第2章 47 お目覚めのようですね
まだ日曜日……!ロスタイム……!(遅れてすみません
「さて、と。これで族長達が目を覚ませば帰れるわね」
ダンミミ達が寝ている方を向いてベスタが言う。
そして、ああ、それと、と区切り。
「……お目覚めのようですね」
「やっぱり? 流石ねローナ。
……ほら、起きなさい、カント!
寝たフリとはいい度胸してるじゃない?」
ローナの告げ口を聞いたベスタはスタスタと歩いていき、腕を組み仁王立ちしながらカントのすぐ側で立ち止まる。
「……ぐぉー……ぐがっ……ふすー……」
「……それがあなたの答えね?」
「すみません、起きてます」
ベスタの凍る様な声に脅され、カントが飛び起きた。
……結構血、出てたけどなんであんなにすぐ起きられるんだろうか。
ナイトメアはよろけてたんだけど……。
「……すまん、とりあえず、助かった。一応頑張って急所は外したんだが、体勢が悪くてな。深くいっちまった」
頭をかき苦笑しながらカントが言う。
「そんな事は聞いてないのだけど……。はぁ、まぁ、治癒してる時に意外とすぐ持ち直したから何となく察してたけれど」
ベスタも幾分か表情を和らげ、ため息をつきながらそう言った。
「心配して損したわ。……でも、私のせいでああなっちゃったんだし、そこはごめんなさい」
「え、あ、いや、いいんだベスタ! 俺はベスタが無事ならそれで」
慌てながらそんなイケメンな事をサラリと。
……これがたらしの本領か。
「……流石お父様ですね」
「え? 何が? ……というか、レント。お前……本も」
「そのくだりはとっくに終わったわ」
「え……そ、そうか……」
表情を険しくしたカントの言葉を遮るベスタ。
というか、何故ベスタもカントも俺の事を本物か?とか聞くんだろうか?
ナイトメアの能力で俺に関連する何かを見せられたのだろうか?
「……僕、何かしましたか?」
「え、あ、いいえ、な、なんでもないわレント」
あからさまに狼狽するベスタ。
……これは、黒だ。
「……とても不本意な想像をされている様な……」
「いやいや、そんな事ないぞレント! ほら、俺は元気だ! 何も無かった……訳じゃないがお前とは関係ないぞ!」
そう言って元気アピールをするカント。
もうそれって俺が関係してるって言ってるようなもんだよね……。
「そ、そうよレント。あなたは何も関係していないわえぇ、何もなかったわ本当よ」
「……」
俺がじーっと無言でカント達を睨んでいると。
「……そ、それよりも!! 寝たフリなんていい度胸してるわね? ねぇ、あなた?」
カントに全部飛び火した。
カントが笑顔のまま固まった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「……ん……ここ、は……?」
「族長、やっとお目覚めね」
カントの寝たフリで一悶着してからダンミミの様子を伺っているとものの数分で目を覚ました。
「大丈夫、あなたの家よ。自分が誰か分かる?」
「俺、は……あぁ、大丈夫だ。治療してくれたのは、お前さんか。
……って、え? あれ? お前さん、確か、カントのとこの……?」
「そこまで分かるなら大丈夫そうね」
目を丸くするダンミミを見て満足そうに頷くベスタ。
ダンミミと両親はどうやら知り合いらしい。
……この世界が狭いのか自分の両親が顔が広いのか悩むところだな。
「にゃ、にゃんでこんにゃ所に……って、そうか、思い出した! そこの坊主のファインスって姓! ありゃカントと同じやつか! にゃるほど、スッキリした──っあいだだ……」
いきなり叫んだからか顔を歪めて腹部を抑えるダンミミ。
「ちょっと、無理しないでよね、族長。一応傷口を塞いで治癒はしたけれどまだ時間も経ってないし、いきなり動くと開くわよ? 治癒魔法も万能じゃないんだから 」
痛がるダンミミを心配そうに見ながら言うベスタ。
「あ、あぁ、忠告どうも……。って何故ケイト達がここに? 村の警備に当たらせて──いや、そうじゃにゃい!! 村のヤツらは大丈夫にゃのか?! アレは俺の手に負えるものじゃにゃい! 俺をここまでしたヤツにゃんだ! なんかこう、フードをした全体的に暗い……ぐ、いだだ……」
「あぁ、それなら、あいつかもね」
「あぁ、あれですね」
「ですねぇ」
ダンミミがいきなり焦り出して自分に傷を負わせた犯人の特徴を言ってきた。
だが、直ぐに判明した。フードで全体的に暗いやつってアレしかいないだろう。
「族長、それに関しては多分大丈夫よ。何処ぞの頭おかしい悪魔が退治していったわ」
「は、はぁ……?」
ベスタの言葉に腹を抑えながら疑問符を浮かべるダンミミ。いや、仕方ないだろう。そんな言われ方したら。
間違ってないんだけど、そうじゃないっていうかなんというか。
「まぁ、そんな感じだから大丈夫よ」
「どんにゃ感じだ……」
困った様な顔をするダンミミ。だが、一応納得はしたのだろう。はぁ、とため息をついてから。
「まぁ、あまり深くは聞かにゃいでおくか……。
とりあえず、大丈夫にゃんだにゃ?」
「えぇ、大丈夫だと思うわ」
ダンミミの言葉に頷くベスタ。
「それにゃらいいんだ。
……その、ところで、さっきからカントは何故正座してるんだ?」
ずっと目の端に映ってはいたのだろう、気になるようにチラチラと見ながら遠慮がちに聞いてくる。
「ちょっとばかりお仕置きをね」
「……何をやらかしたのかは聞かにゃいでおこう」
「賢明ね」
ベスタの圧力に苦笑しつつカントを見るダンミミ。
気付いたカントが縋る様な視線をダンミミに送る。
「……」
「……っ!?」
しかし、無情にも無言で首を横に振られ絶望の表情を浮かべるカント。
哀れかな、マイファザー。
「……さて、と。族長も起きた事だし、私達は帰りましょうか」
「にゃ、もう帰るのか? せっかく久しぶりの再開にゃんだ。もうちょっとゆっくりして行っても……」
帰ろうとする俺達を少し寂しげに引き止めるダンミミ。
「そういう訳にもいかないのよね。ほら、レントが持ってるあの玉。アレを割れば元の世界に戻れるみたいなのよ」
なんでもない事の様にベスタが言う。
「……は?」
それを聞いたダンミミの反応はそれはもう仕方のない事だろう。
どうして、だとか、何故、だとか、色々整理がつかないのか、口をパクパクさせながら言葉が出てこないようだった。
「この世界のコアみたいなものらしいわ。けれどここで割るとあなた達と一緒に森ごと転移しちゃうらしいの。だから、一度家に戻ってから割らないと……」
「いや、待て待て、待つんだ。
……あれがにゃんだって? 割ると戻れる? 元の世界に? どうしても戻れにゃかったのに、あれを割るだけ? 俺達の一年は無駄ににゃるのか……?」
そう捲したて、力が抜けたかのようにベッドにもたれ掛かるダンミミ。あぁ、そうか。ダンミミ達は一年前からここにいて、俺達よりずっと戻る方法を懸命に模索していたはずだ。
それが来て間もない連中がこうも簡単に戻る方法を見つけ、しかも方法が玉割れば戻れますよと。
そりゃ、俺でも拍子抜けするわ……。
「……いや、いい。それを割れば、戻れるんだにゃ?」
「え、えぇ、戻れるわ」
もたれた状態からもう一度体を起こし、鋭い視線を向けるダンミミに少し気圧されながら答えるベスタ。
「……そう、か。戻れるのか……そうか……」
そう言うと、ダンミミは脱力したようにまたベッドにもたれ掛かった。
「やっと、戻れるのか……よかった……よかった……!」
そう言って声を震わせるダンミミを俺達は声を掛けることなく見つめていた。
ちょっと変な終わり方かもしれませんが御容赦ください……。
後二、三話+閑話、幕間くらいで次章にいけると思います……!




