第1章 7 レント・ファインス
さぁ、気持ちのいい朝だぜ! 外は夜っぽいけど。
俺の名前はまだ知らない! 前世では川島廉翔と呼ばれていたZE☆
36歳でその名前かよとか言ってくれるな……。
結構気にしてたんだよなぁ、この名前。
ま、そんなことより! 今は自分の名前を知るためにこの俺を優しく抱いてそばで寝ているこの女性、そう! 母上様を起こして名前を呼んで貰おうかと思案中のところだ!
が、しかし、彼女は先程俺を産んだばかりでとても疲れているみたいなので少し躊躇われる。
と、言うことで! 結局俺も寝ることにします。おやすみ。
「……んぅ……」
あぁ、すみません、母上様。少しもぞもぞしすぎました。母上様の安眠を妨害しないよう努めます。
「……んふふ……私の…………も……」
「?!」
今、名前呼んだのか!?
き、聞こえなかった、くそ! は、母上様! もう一度!
どうかもう一度だけ呼んでくださいましっ!!
「……私の、子供……ふふ……」
「……あぅぅ」
……名前じゃなかったのか。
ちょっと残念。てかもしかしてなんだけど俺の名前まだないんじゃないかな?
呼ばれる気配ないしな。うーん、どうしようか。
……寝るか。よし、寝よう。
果報は寝てなんたら言うしな。よし、今度こそおやすみ。
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「……ねぇ、あなた。この子の名前決まったかしら?」
「あぁ、前々から考えてはいるんだが、なかなか決まらなくてな。ベスタが寝てからずっと考えてたんだ。
それで、さっきやっと決まったんだよ」
赤ん坊の廉翔がすやすやとベスタの隣で眠る中、ベスタとカントは静かに話をしていた。
「そうなのね。あなたが付けてくれた名前ならこの子もきっと喜ぶと思うわ」
「そう言われると俺も嬉しいな!
ベスタも一応は考えてたのか?」
「えぇ。私は女の子だったら、だけどね」
「まぁな。約束だもんな。
男の子が生まれたら、俺が。女の子だったら、ベスタが、ってな」
「ふふっ。そうね。……それで、どういう素敵な名前になったのかしら?」
「おいおい……、言う前からハードルあげてくれるなよ……」
ベスタの言葉に少し言うのを躊躇うカント。
「ふふふ。あなたが付けるのだからさぞかしいい名前になるんだろうなって思ったのだけれど?」
「気に入ってくれるといいんだが」
「あなたがそれでいいなら言うことは無いわよ?」
「そっか。……んじゃ、僭越ながら。
この子の名前は、レント。レント・ファインスだ!」
カントはそう言いながら様子を窺うようにベスタを見る。
「……レント。……いい名前ね」
「っ! そうだろう? そう言ってもらえると考えた甲斐があったってもんだ」
カントはホッとしたようなそれでいて嬉しさを含めた笑みを浮かべた。
「ふふ。あなたらしいとってもいい名前よ。ありがとう、あなた」
「あぁ、どういたしまして。こちらこそ産んでくれてありがとう、ベスタ」
「お互い様ね」
「だな!」
2人は笑いあって優しい目でベスタの隣ですやすや眠る我が子を見守っていた。
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「……んぁ……」
……ふあぁぁ。なんか凄く眠った気がする。
よく寝たよく寝た。さて、今は何時頃かなー、ってこの世界の時間の表し方ってあっちと一緒かな?
……一緒じゃないといいな。なんとなく。
というか、さっきの男の人、もとい父上様であろう人が椅子に座ってる。
いつの間に来たのだろうか。……寝てる間に決まってるか。
「……あ。あなた、レントが起きたわ」
「おお! 起きたか! ……あぁ……なんて可愛いんだ……」
そうですよ、父上様! レント君が今起き……
……ちょっ、母上様、今なんて?
「ふふ。あなたったら」
「レントは将来いい男になるだろうなぁ! よし、歩けるようになったら俺と一緒に体を鍛えさせよう!」
「気が早いわよ、あなた。まだ産まれたばかりっていうのに……」
……ど、どういう事だ…? 俺の名前は、レントだと……?
これは悪い夢か何かなのだろうか。それとも本当に……?
……ぁぁぁあああああ!!!! 夢なら覚めてくれ!!
「……あうああああー!!」
「あぁっ、レント! べ、ベスタ! レントが泣き始めた! ど、どうしよう!」
「ほら、あなたの気が早いからよ。……よしよーし、いい子いい子」
「あぁぁあふっ!」
おふっ! ……まさか、この顔に当たる柔らかい感触は……!
……これはどうやら夢ではないらしい。




