣しながら俺の手を握り、そう言った。

 ありがたいが……いいのだろうか。将来的に敵にならないようにと、打算的な気持ちで話をしたのだが……ここまで泣かれると、そんな気持ちで話をしたのが、申し訳なくなってくる。

 なんというか……ここまで疑われないと、疑われた方が困るのだが、「疑わないの?」と聞いてしまいたくなる。

 ……いやむしろ、これは俺が何かを疑うべきなんだろうか?


「あ……っ、こ、困りましたよね……すみません。ヒイユさんにも、考えがあるかもしれないですし……な、何より、初対面なのに、そんな事を言っちゃって……申し訳なかったです」


 驚きでしばらく固まっていると、女性はスッと手を離し、目を逸らしていた。


「ああ、いや、違うんだ……ちょっとビックリしただけで……まあ、でも行くあてもないし……流石にいきなり家に行くのはあれだけど……ついて行ってみようかな」


「本当ですか!? ぜひぜひ来てください!

……あ、忘れていました、私はフクシアです!」


 俺が返事をすると、女性は目をキラキラとさせて喜んだ。

 ……まあちょっと想定外だったが、ついに、誰も俺を知らない所に……。


「……じゃあ、あなたもここでいいんですよね?

代金は……はい、ありがとうございました」


 俺は、馬車の御者さんにお金を払った後……思わず言葉を失ってしまった。


 終わった……。


 そうだ、あの街のギルドに限らず、どの場所のギルドも、勇者パーティを支援しているんだから、俺の事も知っているはずじゃないか。まずいぞ、言いふらされたのはあの街のギルドだけだが、多分勇者パーティを追放された話だけはどのギルドにも伝わってるはず……うっかりギルドの職員とかと出くわしたら、一気に噂になるんじゃ……。


「ヒイユさん……? ヒイユさん!」


「あ、ああ、ご、ごめんごめん……」


「あっ……もしかしてギルドですか!? ごめんなさい! ギルドの近くに止まっちゃって……家は近いです、取り敢えず、来ますか?」


「あっ……はい……」


 俺は言葉に甘える事にした。ここで一人になるのは……かなり心細い。


「こちらです……!」


 こうして俺は、一旦フクシアの家に行く事にしたのだった。

今回も、読んでくださりありがとうございます。


面白い、次回も見たい、と思った方は、

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