第2章 25 時期尚早、父暴走。
投稿ペースを2、3日に1回にするかもです。(多分
嘘ついたらごめんなさい。
とりあえず気まぐれかもです。(えっ
「……なぁ」
「……」
「あの……」
「…………」
ベスタはカントに声をかけられているが気にせず歩く。
「あのー……ベスタ、さん……?」
「……………………」
ベスタはチラリとカントを一瞥し、また前を向き歩く。
「なぁ……せめて返事くらいしてくれよ……」
カントは少し落ち込みながらベスタに話しかける。
「………………………」
「……さっきのこと、まだ、怒ってるのか?」
カントのこの一言でベスタが勢いよく振り返る。
「ったり前でしょう?! あなたが無茶したせいで、もう少しで、かわいい息子が食べられそうになったのよっ?!
ことの重大さが分かっているのかしらっ?!」
「うぉっ!? ……あ、あぁ分かっているさ。あれは俺が悪かった。申し訳ないと思ってる。」
急にいきり立ったベスタに驚きつつもそう答えるカント。
「全く! 分かっているのなら、何故あんなことしたのかしら?
どうしてわざわざレントを危険な目に……本当、潰そうかしらね……」
ベスタはカントに胡散臭いものを見るような目で睨み、なにやら不穏なことをぶつぶつ言っている。
「お、お母様! 僕はもう平気です! なので、喧嘩はやめてください!」
「レント、これはね? お父様が悪いの。悪いことをしたら叱る。反省する。もうしない。させない。したら潰す。
これ、絶対。分かったかしら?」
「は、はい」
どうやらベスタは相当お冠なさっているらしい。俺が止めようとしたらなんかすごんできた。
ちょー怖いです。お母様。というか、本当に潰すって何なんだろう?
知ったら後悔しそうだから聞かないが。
「で、でもだな、ベスタ。俺にだって考えがあったからなんだ」
「……ほう、ここまできて言い訳をするのかしら?
聞いてあげましょうか。さっき聞き飽きたから手短にね?」
ベスタがカントの方に向き直り、腕を組んでカントを見る。そして、カントは、
「ベスタ。お前も分かるだろう?
レントには才能がある。というか、ありすぎる。
それを今のうちに伸ばしたいんだ。
そうすれば、大人になってからの選択肢も増えるだろうし、何より力を付ければ大切な人を守ることができる。
もちろん、その力を悪用しようものなら俺は即座に止める。子供だろうがそこは容赦しない。
だが、レントは賢いし、優しいだろう?
そんなことに使うとは到底思えん。
だから、今のうちに教えておこうと思ったんだ。
俺は小さい時勉強と少し剣の稽古をしていた。
だが、魔法の勉強や稽古は一切しなかった。
それは、俺の家系は男は剣術を磨け、女は魔法を少しと家事、雑事を磨けというような家系だったからだ。
でも、俺は魔法もしてみたいと思っていたんだ。
だけど、親が絶対に許してくれず、剣術に打ち込んできた。まぁ、それが悪いこととは言わん。
だが、可能性を潰すのは如何なものかと、その時俺は思ったんだ。
そして、俺はお前と出会って、お前を連れて家を出た。ちょうどいい機会だと思った。そして子供が生まれた。
俺はこの子を自由に育てると誓った。
まぁ、結果、結構過保護に育ててるんだがな。
でも、俺の家とは違うように育てたいとおもっていた。
親が可能性を潰すのはダメだと思うんだ。
一つのことに打ち込むことがダメだとも悪いとも言わんし、バカにもする気は無い。
ただ、やってみないと分からないことだって沢山あるんだ。
俺だってまだまだやりたいことが沢山ある。
今まで出来なかった事とか、未知のものを探してみたりだとか、他にも沢山。
それは、俺の理想を押し付けているだけかもしれん。
俺の出来なかった事をやらせているだけかもしれん。
でも、色んなものを見て、聞いて、知って。
色々な所で活躍できる、そういう立派な人間になって欲しいんだ。
だから、俺は今回レントにミミックコドラをけしかけたんだ。
無理にけしかけたのは悪いと思ってる。
でもな、俺だってなんも考え無しに……」
「ちょ、か、カント。
気持ちは分かったら少し落ち着いて」
「俺だって……へ? あ、あぁ、すまん。
言いたい事言おうと思ったら止まらなくなっちまった」
カントが頭をポリポリかきながらそう言う。
というか、カントにはそんな事があったんだなぁ。自由に、か。
やっぱ、自由は大切だよなぁ……選択肢を潰すのは俺も良くないとは思う。
そして、カントが俺を大切に思ってくれていることも分かる。
だけど、だけど、だ。いくら何でも早すぎやしないかい?
「あなたの気持ちは分かるのだけれど、やっぱりこの年齢では早すぎじゃないかしら?」
ほら、ベストも同じことを……
「いや、それじゃあダメなんだ!
今だからこそなんだよ! 子供の頃にあぁ、もっとやっておけばよかったと後悔しては遅いんだ!
俺はレントにそんなふうになって欲しくないし、そうなってる姿を見たくもない!
こういうのは早めが肝心なんだよ! 早いくらいがちょうどいいんだよ!
そう、俺みたいに後悔してちゃダメなんだよ!
もっともっと可能性を……」
「落ち着けって言ってるでしょうっ!」
ベスタの言葉と同時にゴンっと鈍い音が響く。
「あだっ!?」
ベスタのキレのあるグーが興奮しているカントの頭目掛けて飛んでいって綺麗にぶつかった音のようだ。
カントは頭を抑えてうずくまっている。
「もう、落ち着きなさい。
私だってあなたの言い分を全否定するつもりは無いわ。ただ、あなたは焦りすぎよ。
慣れない土地、環境、状況のせいなのかもしれないのだけれど、レントはまだ5歳よ。
もう少し、年を重ねてからでもいいんじゃないかしら?」
ベスタがカントをなだめながらそう言った。
「いってぇ……あ、あぁ……そうだな。少し、俺は焦ってたのかもしれん。
……すまん、先走りすぎた」
それを聞いたカントが素直に謝った。
「それにね、あなた? レントは賢い子よ。私たちを見てれば戦い方や魔法の使い方くらい覚えると思うわよ。
だから、そんなに焦る必要はないわ。
ゆっくりでいいからもう少し肩の力を抜いて、ね?」
ベスタがカントに優しく微笑む。
というか、ベスタがとんでもないことを口走った気がするんだが。俺が戦い方見たらなんだって?
覚えられるか、んなもん。中身は永遠の36歳のニートだっつーの。
お母様はいつも俺を買い被りすぎています。
「……はぁ……なんか、俺がバカみたいじゃねぇかよ……」
カントは少し疲れたようにため息をつく。
「え? あなたはバカよ?」
「ちょっ……」
「ふふっ」
ベスタにからかわれて少し恥ずかしそうにしているカントだが、少し嬉しそうだ。
いつものやり取りができたからだろうか。
「じゃ、行きましょうか、あなた? 皆が待ってるわ」
ベスタが微笑みながらカントにそう声をかける。
「……あぁ、そうだな」
落ち着きを取り戻したカントはいつも通りのカントに戻った……
「……でも、次は本当に……ね?」
「……はい……」
……戻った、かな……?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「…………暇だな」
リビングに横たわりながらお腹をポリポリとかく自称大悪魔。
いや、仮にも大悪魔なわけで、自称ではない。まぁ、今のこの様を見れば自称と言われても仕方が無いが。
「……むっ。あやつらに何やら不穏な…………くくっ……くはははははははははは!!!
これはこれは……! なんというお楽しみであろうか! 我はやはりあやつらの所に行ったほうがよかろうか!
大変美味な悪……いや、とにかく助けに行かねばならないだろうか!
しかし、そうなると家が留守になってしまうな……
………………ふむ。これでよかろう。
さて、我もお楽しみと行こうではないか!」
何かに気付いた様にそう言うと家を飛び出し勢いよく飛び立つゲイルであった。
家に、それそっくりの、家の中を意外としっかりした足取りで、しかし、何も喋らない意識のない分身を残して。
ご感想など是非是非ください!
いつでもお待ちしております。<(_ _)>




